手や足、顔などにいつの間にかできた小さなふくらみ。「そのうち取れるだろう」と様子を見ているうちに、数が増えたり大きくなったりして、はじめて気になりはじめる方は少なくありません。いぼ(ウイルス性疣贅〔ゆうぜい〕)と水いぼ(伝染性軟属腫〔なんぞくしゅ〕)は、どちらもウイルスが関わる皮膚の病気で、ご家族やお友達へうつることもあります。このページでは、いぼと水いぼの違いや原因、治療の考え方、ご家庭での注意点までを、できるだけ分かりやすくご説明します。川名ごとう皮フ科クリニックでは、皮膚科専門医による保険診療を土台に、お子様から大人の方まで、一人ひとりの状態とご事情に合わせた診療を心がけています。
いぼ・水いぼとは
「いぼ」と「水いぼ」は名前が似ていますが、原因となるウイルスも、治療の考え方も異なる別の病気です。まずはそれぞれの性質を知っておくことが、適切な対応の第一歩になります。
いぼ(ウイルス性疣贅)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚の小さな傷から入り込むことで生じる、盛り上がったできものです。手や指、足の裏、ひじ・ひざなど、日常的に刺激を受けやすい部位にできやすい傾向があります。表面がザラザラと硬く、押すと痛みを感じることもあります。
一方の水いぼ(伝染性軟属腫)は、伝染性軟属腫ウイルスによって生じる、つやのある小さなふくらみです。直径1〜5ミリほどで、中央がくぼんで見えることが特徴とされます。中には白いかたまり(軟属腫小体)が入っており、これがつぶれて周囲に触れることで広がります。就学前から小学校低学年のお子様に多くみられ、プールやお風呂での肌と肌の接触、タオルやビート板の共用などをきっかけに広がることがあります。
どちらも命に関わる病気ではありませんが、放っておくと数が増えたり、周囲の方にうつしたりすることがあります。また、いぼの中にはウイルス性ではない別のできものが紛れていることもあるため、自己判断せず、一度皮膚科で確認していただくことをおすすめします。
主な症状
いぼと水いぼでは、見た目や感じ方に次のような違いがあります。
いぼ(ウイルス性疣贅)
- 表面がザラザラ、ゴツゴツと硬い
- 皮膚の色〜灰白色で、盛り上がっている
- 足の裏にできると平たくなり、押すと痛むことがある
- 削ると黒い点(点状の出血)が見えることがある
- かゆみはほとんどないことが多い
水いぼ(伝染性軟属腫)
- 直径1〜5ミリほどの、つやのある半球状のふくらみ
- 中央がくぼんで見える
- 肌色〜わずかに白っぽい
- 痛みは通常なく、かゆみを伴うこともある
- 体幹、わきの下、腕や脚の内側など、皮膚のやわらかい部分に多い
足の裏にできたいぼは、体重がかかって平たくなるため、たこや魚の目とよく似た見た目になります。「たこだと思って市販の角質を取る薬を使っていたが、なかなか治らない」という形で受診される方もいらっしゃいます。見分けが難しいものですので、気になる場合はご相談ください。
原因・メカニズム
いぼも水いぼも、原因はウイルスの感染です。ただし、うつり方や広がり方には少し違いがあります。
いぼの原因となるヒトパピローマウイルスは、ごくありふれたウイルスで、日常生活のなかで皮膚に触れる機会は珍しくありません。皮膚に目に見えないほどの小さな傷があると、そこからウイルスが入り込み、皮膚の細胞の中で増えていきます。手あれのある方、爪をかむ癖のある方、スポーツなどで足の裏に負担がかかる方、水仕事の多い方などは、皮膚に細かい傷ができやすく、いぼができる一因になると考えられています。
水いぼの原因となる伝染性軟属腫ウイルスは、直接肌が触れ合うことや、タオル・衣類・浮き具などを介して広がります。皮膚が乾燥していたり、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が弱まっていたりすると、広がりやすくなる傾向が知られています。また、かゆくてかいてしまうと、自分の指を介して別の場所へ次々に移っていく(自家接種)ことがあり、これが数の増える大きな要因です。
いずれも、清潔にしていないからできる、という性質のものではありません。ご自身やお子様の生活を責める必要はなく、皮膚のバリアを整えながら、必要な治療を行っていくことが大切です。
いぼ・水いぼになりやすい人・セルフチェック
次のような項目に心当たりがある場合、いぼや水いぼが関係している可能性があります。あくまで受診の目安としてご確認ください。診断は医師が、見た目や経過などを総合して行います。
