いくつか病院にかかったけれど、原因が分からないまま。塗り薬をもらって、そのときは少し良くなるけれど、またぶり返す。夜になるとかゆくて眠れない。「原因が分からない」という状態そのものが、大きな不安になります。何が起きているのか分からないまま、同じ薬を出され続けているとしたら、なおさらだと思います。皮膚の症状には、まだ原因の特定に至っていないだけで、調べる余地が残されていることが少なくありません。また、皮膚の症状の背後に、体の内側の病気が隠れていることもあります。このページでは、原因のはっきりしない発疹やかゆみについて、どう考え、どう調べていくのかをご説明します。川名ごとう皮フ科クリニックでは、「よく分からないので、とりあえずこの薬で」という診療にしないことを大切にしています。

「原因不明」と言われる状態について
皮膚の症状は、見た目が似ていても原因がまったく異なることがよくあります。逆に、同じ原因でも、人によって、時期によって、見え方が変わります。そのため、一度の診察で原因が確定しないことは、決して珍しいことではありません。
大切なのは、「分からない」で止まってしまわないことです。分からないなりに、
- どこまでは分かっているのか
- まだ調べていないことは何か
- 次に何を確かめれば絞り込めるのか
これを整理していけば、少しずつ範囲は狭まっていきます。
また、「原因不明」には、いくつかの意味が混ざっていることがあります。
まだ調べていないだけの場合
血液検査、皮膚生検、パッチテストなど、まだ行っていない検査があることがあります。
病名はついたが、きっかけが分からない場合
慢性じんましんのように、病気としては診断がついても、個々の発作のきっかけが特定できないことがあります。この場合、原因探しより症状のコントロールを優先するほうが良い結果につながることもあります。
皮膚以外に原因がある場合
皮膚の症状が、内臓の病気や薬、環境の変化を反映していることがあります。
複数の要因が重なっている場合
乾燥・刺激・体質・生活のリズムなど、いくつもの要素が絡んでいて、ひとつの「犯人」がいないこともあります。
こんな症状でお困りではありませんか
- 発疹が出たり消えたりをくり返す
- 全身がかゆいのに、目立った発疹が見当たらない
- 夜になるとかゆみが強くなり、眠れない
- 塗り薬でいったん良くなるが、やめるとすぐ戻る
- 複数の医療機関にかかったが、原因が分からないままだ
- 市販薬を使ったが、良くならない、あるいは悪化した
- かゆみとともに、体重が減った・だるさが続く・熱が出る
- 発疹に、痛みや水ぶくれをともなう
- 症状が急に広がってきた
こうした状態は、一度きちんと調べ直す価値があります。とくに、かゆみに全身症状(体重減少、発熱、だるさ、黄疸、むくみなど)をともなう場合は、早めの受診をおすすめします。

考えられる主な原因
原因のはっきりしない発疹やかゆみの背景には、次のようなものが考えられます。ここに挙げたものがすべてではありませんし、これを読んでご自身で判断する必要もありません。「調べる道筋がある」ということをお伝えするための一覧としてご覧ください。
皮膚そのものの病気
- 皮脂欠乏性湿疹(乾燥によるかゆみ) 高齢の方や乾燥する季節に多く、目立った発疹が乏しいまま強いかゆみが出ることがあります。実は最も多い原因のひとつです。
- 接触皮膚炎(かぶれ) 化粧品、洗剤、金属、ゴム、植物、薬剤など。本人が原因に気づいていないことが多く、パッチテストで分かることがあります。
- 慢性じんましん 膨疹(盛り上がった赤み)が出たり消えたりをくり返します。個々のきっかけが特定できないことが多い病気です。
- アトピー性皮膚炎 軽症の場合や成人発症の場合、典型的な見た目にならないことがあります。
- 疥癬(かいせん) ヒゼンダニによるもので、強いかゆみが特徴です。夜間に増強し、家族や施設内で広がります。見逃されやすい重要な原因です。
- 皮膚の真菌症 水虫、カンジダ、癜風(でんぷう)など。湿疹の薬を使うと悪化します。
- 薬疹(薬による発疹) 服用を始めた薬だけでなく、長く飲んでいる薬で起こることもあります。
- 虫刺され トコジラミ、イエダニなど、刺した虫が特定できないことがあります。
- 結節性痒疹 かき壊しをくり返すことで、硬いしこりができるもの。

