「毎日シャンプーしているのにフケが出る」「小鼻の横だけいつも赤い」「治ったと思ったら、疲れたときにまた出てくる」――そんな症状は、脂漏性皮膚炎かもしれません。
頭皮のフケ・かゆみ、小鼻や眉間の赤みをくり返す方へ。脂漏性皮膚炎は「洗い不足」ではなく、皮脂・マラセチア・皮膚の炎症が関係する病気です。
歴史をたどると、19世紀後半、フランスの病理学者Louis-CharlesMalassezがフケのある頭皮に酵母様の微生物を見つけたことが大きな転機となりました。現在、この酵母は彼の名前から**マラセチア(Malassezia)**と呼ばれています。ただし、その後の研究でマラセチアは健康な皮膚にも普通に存在することが分かりました。
つまり脂漏性皮膚炎は、単純な「カビの感染症」ではありません。
皮脂+マラセチア+皮膚バリア+免疫反応
これらのバランスが崩れることで炎症が起こると考えられています。
2024年に発表された121研究、約126万人を対象とした大規模解析では、脂漏性皮膚炎の世界的な有病率は約4.4%、成人では約5.6%でした。決して珍しい病気ではありません。
フケが増えて、頭皮がかゆい。小鼻のわきや眉間が赤くカサつく。何度もくり返すので、シャンプーを変えたり洗い方を工夫したりしてきた。脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、こうした形で長く付き合ってこられる方の多い病気です。「洗い方が足りないから」「不潔だから」と思われがちですが、実際には皮脂の多い場所に住むカビ(真菌)の一種と、皮脂の分泌、そして体質が関わっています。洗いすぎることでかえって悪化することも少なくありません。このページでは、脂漏性皮膚炎の原因や治療、日々のケアまでを、できるだけ分かりやすくご説明します。川名ごとう皮フ科クリニックでは、皮膚科専門医による保険診療を土台に、くり返しと上手に付き合う診療を心がけています。
脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位(脂漏部位)に生じる、慢性の湿疹です。「慢性」とは、症状が長い期間にわたって続いたり、再発をくり返したりする状態を指します。
できやすいのは、次のような部位です。
- 頭皮(最も多く、フケとして自覚されます)
- 眉毛、眉間
- 小鼻のわき、鼻の周り
- 耳の中、耳のうしろ
- 前胸部、背中の中央
- わきの下、そけい部
大人の脂漏性皮膚炎は、思春期以降のどの年代にもみられ、男性にやや多い傾向があります。良くなったり悪くなったりをくり返しやすく、季節や体調によって波があるのが特徴です。
一方、乳児にも脂漏性皮膚炎がみられます。生後2〜3か月ごろまでに、頭や眉、額に黄色っぽいかさぶたやフケのようなものが付くもので、これは母親由来のホルモンの影響で皮脂の分泌が一時的に多いことによると考えられています。大人のものと違い、多くは成長とともに自然に落ち着いていきます。
なお、脂漏性皮膚炎は「うつる」病気ではありません。また、清潔にしていないから起こるものでもありません。
主な症状
脂漏性皮膚炎では、次のような症状がみられます。
- フケが増える(乾いた細かいもの、あるいは黄色っぽく脂っぽいもの)
- 頭皮のかゆみ
- 赤み(紅斑)
- 皮膚の表面がカサつく、粉をふく(鱗屑〔りんせつ〕)
- 小鼻のわきや眉間が赤く、脂っぽくカサつく
- 耳のうしろが切れる、じくじくする
- 前胸部・背中の中央に、赤い斑点
かゆみの程度は人によってさまざまで、ほとんど気にならない方もいれば、かき壊してしまうほど強い方もいらっしゃいます。
見た目が似た病気に、乾癬、アトピー性皮膚炎、頭部の白癬(しらくも)、接触皮膚炎、酒さなどがあります。治療の内容が異なるため、市販薬を使い続ける前に、一度皮膚科でご確認いただくことをおすすめします。
当院での治療アプローチ
当院では、薬を塗って一時的に治すだけでなく、**「なぜくり返しているのか」「どうすれば良い状態を長く保てるか」**まで考えます。
- 皮膚科専門医が頭皮・顔・耳・胸など症状の分布を確認
- 必要に応じて顕微鏡検査などを行い、白癬などを除外
- マラセチアを抑える抗真菌薬を中心に治療
- 炎症が強い時期は適切な強さの抗炎症薬を短期間使用
- シャンプー、洗顔、整髪料、スキンケアを確認
- 再発しやすい方には「悪くなってから治す」だけでなく維持方法も相談
- 睡眠、ストレス、飲酒、食生活など悪化因子を確認
