化粧品を変えたら、まぶたが腫れた。ネックレスをつけた場所だけ赤くなる。新しく処方された薬を飲んだ後、全身に発疹が出た。皮膚は、体のなかで最も外の世界と接している場所です。だからこそ、触れたもの、食べたもの、体に入ったものに対するアレルギー反応が、真っ先に現れます。アレルギーによる肌トラブルで大切なのは、「何に反応しているのか」を突き止めることです。原因が分かれば、それを避けることで症状を防げます。逆に、原因が分からないまま薬でしのいでいると、反応をくり返すうちに強まっていくこともあります。このページでは、皮膚に出るアレルギーの種類と、原因を調べる方法をご説明します。川名ごとう皮フ科クリニックでは、原因を一緒に探すことを大切にしています。
アレルギーによる肌トラブルとは
アレルギーとは、本来は体に害のないものに対して、免疫が過剰に反応してしまう状態です。皮膚に現れるアレルギーには、いくつかの種類があり、反応が出るまでの時間が見分けの大きな手がかりになります。
すぐに出るタイプ(即時型・数分〜2時間以内)
原因に触れたり食べたりしてから、短時間で症状が現れます。じんましん、赤み、腫れ、かゆみが代表的です。
- じんましん
盛り上がった赤み(膨疹)が出て、数時間で消えていくのが特徴です。食べ物、薬、物理的な刺激などがきっかけになることがあります。 - 食物アレルギー
特定の食べ物で、皮膚だけでなく消化器・呼吸器の症状が出ることもあります。 - 接触じんましん
ラテックス(天然ゴム)などに触れて、その場に短時間でじんましんが出るもの。 - アナフィラキシー
複数の臓器に同時に強い症状が出る状態。呼吸が苦しい、繰り返し吐く、ぐったりする、意識がはっきりしないといった場合は、ただちに救急要請(119番)をしてください。
遅れて出るタイプ(遅延型・数時間〜数日後)
原因に触れてから、半日〜数日たってから症状が現れます。時間差があるため、原因に気づきにくいのが特徴です。
- アレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)
金属、化粧品、毛染め剤、ゴム、植物、外用薬などに触れた部分に、赤み・かゆみ・水ぶくれが出ます。触れた場所の形に一致することが多いのが手がかりです。 - 金属アレルギー
ニッケル、コバルト、クロムなどによるもの。アクセサリー、時計、ベルトのバックル、下着の金具などが原因になります。歯科の金属が関わることもあり、この場合は手のひらや足の裏、全身に症状が出ることがあります。 - 薬疹(薬による発疹)
服用から数日〜数週間後に出ることが多く、全身に広がることがあります。まれに重症化するタイプがあり、発熱、粘膜(口・目・陰部)のただれ、水ぶくれの広がりをともなう場合は、ただちに受診が必要です。
体質が関わるもの
- アトピー性皮膚炎
皮膚のバリア機能の弱さとアレルギー体質が関わり、湿疹をくり返す病気です。 - 花粉皮膚炎
花粉が触れる顔・首などに、季節性の赤みやかゆみが出るもの。
アレルギーではないもの(見分けが必要)
似た症状でも、アレルギーではないものがあります。
- 刺激性接触皮膚炎
洗剤や消毒液など、刺激そのものによる炎症。誰にでも起こりうるもので、アレルギーとは仕組みが違います。手荒れの多くはこちらです。 - 光線過敏
薬や化粧品と日光が組み合わさって起こるもの。日の当たる部分だけに症状が出ます。
アレルギーかどうかで、対応がまったく変わります。
アレルギーであれば原因を避ける必要がありますが、刺激によるものであれば、量や使い方の調整で続けられることもあります。この見分けが、皮膚科の役割のひとつです。