- 自己免疫性の水疱症 水ぶくれをともなうもの。高齢の方で、かゆみが先行することがあります。
体の内側の病気が背景にあることも
皮膚に目立った発疹がないのに全身がかゆい場合(皮膚瘙痒症)、次のような病気が関わっていることがあります。
- 腎臓の病気(慢性腎不全など)
- 肝臓・胆道の病気(胆汁うっ滞など)
- 甲状腺の病気
- 糖尿病
- 血液の病気
- 鉄欠乏
こうした場合、皮膚の薬だけでは十分に落ち着きません。原因への対応が必要になります。
環境・生活の要因
- 乾燥(暖房、加齢による皮脂の減少)
- 洗いすぎ、熱いお湯、ナイロンタオル
- 衣類の素材、洗剤のすすぎ残し
- 新しい寝具、住環境の変化
- ストレス、睡眠不足
原因を探さないまま続けることの問題(早期受診の重要性)
「とりあえずこの薬で様子を見ましょう」。それが必要な場面もあります。しかし、それが何か月も続いているとしたら、立ち止まる価値があります。
別の病気を見逃す可能性があります。
たとえば疥癬は、湿疹と思われて強い塗り薬を使い続けると、かえって広がってしまいます。真菌症も同様です。逆に、皮膚の症状として現れた内臓の病気を見逃すと、本来必要な治療が遅れます。
かき壊しの悪循環に入ります。
かゆみをかくと皮膚が傷つき、さらにかゆくなります。この状態が長引くと、皮膚が厚く硬くなり(苔癬化)、かゆみが取れにくくなります。
生活の質が下がり続けます。
眠れない、集中できない、人目が気になる。「たかがかゆみ」ではありません。
治療そのものが惰性になります。
私が皮膚科の課題だと感じているのは、毎回同じ薬を出し続けることで、患者様も医師も治療への関心を失ってしまうことです。効いていないなら、方法を変えるか、診断を見直すか、どちらかが必要です。
一方で、あらゆる原因を突き止められるわけではありません。それでも、調べられることを調べ尽くしたうえで症状をコントロールしていくのと、何も調べないまま同じ薬を続けるのとでは、まったく違うと考えています。なお、経過や検査結果には個人差があります。
当院の診療の特徴
原因のはっきりしない皮膚症状の診療は、保険診療の範囲で行える検査を組み合わせて進めます。川名ごとう皮フ科クリニックでは、「分からないので、とりあえず」で終わらせないことを大切にしています。
皮膚科専門医による診療
当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。皮膚の症状は見た目が似ていても原因が異なることが多いため、見た目だけで決めつけず、経過・分布・生活背景を組み合わせて考えることを大切にしています。
「分からない」を、分けて考える
当院がこの領域で最も大切にしているのは、分からないことを整理することです。
まず、経過をていねいにうかがいます。いつから、どこから始まったのか。どんなときに強くなるのか。季節・時間帯・場所との関係はあるか。新しく始めたもの(薬・化粧品・洗剤・寝具・仕事・ペット)はないか。前医でどんな検査を受け、どんな薬を使ったか。この問診が、どの検査よりも診断に近づく道になることがあります。
次に、見た目だけで決めつけません。必要に応じて、顕微鏡検査(真菌・ダニ)、血液検査(内臓の状態、アレルギー、炎症)、パッチテスト、皮膚生検などをご提案します。とくに、疥癬や真菌症のように「見逃すと治療が逆効果になるもの」は、優先して確かめます。
そして、皮膚だけを見ません。皮膚は体を映す鏡です。全身のかゆみがあるとき、体重や体調の変化、服用中の薬まで含めて確認します。必要と判断した場合は、内科など他科での評価をご提案し、連携医療機関へおつなぎいたします。
最後に、毎回同じ治療を漫然と続けません。効いていなければ、方法を変えるか、診断を見直します。「今分かっていること」「まだ分かっていないこと」「次に確かめること」を、その都度共有しながら進めていきます。
通いやすい体制
所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族から大人の方まで、幅広い世代が通いやすい環境づくりを心がけています。原因を絞り込むには、経過を追うことが必要になります。無理なく通い続けられることを大切にしています。
栄養・生活面のサポートも院内で(ご希望に応じて)
当院には管理栄養士が在籍し、ご希望に応じて、食事や生活面のご相談も同じ場所で受けていただけます。これは、標準的な治療を基本としたうえで、ご希望に応じてご案内している追加のサポートであり、標準治療に代わるものでも、効果を保証するものでもありません。保険診療とは別のご案内(自費)となります。
診療の流れ(初診〜)
初めて受診される際の、大まかな流れをご説明します。実際の進め方は、症状や状態によって変わる場合があります。

