Disease

男性型脱毛症(AGA)

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朝、洗面台に落ちた髪の量が気になる。何気なく撮られた写真で、自分のつむじが思っていたより広いことに気づいた。帽子をかぶる回数が、いつのまにか増えている——。髪のお悩みは、人になかなか相談しにくいものです。「年齢のせいだから仕方がない」とあきらめておられる方も少なくありません。けれど、男性の薄毛のすべてが男性型脱毛症(AGA)というわけではありません。円形脱毛症、頭皮の湿疹、体の内側の病気が背景にあることもあります。同じ「薄くなってきた」でも、原因が違えば、効く治療も違います。 このページでは、AGAの進み方と原因、見分けが必要な病気、そして治療で期待できることとできないことを、できるだけ正直にご説明します。

※本ページでご紹介する治療の多くは自由診療(保険適用外)です。一部、保険診療の対象となるものもあります。詳しくは各項目をご確認ください。

男性型脱毛症(AGA)とは

男性型脱毛症は、英語の androgenetic alopecia の頭文字をとって「AGA(エージーエー)」とも呼ばれる、思春期以降の男性にみられる進行性の脱毛症です。日本人男性ではおよそ3人に1人程度にみられるとされ、年代が上がるにつれて割合が高くなることが報告されています。

特徴は、髪が急にごっそり抜けるというより、太くしっかりした毛が、細く短い毛に置き換わっていく点にあります。一本一本が細くなり、色も薄く、長さも伸びきらなくなる。その積み重ねで地肌が透けて見えるようになります。「いつのまにか薄くなっていた」と感じる方が多いのは、このゆるやかな置き換わりが背景にあるためです。なお日本皮膚科学会は男性型脱毛症・女性型脱毛症の診療ガイドラインを公表しており、当院はこうした標準的な考え方を土台に治療を組み立てます。

毛周期(ヘアサイクル)に何が起きているのか

髪には「毛周期(ヘアサイクル)」と呼ばれる周期があります。毛が伸び続ける成長期(通常2〜6年ほど)、成長が止まる退行期(2〜3週間ほど)、抜け落ちるのを待つ休止期(3〜4か月ほど)をくり返し、休止期を終えた毛穴からは、また新しい毛が生えてきます。健康な頭皮では、全体の8〜9割の毛が成長期にあるとされています。

AGAでは、この成長期が数か月から1年程度にまで短くなります。育ちきる前に成長期が終わるため毛は太く長くなりきれず、この変化を**軟毛化(なんもうか)**と呼びます。ただし健康な方でも1日に50〜100本程度は自然に抜けるものです。**抜け毛の本数よりも、「抜けた毛が以前より細くなっていないか」**のほうが、大切な手がかりになります。

進み方のパターン(ハミルトン-ノーウッド分類)

国際的にはハミルトン-ノーウッド分類が用いられ、進行の程度がI型からVII型まで整理されています。大きく分けると次の3つです。

  • 前頭部から進むタイプ(いわゆるM字) 額の生え際が左右のこめかみ側から後退します。鏡で気づきやすく、早い段階で自覚されるパターンです。
  • 頭頂部から進むタイプ(いわゆるO字・つむじ周り) つむじを中心に地肌が丸く透けます。自分では見えにくいため、ご家族に指摘されて気づく方が少なくありません。
  • 両方が同時に進むタイプ 進行すると、その2か所がつながっていきます。

一方、後頭部と側頭部の毛は比較的最後まで保たれるのがAGAの特徴です。逆に、頭全体がまんべんなく薄い場合や、境目のはっきりした脱毛斑がある場合は、AGA以外の脱毛症を考える必要があります。

放っておくとどうなるか

AGAは進行性です。何もしなければ少しずつ進むのが一般的で、自然に元へ戻ることはまずありません。軟毛化した毛包は治療で再び太く育つ可能性が残されていますが、長い年月をかけて毛包そのものが失われた部分は、薬による治療では戻りにくいとされています。治療は「進行を抑え、いま残っている毛を育てる」ことが中心であり、完全に失われたところを元通りにするものではありません。 気になり始めた段階でご相談いただくほうが、選べる手段は多くなります。

AGAが起こる原因

男性ホルモンと5α還元酵素(5αリダクターゼ)