原因が分かることの意味(早期受診の重要性)
「かゆみ止めをもらって様子を見る」だけでは、解決に近づかないことがあります。
原因が分からないと、避けられません。
アレルギーの唯一確実な対策は、原因に触れないことです。何に反応しているか分からないままでは、それができません。
反応をくり返すと、強まることがあります。
アレルギー性接触皮膚炎は、原因に触れ続けることで反応が強くなっていくことがあります。早いうちに突き止めるほど、負担が小さくてすみます。
必要のない我慢や制限が生まれます。
「たぶん金属だろう」と思ってアクセサリーをすべてやめたけれど、実は原因は別だった、ということがあります。逆に「化粧品が悪い」と思って次々に変えても、原因成分が同じであれば同じことのくり返しです。検査で分かれば、避けるべきものと、避けなくてよいものがはっきりします。
薬疹は、命に関わることがあります。
多くの薬疹は薬を中止すれば軽快しますが、まれに重症化するタイプがあります。発熱や粘膜のただれをともなう発疹は、緊急性が高いサインです。
別の病気が隠れていることがあります。
アレルギーだと思っていた症状が、感染症や別の皮膚疾患だったということもあります。
一方で、すべてのアレルギーの原因が特定できるわけではありません。それでも、調べれば分かることは確実にあります。心当たりがあれば、一度ご相談ください。なお、経過や検査結果には個人差があります。
当院のアレルギー診療の特徴
アレルギーによる肌トラブルの診療は、保険診療の範囲で行える問診・検査を組み合わせて進めます。川名ごとう皮フ科クリニックでは、症状を抑えることと、原因を突き止めることの両方を大切にしています。
皮膚科専門医による診療
皮膚に出るアレルギーは種類が多く、アレルギーではない病気とも見分けが必要なため、経過と分布をていねいに確かめてから方針を決めることを大切にしています。
「いつ・どこに・何をした後」から原因をたどる
アレルギーの原因を突き止めるうえで、最も強力な手がかりは問診です。当院では、次のようなことを一緒に整理していきます。
- 症状が出るまでの時間(すぐか、翌日以降か)。即時型か遅延型かの手がかりになります
- 症状の出る場所の形。アクセサリーの形、下着のゴムの位置、塗った範囲に一致していないか
- 使っているもの、新しく始めたもの(化粧品、洗剤、外用薬、サプリメント、処方薬)
- 職業・趣味(美容師、医療従事者、飲食、園芸、金属加工など)
- 季節・場所との関係
そのうえで、必要に応じてパッチテストや血液検査をご提案します。検査は「陽性を探す」ためではなく、避けるべきものを絞り込むために行います。当院では、症状と関係のない項目を手当たり次第に調べることは避け、経過から絞ったうえで実施します。不必要な結果は、不必要な制限を生むからです。
また、歯科金属が関わっていると考えられる場合には、診断は当院で行い、金属の除去については連携している歯科医院へご紹介する体制を整えています。原因が体の別の場所にあるときも、そこまで含めて対応できるようにしておきたいと考えています。
通いやすい体制
所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族から大人の方まで、幅広い世代が通いやすい環境づくりを心がけています。パッチテストは数日にわたって判定に来ていただく必要があるため、通いやすさを大切にしています。
栄養・生活面のサポートも院内で(ご希望に応じて)