手や足に、ザラザラした硬い盛り上がりがある
足の裏の「たこ」が、市販薬を使ってもなかなか治らない
つやのある小さなふくらみが、体やわきの下に少しずつ増えてきた
お子様が通うプールや園で、水いぼが流行していると聞いた
肌が乾燥しやすい、またはアトピー性皮膚炎の治療を受けている
家族に同じようなできものがある
これらに当てはまるからといって、必ずしもいぼ・水いぼとは限りません。ほくろやその他の皮膚のできものでも似た見た目になることがあります。自己判断で削ったり、市販薬を使い続けたりするよりも、一度皮膚科で正しく診断を受けることが、結果的に早い解決につながることが多くあります。
いぼ・水いぼを放置するとどうなるか(早期受診の重要性)
「痛くないから」「そのうち自然に取れると聞いたから」と様子を見ているうちに、対応が難しくなることがあります。
まず、数が増えていくことがあります。いぼも水いぼも、かいたりこすったりすることで周囲の皮膚に広がり、はじめは1〜2個だったものが十数個、数十個になることも珍しくありません。数が増えるほど、治療にかかる回数も期間も長くなります。
次に、周囲の方にうつることがあります。水いぼはご家族やお友達との接触で広がることがあり、園や学校で心配されることもあります。いぼも、ご家族の間でうつることがあります。
また、いぼをかき壊した部分から細菌が入り、とびひ(伝染性膿痂疹)を起こしたり、水いぼの周りに湿疹(伝染性軟属腫皮膚炎)が出てかゆみが強くなったりすることもあります。足の裏のいぼは、大きくなると歩くたびに痛みを感じるようになり、日常生活に支障が出る場合もあります。
一方で、いぼ・水いぼは適切な治療によって落ち着かせていける病気です。とくに、数が少なく、できてからの期間が短いほうが、治療の負担が小さくすむ傾向があります。「これくらいなら」と我慢を重ねる前に、気になる段階で皮膚科にご相談いただくことをおすすめします。なお、症状の経過や治療への反応には個人差があります。
当院のいぼ・水いぼ治療の特徴
いぼ・水いぼは、標準的な治療(保険診療)が基本です。川名ごとう皮フ科クリニックでは、まず保険診療でできる標準的な治療をしっかり行うことを土台に、おひとりおひとりの状態やご事情に合わせて治療を見直しながら、無理なく続けられる診療を心がけています。
皮膚科専門医による診療
当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。いぼ・水いぼは見た目が似た別のできものと紛らわしいことがあるため、まずは正しく診断することを大切にしています。
見た目で決めつけず、確かめてから治療する
いぼに見えるできものの中には、たこ・魚の目、ほくろ、脂漏性角化症(老人性いぼ)、まれには注意が必要な皮膚のできものが紛れていることがあります。当院では、必要に応じてダーモスコピー(拡大鏡を用いた観察)などで確認し、診断を確かめたうえで治療方針を決めます。また、治療は一度で終わらないことも多いため、毎回同じ処置を漫然と続けるのではなく、効き方を見ながら方法を見直していくことを大切にしています。お子様の水いぼについては、痛みへのご不安、園やプールのご事情、ご家族のお考えをうかがったうえで、取る・様子を見るという選択を一緒に決めていきます。
通いやすい体制
所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族から大人の方まで、幅広い世代が通いやすい環境づくりを心がけています。いぼ・水いぼの治療は複数回の通院が必要になることが多いため、無理なく通い続けられることを大切にしています。
いぼ・水いぼの治療の流れ(初診〜)
初めて受診される際の、大まかな流れをご説明します。実際の進め方は、症状や状態によって変わる場合があります。

受付・問診
ご来院後、問診票に、できものに気づいた時期、数の変化、痛みやかゆみの有無、これまでのケアなどをご記入いただきます。お子様の場合は、ご家族から園やプールの状況などもうかがいます。

診察
医師が皮膚の状態を直接診て、大きさ・数・部位・広がり方を確認します。必要に応じてダーモスコピーで拡大して観察し、ほかのできものとの見分けを行います。

治療方針のご説明
診察の結果をふまえ、治療の選択肢を分かりやすくご説明します。処置に伴う痛みや、通院の回数の目安についてもあらかじめお伝えします。当院では、患者様に納得していただいたうえで治療を進めることを大切にしています。

治療の開始
ご同意のうえで、その日から処置を始められる場合もあります。お子様の場合は、ご希望に応じて麻酔テープを使う方法などもご相談いただけます。