AGAの中心にあるのは**ジヒドロテストステロン(DHT)**という物質です。男性ホルモンであるテストステロンは、**5α還元酵素(5αリダクターゼ)**のはたらきによって、より作用の強いDHTに変換されます。このDHTが毛包の中の受容体(アンドロゲン受容体)と結びつくと、毛の成長期を短くする方向のシグナルが送られ、毛周期が乱れて軟毛化が進みます。5α還元酵素にはI型とII型があり、頭皮の毛包にはII型が多いとされています。AGAに用いられる内服薬は、この酵素のはたらきを抑えてDHTの産生を減らす考え方に基づいています。

なお「AGAの人は男性ホルモンが多いのでは」と思われがちですが、血液中の男性ホルモンの量よりも、毛包がDHTの影響をどれだけ受けやすいか(感受性)のほうが重要と考えられています。

遺伝的な体質

とくにアンドロゲン受容体の遺伝子の個人差が関係するとされ、この遺伝子がX染色体上にあることから「母方の家系の影響を受けやすい」と言われることがあります。ただし複数の遺伝子が関わると考えられており、ご家族に薄毛の方がいなくてもAGAになることはありますし、家族歴があっても必ず同じように進むわけではありません。

生活習慣・頭皮環境との関係

睡眠不足、喫煙、過度の飲酒、偏った食事、強いストレス。これらがAGAの直接の原因になると証明されているわけではありません。ここは正直に申し上げます。生活習慣を整えればAGAが治る、というものではありません。 一方で、栄養状態が悪ければ毛は育ちにくく、頭皮の炎症が続けば抜け毛が増えることもあり、乱れが重なると治療をしても伸びしろが出にくいことがあるのも事実です。

AGAと見分けが必要な脱毛症・病気

ここが、このページで最もお伝えしたい部分です。薄くなってきた=AGA、と決めつけないこと。 AGA以外の原因であれば必要な治療がまったく変わり、保険診療で治療できるもの、原因を取り除けば回復するもの、早く見つけたほうがよいものもあるためです。

  • 円形脱毛症
    境界のはっきりした脱毛斑が典型ですが、頭部全体がびまん性(全体的)に薄くなるタイプもあり、AGAと紛らわしいことがあります。自己免疫の関与が考えられている疾患で、保険診療の対象です。詳しくは「円形脱毛症」のページをご覧ください。
  • 休止期脱毛症
    高熱の出る病気、手術、大きなけが、急激な減量、強いストレスなどのあと、2〜3か月ほど遅れて全体的に抜け毛が増える状態です。きっかけが取り除かれれば回復していくことが多いものです。
  • 脂漏性皮膚炎・頭皮の湿疹
    フケが多い、かゆい、頭皮が赤いといった症状をともないます。炎症が長引けば抜け毛が増えることもあります。保険診療で治療できる病気です。
  • 頭部白癬(とうぶはくせん/しらくも)
    真菌(カビ)の感染です。これを湿疹と誤ってステロイドの塗り薬を使うと、かえって悪化します。見極めることの意味がはっきり表れる例です。
  • 瘢痕性脱毛症(はんこんせいだつもうしょう)
    毛包そのものが壊れて線維化する脱毛症で、毛穴が確認できなくなるのが特徴です。この状態になるとその部分から毛が生えてくることは期待できず、早く見つけて進行を抑えることが大切なタイプです。
  • 全身の病気・お薬の影響
    甲状腺機能の異常、鉄欠乏、亜鉛欠乏、膠原病(こうげんびょう)、栄養障害、一部の内服薬の副作用など、体の内側の状態が抜け毛として表れることがあります。強いだるさ、体重の急な変化、動悸などをともなう場合はとくに注意が必要です。
  • そのほか
    無意識に髪を抜いてしまう抜毛症、髪を強く引っ張り続ける髪型による牽引性脱毛症なども鑑別に挙がります。

なお女性の薄毛は、男性のAGAとは進み方も背景も異なります。女性の方は「女性の薄毛(女性型脱毛症)」のページをご覧ください。

当院の男性型脱毛症(AGA)治療の特徴

皮膚科専門医・日本臨床毛髪学会所属の医師による診療

当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。あわせて日本臨床毛髪学会に所属し、毛髪と頭皮の診療に関する知見を学び続けています。髪のお悩みは「美容の相談」と受け取られがちですが、頭皮は皮膚であり、脱毛症は皮膚科が扱う領域の疾患です。加えて、加齢にともなう体の変化を扱う日本抗加齢医学会、日本美容皮膚科学会・日本美容内科学会にも所属しています。