当院には管理栄養士が在籍し、ご希望に応じて、食事や生活面のご相談も同じ場所で受けていただけます。食物除去が必要な場合の献立の工夫など、日々の食卓についてご相談を承ります。これは、医師による診断と方針を基本としたうえで、ご希望に応じてご案内している追加のサポートであり、標準治療に代わるものでも、効果を保証するものでもありません。保険診療とは別のご案内(自費)となります。
診療の流れ(初診〜)
初めて受診される際の、大まかな流れをご説明します。実際の進め方は、症状や状態によって変わる場合があります。
受付・問診
症状の出た時期と場所、出るまでの時間、これまでの経過、使っているもの・新しく始めたもの、職業、既往歴、服用中のすべてのお薬をうかがいます。症状が強いときの写真、使用中の化粧品や外用薬の現物・パッケージ、お薬手帳をお持ちいただけると、大きな手がかりになります。
診察
医師が皮膚の状態を直接診て、発疹の性状と分布を確認します。触れた形に一致しているか、日の当たる部分に限られているかなどが、見分けの手がかりになります。
検査(必要に応じて)
パッチテスト、血液検査、光線過敏の検査などから、必要なものをご提案します。何を確かめるための検査かを、そのつどご説明します。
方針のご説明
診察と検査の結果をふまえ、避けるべきもの、避けなくてよいもの、治療の内容を分かりやすくご説明します。
治療・経過の確認
症状に対する治療を行いながら、原因を避けることで再発が減るかを確認していきます。必要に応じて、歯科や内科など他科へご紹介いたします。
行われることのある検査
パッチテスト
遅延型(かぶれ・金属アレルギー)の原因を調べる、中心的な検査です。
疑わしい物質を含むシールを背中や腕に貼り、時間をおいて反応を見ます。日本人に多い原因をまとめた検査キットを用いる方法と、ご自身が使っている化粧品などを実際に貼って調べる方法があります。
- 48時間貼付したままにします(この間、入浴・激しい運動は制限されます)
- はがした直後、さらに1〜2日後にも判定を行います
- このため、合計3〜4回のご来院が必要です
- 汗をかく季節や、症状が強く出ている時期は避けることがあります
手間のかかる検査ですが、「何を避ければよいか」を具体的に知ることができるという点で、価値の大きい検査です。
血液検査(特異的IgE抗体検査)
**即時型(食物・花粉・ダニ・ラテックスなど)**に関わる抗体を調べます。ただし、陽性=必ず症状が出る、ではありません。実際の症状と組み合わせて解釈します。
皮膚生検
診断を確かめる必要がある場合に、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べます。
光線過敏の検査
日光が関わっていると考えられる場合に検討されます。
治療の考え方
原因を避ける(最も重要)
アレルギーの根本的な対策は、原因に触れない・摂らないことです。検査で原因が分かれば、具体的にどの成分を避ければよいかをご説明します。化粧品であれば成分表示の見方、金属であれば素材の選び方などもお伝えします。
症状に対する治療
- ステロイド外用薬
炎症をしずめる基本の治療です。部位に合った強さを選びます。 - 抗ヒスタミン薬
かゆみやじんましんに用いられます。 - 保湿剤
皮膚のバリア機能を保つことは、アレルギー物質が入り込みにくい状態をつくることにつながります。 - ステロイド内服
症状が強い場合に、期間を限って検討されることがあります。
薬疹が疑われる場合
原因と考えられる薬の中止が最優先です。ただし、自己判断で中止しないでください。 持病の治療に必要な薬であることも多く、処方元の医師との相談が必要です。原因薬が特定できた場合は、今後その薬を避けられるよう、記録を残すことが大切です。お薬手帳への記載などをご案内します。