経過の確認・治療の調整
いぼの治療は、1〜2週間ごとの通院をくり返すことが一般的です。効き方を確認しながら、必要に応じて方法や間隔を調整していきます。
いぼ・水いぼの治療は、一度で終わらないことが少なくありません。途中でやめてしまうと再び広がることもあるため、当院では、続けやすいペースを一緒に考えながら進めてまいります。
いぼ・水いぼの治療方法・選択肢
ここでは一般的な治療法をご紹介します。どの治療が適しているかは、できものの種類・大きさ・数・部位、年齢などに応じて、医師が一人ひとりの状態に合わせて検討します。
いぼ(ウイルス性疣贅)の治療
- 液体窒素による凍結療法
いぼの治療で最も広く行われている方法です。マイナス196度の液体窒素を綿棒や専用の器具で当て、いぼの組織を凍らせて壊し、皮膚の入れ替わりとともに脱落させることを目指します。1〜2週間ごとにくり返し行うのが一般的で、当てている間や直後に痛みを感じることがあります。処置後に水ぶくれや色素沈着が生じることもあります。 - 外用療法(塗り薬)
サリチル酸の貼り薬・塗り薬などで、硬くなった角質をやわらかくしながら治療を進める方法です。凍結療法と組み合わせて用いられることもあります。 - 内服療法(飲み薬)
ヨクイニン(ハトムギ由来の漢方薬)が用いられることがあります。数が多い場合やお子様の場合に、ほかの治療と併用して検討されることがあります。 - 外科的な処置・レーザー治療
部位や大きさ、これまでの治療の効き方によっては、電気焼灼や炭酸ガスレーザーによる処置、切除などが検討されることがあります。適応の判断や、保険診療で行えるかどうかは、診察のうえでご説明します。
水いぼ(伝染性軟属腫)の治療
- 摘除(せんし鑷子〔ピンセット〕による除去)
専用のピンセットで、水いぼの中身を1つずつ摘み取る方法です。確実性が高い一方で、処置の際に痛みを伴います。数が多い場合は、複数回に分けて行うこともあります。 - 麻酔テープの併用
痛みへのご不安が強いお子様には、処置の前に貼って皮膚の感覚をやわらげるテープを用いる方法をご相談いただけます。貼ってから効果が出るまでに時間がかかるため、事前の準備が必要です。 - 経過観察(自然に治るのを待つ)
水いぼは、時間の経過とともに免疫がはたらいて自然に消えていくことが知られています。ただし、その期間には個人差が大きく、数か月から年単位かかることもあります。数が少ない、広がっていない、お子様の負担を優先したいといった場合には、周囲への配慮をしながら経過を見るという選択もあります。 - 周囲の皮膚のケア 水いぼの周りに湿疹が出てかゆみが強い場合には、その部分の治療を行うことがあります。乾燥した皮膚を保湿して整えることも、広がりを抑えるうえで役立つと考えられています。
どの方法を選ぶかは、医学的な条件だけでなく、お子様やご家族のお気持ち、園や学校のご事情によっても変わります。当院では、それぞれの方法の長所と負担を分かりやすくご説明したうえで、ご一緒に決めていきます。気になる治療法があれば、診察時にお気軽にお尋ねください。
ご家庭でのケア・予防(セルフケア)
いぼ・水いぼは、医療機関での治療と、ご家庭での日々の工夫の両方が、広がりを抑えるうえで大切です。
触らない・かかない
最も大切なのは、いじらないことです。かいたり、つまんだり、削ったりすると、指を介して周囲や別の場所へ広がります。お子様には爪を短く整え、かゆみが強いときは早めにご相談ください。
皮膚を清潔に、そして乾燥させない
皮膚が乾燥していると細かい傷ができやすく、ウイルスが入り込む隙間になります。入浴後の保湿を習慣にし、体を洗うときはナイロンタオルで強くこすらず、よく泡立てた洗浄剤でやさしく洗いましょう。
共用を避ける
水いぼがあるときは、タオル・バスタオル・浮き具・ビート板などの共用を避けてください。プールの水そのものでうつるわけではないとされていますが、肌と肌の接触や用具の共用が広がるきっかけになります。園や学校のルールは施設によって異なりますので、方針を確認しておくと安心です。
足のいぼは、うつさない工夫を
足の裏のいぼがある場合は、家庭内でのバスマットやスリッパの共用を控えると、ご家族への広がりを抑えることにつながります。
市販薬の自己判断での使用は慎重に
いぼだと思って角質を取る市販薬を使い続けた結果、実は別のできものだった、あるいは皮膚が傷んで広がってしまった、ということがあります。まずは診断を受けたうえで、必要なケアを行うことをおすすめします。