- ご希望に応じて管理栄養士による栄養・生活面のサポートも検討
標準的な保険診療を治療の土台とし、必要に応じて生活習慣まで一緒に見直していきます。
具体的な症状と年齢別の特徴
赤ちゃん
生後数週~数か月ごろ、頭に黄色っぽい厚いかさぶたが付くことがあります。「乳児脂漏性皮膚炎」あるいは「乳痂」と呼ばれ、多くは成長とともに改善します。
無理にはがすと皮膚を傷つけるため、厚いかさぶたはワセリンなどでやわらかくしてから、やさしく洗います。
思春期~成人
皮脂分泌が増える年代から目立つようになります。
- 頭皮のフケ・かゆみ
- 髪の生え際の赤み
- 眉毛・眉間のカサつき
- 小鼻のわきの赤み
- 耳の中・耳の後ろの湿疹
- 胸の中央の赤い湿疹
などが代表的です。
高齢者
年齢とともに皮脂は減りますが、脂漏性皮膚炎が続く方もいます。また、脂漏性皮膚炎はパーキンソン病など一部の神経疾患で多いことが知られています。
ただし、脂漏性皮膚炎があるからパーキンソン病になる、という意味ではありません。
なぜ脂漏性皮膚炎になるのか?
ポイントは「皮脂が多いから」だけではありません。皮膚をひとつの「小さな生態系」と考えると分かりやすくなります。
- マラセチア
マラセチアは健康な人にもいる常在菌です。皮脂を利用して生活しており、その代謝産物などに皮膚が反応して炎症が起こると考えられています。 - 皮脂
頭皮、眉間、小鼻、耳周囲、胸など「皮脂腺の多い場所」に症状が集中します。 - 皮膚バリア
洗いすぎや強い摩擦によって皮膚のバリアが傷むと、刺激を受けやすくなります。
「フケがある→もっと洗う→さらに荒れる→もっとフケが出る」という悪循環には注意が必要です。 - 免疫反応
同じようにマラセチアが存在しても、全員が脂漏性皮膚炎になるわけではありません。菌そのものだけでなく、皮膚側の免疫反応の違いが重要と考えられています。 - ストレス・睡眠・生活環境
ストレスや疲労、季節変化などで悪化する患者さんも少なくありません。2024年の栄養に関するシステマティックレビューでも、食事と脂漏性皮膚炎との関連は研究されていますが、特定の食品やサプリメントで治療できるという段階には至っていません。
そのため当院では、まず普段の食事・睡眠・飲酒・体重管理などを確認します。
治療法
●抗真菌薬
マラセチアを抑える治療です。
代表的なのが**ケトコナゾール(ニゾラール®)**です。抗真菌外用薬の有効性は複数のランダム化比較試験やシステマティックレビューで確認されており、脂漏性皮膚炎治療の中心となります。
●ステロイド外用薬
赤みやかゆみが強い時期に、炎症をすばやく抑えます。
ただし顔に強いステロイドを長期間使用すると、皮膚が薄くなる、毛細血管が目立つなどの副作用が問題となるため、適切な強さを必要な期間だけ使うことが重要です。
●その他の抗炎症外用薬
海外ではカルシニューリン阻害薬など、ステロイド以外の抗炎症薬についても研究されています。日本では脂漏性皮膚炎に対する適応の有無を含め、患者さんごとに慎重な判断が必要です。
●かゆみに対する治療
かゆみが強い場合には、症状に応じて抗ヒスタミン薬などを検討することがあります。
●光線療法
重症・難治例にNB-UVBが有効だった小規模研究がありますが、脂漏性皮膚炎に対する標準的な第一選択治療ではありません。一般的には抗真菌薬や抗炎症外用薬を優先します。
脂漏性皮膚炎は、ひとつの原因ではなく、いくつかの要素が重なって生じると考えられています。
マラセチアという真菌(カビの一種)
皮膚の表面に、誰にでもいる常在菌です。皮脂を栄養にして増え、皮脂を分解する過程で生じる物質が、皮膚に刺激や炎症を起こすと考えられています。「カビ」と聞くと不安になるかもしれませんが、もともと誰の皮膚にもいるもので、感染症ではありません。
皮脂の分泌
皮脂の多い部位に症状が出るのは、これが理由です。ホルモンの影響、体質、年齢によって分泌量は変わります。
皮膚のバリア機能・体質
同じようにマラセチアがいても、症状が出る方と出ない方がいます。皮膚の性質や免疫の反応の仕方が関わっていると考えられています。
悪化させる要因
- 睡眠不足、疲労、ストレス
- 食生活の偏り(とくにビタミンB群の不足が関わるとされます)
- 飲酒
- 季節の変化(冬に悪化しやすい方が多い一方、夏に悪化する方もいます)
- 洗いすぎ・洗い方の刺激
- 合わないシャンプーや整髪料
このように、脂漏性皮膚炎は生活のリズムが表れやすい病気でもあります。忙しい時期に悪化する、という方は少なくありません。