受付・問診
受付・問診 症状の始まった時期、部位と広がり方、強くなる時間帯や場面、季節との関係、これまでの治療、服用中のすべてのお薬、既往歴、ご家族や同居の方に同じ症状がないか、最近変えたもの(洗剤・寝具・化粧品・住環境など)をうかがいます。前医の紹介状やお薬手帳、症状が強いときの写真があれば、ぜひお持ちください。

診察
医師が皮膚の状態を直接診て、発疹の性状・分布・左右差などを確認します。必要に応じてダーモスコピー(拡大鏡)で観察します。

検査(必要に応じて)
顕微鏡検査、血液検査、パッチテスト、皮膚生検などから、必要なものをご提案します。何のために行う検査なのかを、そのつどご説明します。

現時点での説明
診断が確定していない段階でも、今分かっていること・考えられる可能性・次に確かめることを整理してお伝えします。「分からない」で終わらせません。

治療と経過観察
まずはかゆみを抑える治療を始めながら、経過を確認します。皮膚の症状は時間とともに姿を変えることがあり、経過そのものが診断の手がかりになります。

見直し・連携
効き方が乏しければ、診断と治療を見直します。内科的な評価が必要と判断した場合や、より専門的な検査が望ましい場合には、連携医療機関へご紹介いたします。
検査例
- 顕微鏡検査(KOH直接鏡検) 皮膚をごく少量採取し、真菌(水虫など)や疥癬のダニがいないかをその場で確認します。痛みはほとんどありません。
- 血液検査 アレルギーの有無、炎症の程度、肝臓・腎臓・甲状腺のはたらき、貧血や鉄の状態などを確認します。
- パッチテスト かぶれの原因を調べる検査です。疑わしい物質を背中などに貼り、数日かけて反応を見ます。
- 皮膚生検 局所麻酔のもと、皮膚の一部を採取して顕微鏡で組織を調べます。診断を確かめる最も確実な方法のひとつです。
- ダーモスコピー 拡大鏡による観察。痛みのない検査です。
どの検査を行うかは、症状と経過をふまえて必要なものに絞ります。やみくもに広く調べることは、かえって判断を難しくすることがあるためです。
ご家庭でのケア(原因が分かるまでの間も)
原因を探している間も、皮膚の負担を減らす工夫は役に立ちます。
保湿を続ける
乾燥はかゆみの大きな原因です。入浴後できるだけ早く保湿しましょう。
洗いすぎない・こすらない
ナイロンタオルは避け、よく泡立てた洗浄剤でやさしく洗い、しっかりすすぎます。
ぬるめのお湯で
熱いお湯はかゆみを強めます。長風呂も避けましょう。
爪を短く整える
かき壊しを防ぎます。かゆいときは冷やすなど、かく以外の方法を。
記録をつける
いつ・どこが・どのくらいかゆいか、何をした日に強くなるか。写真も残しておくと、診察で大きな手がかりになります。
自己判断で市販薬を重ねない
症状に合わない薬は、悪化させたり、診断を難しくしたりします。
同居のご家族の症状も確認
同じ症状の方がいれば、疥癬や虫刺されなど、環境に原因がある可能性が高まります。
よくある質問
Q. 他の病院で「原因不明」と言われました。診てもらえますか?
-
A. どうぞご相談ください。これまでどんな検査を受け、どんな薬を使われたかをうかがったうえで、まだ確かめていないことから整理していきます。前医の紹介状やお薬手帳をお持ちいただけると助かります。
Q. 発疹がないのに全身がかゆいのですが。
-
A. 皮膚瘙痒症といい、乾燥によるものが多い一方で、腎臓・肝臓・甲状腺・血液の病気などが背景にあることもあります。血液検査で確認できることがありますので、ご相談ください。
Q. 検査には保険が使えますか?
-