すべてを完璧に行おうとすると、かえって負担になることもあります。できる範囲から取り入れ、気になる点は診察時にご相談ください。
よくある質問
Q. いぼは自然に治りますか?
-
A. ウイルス性のいぼは、免疫のはたらきによって自然に消えることもありますが、時間がかかったり、その間に数が増えたりすることがあります。とくに足の裏のいぼは、体重がかかることで深くなり、治療が長引きやすい傾向があります。気づいた段階でご相談いただくほうが、負担が小さくすむことが多いと考えられています。
Q.水いぼは、取ったほうがよいのでしょうか。それとも様子を見てよいですか?
-
A. どちらの考え方もあり、一律の正解はありません。自然に消えることが知られている一方で、その間に数が増えたり、周囲に広がったりすることもあります。当院では、数や広がり方、お子様の負担、園やプールのご事情などをうかがったうえで、ご一緒に方針を決めています。迷われている段階でも、お気軽にご相談ください。
Q.水いぼがあると、プールに入れませんか?
-
A. 対応は園や学校、施設によって異なります。プールの水を介してうつるわけではないとされていますが、肌の接触やタオル・ビート板の共用で広がることがあるため、独自のルールを設けている施設もあります。通われている施設の方針をご確認いただき、必要であれば診察時にご相談ください。
Q. 液体窒素の治療は痛いですか?
-
A. 当てている間や直後に、しみるような痛みを感じる方が多いです。痛みの感じ方には個人差があり、部位や当てる強さによっても変わります。当院では、痛みへのご不安をうかがいながら、強さや回数を調整して進めます。お子様の場合は、ご様子を見ながら無理のない範囲で行います。
Q. 治療は何回くらい通う必要がありますか?
-
A. いぼの場合、1〜2週間ごとの通院を数回から十数回くり返すことが一般的です。できものの大きさ・数・部位や、これまでの経過によって大きく変わります。水いぼの摘除は、数が少なければ1回で終わることもあります。目安は診察時にお伝えします。
Q. 治療には保険が使えますか?
-
A. いぼ・水いぼの診断と治療は、保険診療の対象です。当院では、まず保険診療でできる治療を基本に、おひとりおひとりを丁寧に診てまいります。費用について気になる点は、診察時にお尋ねください。
Q. 大人でも水いぼになりますか?
-
A. 数は多くありませんが、大人にみられることもあります。また、大人の場合は水いぼによく似た別のできものであることもあるため、一度診察でご確認いただくことをおすすめします。
Q. 一度治ったいぼが、また出てくることはありますか?
-
A. あります。原因となるウイルスは身の回りにありふれているため、再びできることがあります。皮膚を乾燥させないこと、細かい傷を作らないことが、再発を抑えるうえで役立つと考えられています。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。いぼや水いぼは、命に関わるものではありませんが、なかなか治らない、数が増えていく、人にうつしてしまうかもしれない。そうしたご不安は、日々の暮らしのなかで小さくない負担になります。
いぼ・水いぼの治療は、一度で終わらないことが多く、通院を重ねていただくことになります。だからこそ、なぜこの治療を行うのか、どのくらいの期間がかかりそうなのか、痛みはどの程度かを、あらかじめ分かりやすくお伝えすることを大切にしています。私自身、患者様のお話をしっかりうかがい、納得していただいたうえで治療を進めることを信条としています。お子様の場合は、ご本人の気持ちとご家族のお考えの両方をうかがったうえで、無理のない進め方を一緒に探していきたいと思っています。
また、毎回同じ処置をくり返すだけで終わらせないことも、私が大切にしている姿勢です。効き方が思わしくないときは方法を見直し、皮膚の乾燥やバリア機能といった、できものができやすい背景にも目を向けていきます。皮膚のことだけでなく、体全体の健康と美しさのかかりつけ医として、地域の皆さまにご利用いただけるクリニックでありたいと願っています。お子様から大人の方まで、肌のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
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