脂漏性皮膚炎が疑われるとき・セルフチェック
次のような場合、脂漏性皮膚炎が関係している可能性があります。あくまで受診の目安としてご確認ください。
フケが増え、シャンプーを変えても改善しない
頭皮がかゆく、かくとフケが落ちる
小鼻のわきや眉間が、いつも赤くカサついている
耳のうしろが切れる、じくじくすることがある
前胸部や背中の中央に赤い斑点が出る
疲れたときや睡眠不足のときに悪化する
良くなったり悪くなったりをくり返している
これらに当てはまるからといって、必ずしも脂漏性皮膚炎とは限りません。とくに頭皮の症状は、乾癬や頭部の白癬と見分けが必要になることがあります。
脂漏性皮膚炎を放置するとどうなるか(早期受診の重要性)
「フケくらい」「そのうち治るから」と我慢を重ねているうちに、負担が大きくなることがあります。
かき壊しによる悪化
かゆみをかくと、皮膚が傷つき炎症が強まります。頭皮では、かき壊した部分から細菌が入り、化膿することがあります。
慢性化・範囲の拡大
炎症をくり返すうちに、症状が定着し、範囲が広がることがあります。
見た目の負担
フケが肩に落ちる、顔の赤みが目立つといったことは、人と接する場面での気疲れにつながります。「清潔にしていないと思われるのでは」と気にされる方は少なくありません。
別の病気を見逃す
頭部の白癬(真菌の感染症)は、治療の内容がまったく異なります。市販薬を使い続けた結果、診断が難しくなることもあります。また、頭皮の乾癬が脂漏性皮膚炎と思われていることもあります。
洗いすぎによる悪循環
「フケが出るのは洗い方が足りないからだ」と考えて洗浄を強めると、皮膚のバリアがさらに傷み、かえって悪化することがあります。これは非常によくあるパターンです。
一方で、脂漏性皮膚炎は適切な治療とケアで落ち着かせていける病気です。完全に「終わり」にすることは難しくても、良い状態を保ちながら過ごすことは十分に目指せます。なお、経過や治療への反応には個人差があります。
当院の脂漏性皮膚炎治療の特徴
脂漏性皮膚炎は、塗り薬による標準的な治療(保険診療)とスキンケアの組み合わせが基本です。川名ごとう皮フ科クリニックでは、まず保険診療でできる標準的な治療をしっかり行うことを土台に、くり返しと上手に付き合っていく診療を心がけています。
皮膚科専門医による診療
当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。脂漏性皮膚炎は、乾癬や頭部の白癬など見た目の似た病気と紛らわしいことがあるため、必要に応じて検査を行い、確かめてから治療方針を決めることを大切にしています。
「くり返す」ことを前提に、付き合い方を組み立てる
脂漏性皮膚炎の治療で難しいのは、薬でいったん落ち着いても、しばらくすると戻ってきやすいことです。だからこそ当院では、症状が出たときに抑える方法と、良い状態を保つための日常のケアの両方を組み立てていきます。とくに洗い方は重要です。「洗いすぎない」「すすぎ残さない」「こすらない」。このあたりを見直すだけで変わる方が多くいらっしゃいます。使っているシャンプーや整髪料についても、一緒に確認します。また、脂漏性皮膚炎は疲れや睡眠不足で悪化しやすいため、どんなときに悪くなるのかを一緒に把握しておくことも役立ちます。毎回同じ薬を漫然と続けるのではなく、その時々の状態に合わせて治療を見直していくことを大切にしています。
通いやすい体制
所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族から大人の方まで、幅広い世代が通いやすい環境づくりを心がけています。脂漏性皮膚炎は長く付き合っていくことの多い病気だからこそ、無理なく通い続けられることを大切にしています。
栄養・生活面のサポートも院内で(ご希望に応じて)
当院には管理栄養士が在籍し、ご希望に応じて、栄養や生活面のご相談も同じ場所で受けていただけます。脂漏性皮膚炎は、食生活や生活リズムの影響を受けやすい病気とされています。これは、保険診療による標準的な治療を基本としたうえで、ご希望に応じてご案内している追加のサポートであり、標準治療に代わるものでも、効果を保証するものでもありません。なお、こうした栄養・生活面のサポートは、保険診療とは別のご案内(自費)となります。くわしくは診察時にご説明します。
脂漏性皮膚炎の治療の流れ(初診〜)