後藤院長は、藤田医科大学医学部を卒業後、安城更生病院での初期研修を経て名古屋大学医学部附属病院の皮膚科学教室に入局し、豊田厚生病院、名鉄病院、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院などの皮膚科で診療にあたってきました。大学病院から地域のクリニックまで、幅広い現場で皮膚疾患を診てきた経験を、頭皮と髪の診療にも生かしてまいります。なお、これらは後藤院長個人の経歴・資格に基づくものであり、治療の結果を保証するものではありません。

「まず診断」から入ります

当院がAGAの診療で最も重視しているのは、診断です。

前の項目でご説明したとおり、男性の薄毛にはAGA以外にも見分けが必要な病気がいくつもあります。円形脱毛症、脂漏性皮膚炎、頭部白癬、瘢痕性脱毛症、そして甲状腺や鉄の問題といった全身の背景。これらは、AGAの治療をどれだけ続けても良くなりません。 それどころか、頭部白癬のように判断を誤った処置でかえって悪化するものもあります。そのため当院では、問診で経過・既往歴・服用中のお薬をうかがい、頭皮と毛の状態をダーモスコピー(拡大鏡を用いた観察)で確認し、必要と判断した場合には血液検査もご提案します。「まずお薬を出してみましょう」という進め方は、当院ではいたしません。

もうひとつ、皮膚科で受けていただく意味は、頭皮のトラブルにその場で対応できることにもあります。外用薬でかぶれた、フケやかゆみが出た、赤みが引かない。こうしたことは一定の割合で起こりますが、皮膚科であればその場で診察し、必要なお薬を処方して対応できます。さらに、円形脱毛症や脂漏性皮膚炎など保険診療の対象となる病気が見つかった場合には、そのまま保険診療で治療を続けていただけます。 自費の治療と保険の治療を状態に応じて切り替えられることは、皮膚科クリニックだからこそできることだと考えています。

効かないものには、効かないとお伝えします

AGAの治療について、始める前に正直にお伝えしていることがあります

  • 治療は進行を抑え、いま残っている毛を育てることが中心です。失われて久しい部分が元通りになるものではありません
  • 効果を判断するまでに、6か月程度の継続が必要とされています
  • 治療を中止すると、時間をかけて元の経過に戻っていきます
  • 効果の感じ方には個人差があります

良い面だけをご説明して始めていただき、後になって「思っていたのと違う」となるのは、お互いにとって不本意だからです。また当院では、必要以上の回数やコース、量をおすすめすることはありません。 効果が見込みにくいと考えられる場合には、その旨も正直にお伝えします。

「皮膚は体を映す鏡」— 医師自身が栄養学の認定資格をもつこと

髪の主成分はたんぱく質(ケラチン)であり、その合成には鉄・亜鉛といったミネラルも関わっています。極端な食事制限のあとに抜け毛が増える方が多いのは、こうした背景があるためです。

当院には管理栄養士が常駐し、ご希望に応じて栄養や生活面のご相談も同じ場所で受けていただけます。標準的な治療と、栄養面からのアプローチを、同じ医師がひとつの方針として組み立てられること。 これが当院の考える強みです。なお栄養面のサポートは、標準的な治療を基本としたうえでご希望に応じてご案内する追加のものであり、効果を保証するものではありません。保険診療とは別のご案内(自費)となります。

ここは誤解のないようにお伝えします。栄養を整えればAGAが治る、ということではありません。 AGAには男性ホルモンという明確な背景があり、そこに対する標準的な治療が土台です。そのうえで、髪が育つための材料が足りていない状態を放置しない——そういう考え方です。詳しくは「毛髪と栄養の関係」のページでもご説明しています。なお後藤院長は、毎回同じお薬を漫然と出し続ける状態(クリニカルイナーシャ=治療の惰性)を避けたいと考えており、歯科医師免許を取得したのちに医学部へ進んだ経歴、そして名古屋大学皮膚科での恩師から学んだ包括的・全人的な医療の姿勢を、髪の診療でも大切にしています。

通いやすく、相談しやすい体制

所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を15台分ご用意しています。髪の治療は長く続けていただくものですので、無理なく通えることを大切にしています。

そして、髪のことは人にあまり知られたくないお悩みです。「相談してみたいけれど、切り出しにくい」というお気持ちは自然なものです。当院では人目を気にせずご相談いただけるよう、まずは個室設計の診察室でお話を伺います。院内にはキッズコーナーや多目的トイレ、エレベーターも設けています。

診察・治療の流れ

受付・問診

いつごろから気になり始めたか、ご家族の状況、これまでに試したこと、服用中のお薬、急な体重や体調の変化などをうかがいます。

診察(視診・触診・ダーモスコピー)