歯科金属が関わる場合
診断を当院で行い、金属の除去については連携している歯科医院へご紹介いたします。
ご家庭でのケア・注意点
記録をつける
いつ・何をして・どのくらいたって・どんな症状が出たか。写真も残しておくと、診察で大きな手がかりになります。
使っているものを取っておく
化粧品、外用薬、洗剤などは、パッケージごと保管しておいてください。成分表示が原因の特定に役立ちます。
新しいものは、少しずつ試す
化粧品を新調するときは、目立たない部分で数日試してから使い始めると安心です。
皮膚のバリアを保つ
乾燥した皮膚は、アレルギー物質が入り込みやすい状態です。保湿を習慣にしましょう。
自己判断で範囲を広げすぎない
「たぶんこれだろう」と次々にやめていくと、生活が窮屈になるうえ、原因の特定も難しくなります。まずはご相談ください。
お薬手帳を活用する
薬でアレルギーが出た場合、その情報はご自身を守る大切な記録になります。必ず残してください。
緊急のサインを知っておく
呼吸が苦しい、繰り返し吐く、ぐったりする、意識がはっきりしない、発熱と粘膜のただれをともなう発疹。これらは救急対応が必要です。
よくある質問
Q. アレルギーかどうか、どうやって分かりますか?
-
A. 症状の出るまでの時間、出る場所の形、経過が大きな手がかりになります。そのうえで、遅延型であればパッチテスト、即時型であれば血液検査などで確かめます。まずはご相談ください。
Q. 検査には保険が使えますか?
-
A. 診断のために必要と判断される検査は、保険診療の対象です。なお、栄養・生活面のサポートなど、保険診療とは別に(自費で)ご案内する取り組みもあります。費用について気になる点は、診察時にお尋ねください。
Q. パッチテストは痛いですか?
-
A. シールを貼るだけですので、痛みはありません。ただし、反応が出た部分にかゆみが出ることがあります。また、48時間貼ったままにする必要があり、その間の入浴や運動が制限されます。
Q. アレルギーの検査を全部やってほしいのですが。
-
A. 症状と関係のない項目まで幅広く調べることは、おすすめしていません。陽性という結果だけが残り、必要のない制限につながることがあるためです。経過をうかがったうえで、必要な項目に絞ってご提案します。
Q. 金属アレルギーですが、歯の詰め物も関係ありますか?
-
A. 関係することがあります。手のひらや足の裏に症状が出る場合など、歯科金属が関わっていることがあります。当院で診断を行い、金属の除去については連携している歯科医院へご紹介する体制を整えています。
Q. 薬で発疹が出ました。その薬をやめてよいですか?
-
A. 自己判断での中止は避けてください。持病の治療に必要な薬であることも多く、処方元の医師との相談が必要です。ただし、発熱や粘膜のただれをともなう場合は緊急性が高いため、ただちに受診してください。
Q. アレルギーは治りますか?
-
A. 種類によります。食物アレルギーの一部は成長とともに食べられるようになることがありますが、金属や化粧品成分へのアレルギーは、いったん成立すると長く続くことが多いとされています。原因を避けることが基本の対応になります。
Q. 化粧品を変えても、また同じ症状が出ます。
-
A. 異なる製品でも、同じ原因成分を含んでいることがよくあります。パッチテストで原因成分が分かれば、成分表示を見て避けられるようになります。
Q. 子どもでも検査を受けられますか?
-
A. 年齢や検査の種類によります。パッチテストは、貼付中じっとしていられるかがポイントになります。診察時にご相談ください。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。同時に、皮膚は外の世界と体との境目でもあります。触れたもの、食べたもの、体に入ったもの。そのすべてに対する反応が、真っ先に表れる場所です。
アレルギーによる肌トラブルで、私が最も大切にしたいのは、原因を一緒に突き止めることです。かゆみ止めを出すだけなら簡単ですが、それでは同じことがくり返されます。「何を避ければよいのか」が分かってはじめて、その方の毎日が変わると思っています。
一方で、必要のない制限を増やしたくないとも考えています。検査で手当たり次第に調べれば、症状と関係のない陽性が出ることがあります。その結果だけが残って、食べられるものを避け続けたり、使えるはずの化粧品をあきらめたりするのは、あまりに惜しいことです。だから当院では、経過から絞り込んだうえで検査を行います。避けるべきものと、避けなくてよいものをはっきりさせること。それが目的です。
そして、原因が皮膚の外にあるときには、そちらへおつなぎします。歯科金属が関わるケースでは、診断は当院で行い、除去は連携する歯科医院にお願いする体制を整えました。皮膚だけを見て終わらせず、その方の背景まで含めて考える診療を目指しています。
私自身、患者様のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを信条としています。「何かに反応している気がするけれど、それが何か分からない」。そんな段階でも構いません。どうぞご相談ください。皮膚のことだけでなく、体全体の健康と美しさのかかりつけ医として、地域の皆さまにご利用いただけるクリニックでありたいと願っています。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
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