初めて受診される際の、大まかな流れをご説明します。実際の進め方は、症状や状態によって変わる場合があります。

受付・問診
ご来院後、問診票に、症状の経過、悪化する時期や場面、使っているシャンプー・整髪料・スキンケア用品、洗い方、これまでの治療、生活のリズムなどをご記入いただきます。

診察
医師が皮膚の状態を直接診て、症状の分布と程度を確認します。脂漏部位に一致しているか、境目の様子はどうかなどが、見分けの手がかりになります。

検査(必要に応じて)
頭部の白癬との見分けが必要な場合は顕微鏡検査を、診断を確かめる必要がある場合は皮膚生検をご提案することがあります。

治療方針のご説明
診察の結果をふまえ、治療の内容と、日常での洗い方・ケアの工夫を分かりやすくご説明します。当院では、患者様に納得していただいたうえで治療を進めることを大切にしています。

治療の開始・経過の確認
塗り薬などによる治療を始め、経過を見ながら調整していきます。落ち着いた後の維持の仕方についてもご相談いただけます。
脂漏性皮膚炎の治療方法・選択肢
ここでは一般的な治療法をご紹介します。どの治療が適しているかは、症状の程度や部位、年齢に応じて、医師が一人ひとりの状態に合わせて検討します。
外用療法(塗り薬)
- 抗真菌薬の外用
マラセチアの増殖を抑えることを目的とした塗り薬です。脂漏性皮膚炎の治療の中心となるもののひとつで、症状が落ち着いた後も、間隔をあけて使い続けることで良い状態を保ちやすくなることがあります。頭皮にはローションやクリーム、体には軟膏やクリームなど、部位に合った剤形を選びます。 - ステロイド外用薬
赤みやかゆみが強い場合に、炎症をしずめる目的で用います。顔は皮膚が薄いため、部位に合った強さのものを短期間で用い、落ち着いたら抗真菌薬などに切り替えていくのが一般的です。自己判断で強い薬を長く使い続けることは避けてください。 - 保湿剤
乾燥をともなう場合に用います。
内服療法(飲み薬)
- ビタミンB群(ビタミンB2・B6)
皮脂の分泌や皮膚の代謝に関わるとされ、補助的に用いられることがあります。 - 抗ヒスタミン薬
かゆみが強い場合に用いられることがあります。 - 抗真菌薬の内服
症状が強い場合などに検討されることがあります。
抗真菌成分入りのシャンプー
頭皮の症状に対して、抗真菌成分を含むシャンプーが用いられることがあります。使い方(つけてから流すまでの時間、頻度)が効果に関わりますので、診察時にご説明します。
光線療法(紫外線療法)
外用療法で十分に落ち着かない場合などに検討されることがあります。当院ではエキシマライト・ナローバンドUVB療法に対応しており、適応については診察のうえでご説明します。
乳児の脂漏性皮膚炎
多くは成長とともに自然に落ち着きます。かさぶたが厚く付いている場合は、入浴前にワセリンやベビーオイルでやわらかくしてから、泡でやさしく洗い流す方法をご案内します。無理にはがすと皮膚を傷めますので、少しずつ進めてください。炎症が強い場合は、短期間の外用薬を用いることがあります。
ご家庭でのケア・予防(セルフケア)
脂漏性皮膚炎は、日々の洗い方が症状を大きく左右します。
洗いすぎない
「フケが出るから」と1日に何度も洗ったり、強い洗浄力のものを使ったりすると、皮膚のバリアが傷んで悪化することがあります。基本は1日1回で十分です。
こすらない
爪を立てて洗うのは避け、指の腹でやさしく洗いましょう。ナイロンタオルやブラシで強くこするのもおすすめしません。
しっかりすすぐ
すすぎ残しは刺激になります。とくに髪の生え際、耳のうしろ、うなじは残りやすい部位です。時間をかけて流してください。
ぬるめのお湯で
熱いお湯は皮脂を過剰に奪い、かえって分泌を促すことがあります。
しっかり乾かす
濡れたまま放置すると、湿った環境がマラセチアの増殖を助けます。ドライヤーで根元まで乾かしましょう。ただし熱を当てすぎないようご注意ください。
整髪料・化粧品を見直す
油分の多い整髪料は、症状を悪化させることがあります。使う量や種類を調整してみてください。
生活のリズムを整える
睡眠不足、疲労、ストレス、飲酒は悪化のきっかけになります。忙しい時期に症状が出やすい方は、その時期の手前からケアを強めておくと軽くすむことがあります。
食生活
ビタミンB群を含む食品(レバー、卵、乳製品、緑黄色野菜、魚など)を意識するとよいとされています。脂質・糖質にかたよった食事は、症状に影響することがあります。ただし、食事だけで治るというものではありません。