生え際・頭頂部・後頭部で毛の太さがどう違うか、毛穴の状態、炎症やフケの有無を拡大鏡で観察します。

必要に応じた血液検査

全身の背景疾患が疑われる場合に行います。目的と費用は事前にご説明します。

診断と治療方針のご説明

期待できること・できないこと・費用・副作用をあわせてお伝えします。

ご検討・ご決定

その日のうちにお決めいただく必要はありません。

治療の開始と経過の確認

定期的に経過と副作用の有無を確認します。

治療方法

当院で実際に提供する治療の内容については、診察のうえでご案内します。

どれが適しているかは、進行の程度、年齢、持病や服用中のお薬などによって異なります。

  • 内服薬(自由診療)
    **5α還元酵素のはたらきを抑えるお薬(一般名:フィナステリド、デュタステリド)**が用いられます。DHTへの変換を抑え、進行を抑えることを目的としたお薬です。女性および小児には使用できません。
  • 外用薬(自由診療)
    毛包にはたらきかけることで発毛を促すことを目的とした外用薬(一般名:ミノキシジル外用薬)が用いられます。血管を広げる作用をもつ成分で、毛の成長期を延ばす方向にはたらくと考えられています。
  • そのほかの方法について
    薬剤や機器によっては国内での承認状況や適応が異なります。当院で取り扱いのある方法については、診察時に個別にご説明します。
  • 背景に病気があった場合の治療(保険診療)
    円形脱毛症、脂漏性皮膚炎、頭部白癬、甲状腺機能の異常や鉄欠乏といった背景が見つかった場合は、その治療が優先されます。 これらの多くは保険診療の対象となり、当院でそのまま治療を続けていただけます。専門的な治療が必要な場合は適切な医療機関をご紹介します。

いずれの薬剤も効果の判断には6か月程度の継続が必要とされ、中止すると時間をかけて元の経過に戻っていきます。

料金

本ページでご紹介する男性型脱毛症(AGA)の治療は、自由診療(保険適用外)です。 ただし、円形脱毛症や脂漏性皮膚炎など、診察の結果ほかの疾患と診断された場合の治療は、保険診療の対象となることがあります。

◎料金表

※料金は税込表示です。 ※実際の費用は、選択される治療内容や処方期間によって異なります。カウンセリング時に総額をご提示し、ご納得いただいてから進めます。 ※自由診療と保険診療を同じ日に行えない場合があります。詳しくは診察時にご説明します。

リスク・副作用・注意点

男性型脱毛症の治療には、次のようなリスク・注意点があります。必ずご理解のうえでご検討ください。

内服薬について

  • 性機能に関する症状 性欲の減退、勃起機能の低下、射精に関する症状などが報告されています
  • 肝機能への影響 まれに肝機能の数値に変化がみられることがあります
  • 気分の変化 抑うつ気分などが報告されています
  • 乳房の変化 乳房が張る、しこりを触れるといった症状が報告されています
  • 前立腺の検査(PSA値)への影響 前立腺がんの検査に用いられるPSAの値が低く出ることが知られています。健康診断や泌尿器科を受診される際は、服用中であることを必ずお伝えください
  • 献血 服用中および中止後一定期間は献血ができません
  • 女性・小児は使用できません とくに妊娠中・授乳中・妊娠の可能性がある方は、割れたり砕けたりした錠剤に触れることも避けてください

外用薬について

  • 頭皮のかゆみ・赤み・かぶれ 接触皮膚炎を起こすことがあります。症状が出た場合は使用を中止し、ご相談ください
  • 初期脱毛 使い始めの時期に、一時的に抜け毛が増えたように感じられることがあります
  • 全身への影響 まれに頭痛・動悸・むくみなどが報告されています。心臓や血圧に持病のある方は、必ず事前にお申し出ください

治療全体について

  • 効果には個人差があります
  • 効果の判断には6か月程度の継続が必要とされています
  • 中止すると、時間をかけて元の経過に戻っていきます
  • 失われて久しい部分が元通りになるものではありません

治療中に気になる症状が出た場合は、当院で診察いたします。 自己判断で中止・再開される前に、まずはご相談ください。

ほかの選択肢について

  • 何もしないという選択
    AGAは命や健康を脅かす病気ではありません。気にならないのであれば、何もしないという選択も十分にあり得ます。 当院から治療をお勧めすることはありません
  • 髪型やヘアケアの工夫/かつら・増毛
    医療行為ではありませんが、費用と手間を治療とは別の形で使う選択肢です
  • 外科的な方法
    自毛植毛のような治療も存在します。実施している医療機関は限られますので、ご関心があれば診察時にご相談ください