A. 診断のために必要と判断される検査は、保険診療の対象です。なお、栄養・生活面のサポートなど、保険診療とは別に(自費で)ご案内する取り組みもあります。費用について気になる点は、診察時にお尋ねください。
Q. 一度の受診で原因が分かりますか?
-
A. 分かることもあれば、経過を追う必要があることもあります。皮膚の症状は時間とともに姿を変えるため、経過そのものが手がかりになります。焦らず、順を追って絞り込んでいきましょう。
Q. 夜になるとかゆみが強くなります。
-
A. 体温が上がるとかゆみは強まりやすく、多くの皮膚疾患に共通します。一方、夜間に非常に強いかゆみが出て、ご家族にも同様の症状がある場合は、疥癬の可能性も考えます。顕微鏡検査で確認できますので、ご相談ください。
Q. ストレスが原因でしょうか?
-
A. ストレスがかゆみを強めることは確かにあります。ただ、「ストレスのせい」で片づけてしまうと、調べるべきことを見落とすおそれがあります。まずは確かめられることを確かめたうえで考えたいと思っています。
Q. 皮膚生検は痛いですか?
-
A. 局所麻酔を行いますので、採取中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射のときにチクッとした痛みがあります。数針縫うことがあり、後日抜糸します。
Q. かゆみで眠れません。
-
A. 睡眠への影響は、それ自体が治療の対象です。我慢せずお伝えください。かゆみを抑える治療を優先しながら、原因を探していきます。
Q. 家族にも同じ症状が出ています。
-
A. 重要な情報です。疥癬、虫刺され、環境の要因など、うつるものや共通の原因が考えられます。できればご一緒に受診いただくことをおすすめします。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。だからこそ、皮膚に出ている症状を見るときには、皮膚だけを見ていては足りないと思っています。その方の生活、体の内側、飲んでいる薬、住んでいる環境。そこまで含めて考えてはじめて、見えてくるものがあります。
私が現在の皮膚科診療で最も課題だと感じているのは、惰性で同じ治療が続いてしまうことです。毎回同じ薬を出し、患者様も医師も、そういうものだと思ってしまう。けれど、良くならないのであれば、それは何かが違うということです。診断が違うのかもしれない、方法が合っていないのかもしれない、皮膚の外に原因があるのかもしれない。そこを問い直さずに続けるのは、診療とは呼べないと思っています。
原因のはっきりしない症状で受診される方に、私がお約束したいのは、「分からない」で終わらせないことです。すべての原因を突き止められると申し上げることはできません。それでも、今分かっていること、まだ分かっていないこと、次に確かめることを、そのつど整理してお伝えします。一緒に絞り込んでいく。その姿勢だけは、変えないつもりです。
そして、皮膚の外に原因がありそうなときには、内科など他科の力をお借りします。当院で抱え込まず、必要なところにおつなぎすることも、私の責任だと考えています。
私自身、患者様のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを信条としています。長く悩んでこられた方こそ、これまでの経過を聞かせてください。皮膚のことだけでなく、体全体の健康と美しさのかかりつけ医として、地域の皆さまにご利用いただけるクリニックでありたいと願っています。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
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