市販薬の長期使用は慎重に
とくにステロイドを含む市販薬を顔に長く使うと、別の問題を招くことがあります。良くならない場合は、一度診察をお受けください。
よくある質問
Q. 不潔だから起こるのですか?
-
A. いいえ。皮脂を栄養にする常在菌と、皮脂の分泌、体質が関わっています。むしろ洗いすぎることで悪化することも多く、「もっと洗わなければ」と考える必要はありません。
Q. うつりますか?
-
A. うつりません。原因となるマラセチアは、もともと誰の皮膚にもいる常在菌です。
Q. フケ用シャンプーで治りますか?
-
A. 症状が軽ければ、抗真菌成分を含むシャンプーで落ち着くこともあります。ただし、赤みやかゆみが強い場合は、炎症をしずめる治療が必要です。市販品を試して改善しない場合は、ご相談ください。
Q. 治療には保険が使えますか?
-
A. 脂漏性皮膚炎の診断・治療は保険診療の対象です。なお、栄養・生活面のサポートなど、保険診療とは別に(自費で)ご案内する取り組みもあります。費用について気になる点は、診察時にお尋ねください。
Q. 完治しますか?
-
A. 体質や皮脂の分泌が関わるため、「これで終わり」と言い切れる性質のものではありません。一方で、適切な治療とケアを続けることで、症状の落ち着いた良い状態を保ちながら過ごすことは十分に目指せます。
Q. ステロイドを使い続けても大丈夫ですか?
-
A. 顔などにステロイド外用薬を長く使い続けることはおすすめしません。当院では、炎症の強い時期に短期間用い、落ち着いたら抗真菌薬などに切り替えていく進め方をご説明します。自己判断での長期使用は避けてください。
Q. 赤ちゃんの頭のかさぶたも同じですか?
-
A. 乳児脂漏性皮膚炎と呼ばれ、大人のものとは経過が異なります。多くは成長とともに自然に落ち着きます。かさぶたが厚い場合の落とし方もご案内できますので、ご相談ください。
Q. 脱毛につながりますか?
-
A. 脂漏性皮膚炎そのもので永久的に髪が失われることは、通常ありません。ただし、強いかゆみでかき壊しをくり返すと、頭皮に負担がかかります。かゆみは早めに抑えることをおすすめします。
Q. 食事で良くなりますか?
-
A. ビタミンB群を含む食品を意識することはすすめられていますが、食事だけで治るというものではありません。標準的な治療を基本としたうえで、ご希望があれば院内の管理栄養士とご相談いただけます。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。脂漏性皮膚炎は、その言葉がとくによく当てはまる病気だと感じています。忙しさが続いたとき、眠れない日が重なったとき、決まって症状が出るという方は少なくありません。皮膚が、体からの合図を出してくれているのだと思います。
この病気でよくお聞きするのが、「不潔だと思われそうで気になる」というお気持ちです。まずお伝えしたいのは、そうではないということです。原因となる菌は誰の皮膚にもいるものですし、むしろ洗いすぎることで悪化していることのほうが多いくらいです。ご自身を責める必要はまったくありません。
そして、脂漏性皮膚炎は「くり返す」病気です。だからこそ私は、症状が出たときに抑える方法だけでなく、良いときをどう長く保つかをご一緒に考えたいと思っています。薬を出して終わりではなく、洗い方、使っているもの、どんなときに悪くなるのか。そこまで一緒に整理していくことが、結果的にいちばん確実な近道になると考えています。ご希望があれば、食事や生活のリズムについて、院内の管理栄養士とご相談いただくこともできます。
私自身、患者様のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを信条としています。「フケくらいで受診してよいのだろうか」と迷われる方もいらっしゃいますが、気になっているならそれは十分な受診の理由です。どうぞお気軽にご相談ください。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
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