治療中の注意点・日常のケア

継続と記録
効果の判断には時間がかかります。同じ明るさ・角度で月に一度写真を撮っておくと、変化が分かりやすくなります。

頭皮を清潔に、こすりすぎない
シャンプーは1日1回程度を目安に、指の腹でやさしく洗いましょう。フケやかゆみが続く場合は、脂漏性皮膚炎などが隠れていることもあります。また、髪を強く引っ張る髪型は牽引性脱毛症の原因になることがあり、地肌が露出している部分は日焼けしやすいため帽子や日焼け止めも役立ちます。

自己判断で薬をやめない・増やさない
効かないからと量を増やしたり、良くなったからと中止したりせず、必ずご相談ください。

よくある質問

AGAの治療に保険は使えますか?

A. AGAそのものの治療は自由診療(保険適用外)です。ただし、診察の結果、円形脱毛症や脂漏性皮膚炎、頭部白癬といった別の疾患と診断された場合、その治療は保険診療の対象となります。甲状腺機能の異常や貧血など全身の背景が疑われる場合の検査も同様です。費用のことも含めて診察時に率直にご説明します。

Q. 効果はどれくらいで分かりますか?やめたらどうなりますか?

A. 効果の判断には6か月程度の継続が必要とされています。毛周期の関係で、変化が目に見える形になるまで時間がかかるためです。そして治療を中止すると、時間をかけて治療前の経過に戻っていきます。「一度治せば終わり」という性質のものではないことを、始める前に必ずお伝えしています。

Q. 副作用が心配です。

A. 内服薬では性機能に関する症状や肝機能への影響、外用薬では頭皮のかぶれなどが報告されています。当院では始める前にリスクをご説明し、開始後も定期的に経過と副作用の有無を確認します。気になる症状が出た場合は、その場で診察し対応します。副作用が心配で治療を受けない、という判断も尊重します。

Q. 市販の育毛剤やサプリメントで良くなりますか?

 A. AGAの背景にある男性ホルモンのはたらきに対しては、医薬品による治療が標準的な考え方とされています。サプリメントで髪が生える、と申し上げることはできません。 栄養不足を補うことには意味がありますが、それはAGA治療の代わりにはなりません。

Q. 家族が薬に触れても大丈夫ですか?女性でも同じ治療を受けられますか?

 A. 内服薬は女性および小児には使用できません。とくに妊娠中・妊娠の可能性がある方は、割れたり砕けたりした錠剤に触れることも避けていただく必要があります。保管はご家族が触れない場所でお願いします。また女性の薄毛は男性のAGAとは背景が異なり、使用できるお薬にも違いがあります。女性の方は「女性の薄毛(女性型脱毛症)」のページをご覧ください。

院長から患者様へ

皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。髪もまた、皮膚の一部です。髪の変化は、その方が過ごしてきた年月や、体の内側の状態を、静かに映し出していることがあります。

髪のご相談で私が最も大切にしているのは、まず何が起きているのかを見極めることです。円形脱毛症も、頭皮の湿疹も、甲状腺の病気も、貧血も、見た目は「薄くなってきた」という同じ訴えで現れることがあります。そして、それぞれ必要な治療がまったく違います。「とりあえずお薬を出してみましょう」という進め方だけは、したくないと思っています。

そして、効かないものには効かないとお伝えします。 AGAの治療は、進行を抑え、いま残っている毛を育てるものです。効果が出るまでには時間がかかりますし、やめれば戻っていきます。良いことばかりをお伝えして始めていただき、後で「思っていたのと違う」となるのは、お互いにとって不本意です。あわせて、髪の治療はお薬だけでは完結しません。 私が栄養学を学び、院内に管理栄養士がいるのは、髪が育つための土台を一緒に見ていきたいからです。ただし、栄養でAGAが治るわけではありません。

最後に。AGAは、医学的に必ず治療しなければならないものではありません。気にならないのであれば、何もしないという選択も、まったく正しいと思っています。そのうえで、鏡を見るたびに気持ちが沈む、人の視線が気になって帽子が手放せない——そういう状態であれば、それは十分に治療を検討する理由になります。私自身、患者様のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで進めることを信条としています。どうぞお気軽にご相談ください。

川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修

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