塗り薬を続けてもなかなか落ち着かない。飲み薬は体への影響が気になる。そうしたときに選択肢となるのが、光線療法(紫外線療法)です。「紫外線を当てる」と聞くと、日焼けや肌への負担を心配される方が多いのですが、この治療で使うのは、太陽光に含まれる紫外線のうち、炎症をしずめるはたらきが期待できる波長だけを取り出したものです。日焼けや皮膚への負担につながりやすい波長は取り除かれています。このページでは、エキシマライトとナローバンドUVB療法について、仕組みや対象となる病気、治療の流れ、リスクまでを、できるだけ分かりやすくご説明します。川名ごとう皮フ科クリニックでは、保険診療のなかで選べる治療のひとつとして、光線療法をご用意しています。

光線療法(紫外線療法)とは
光線療法は、特定の波長の紫外線を皮膚に照射することで、過剰にはたらいている免疫の反応をしずめ、炎症やかゆみをやわらげることを目指す治療です。皮膚科の分野では長い歴史があり、現在も標準的な治療のひとつとして位置づけられています。
太陽光に含まれる紫外線には、UVA・UVB・UVCがあります。このうち皮膚の炎症をしずめるはたらきが期待できるのは、UVBの一部の波長帯です。かつては幅広い波長を当てていましたが、研究が進み、必要な波長だけを絞って照射する方法が主流になりました。これにより、以前より少ない負担で治療を行えるようになっています。
当院でご用意している光線療法には、次の2種類があります。
ナローバンドUVB療法
311ナノメートル前後の、狭い範囲(ナローバンド)の波長を照射する方法です。全身型や広範囲用の機器で、背中・腹部・手足など広い範囲をまとめて照射できるのが特徴です。乾癬やアトピー性皮膚炎、尋常性白斑など、症状が広範囲に及ぶ場合に用いられます。
エキシマライト療法
308ナノメートル前後の波長を、限られた部位に集中して照射する方法です。健康な皮膚を避けて、症状のある部分だけをねらって当てられるのが大きな特徴です。一回あたりの照射時間が短く、頭皮や手足、円形脱毛症の脱毛部分など、部分的な症状に適しています。ナローバンドUVBより強いエネルギーを短時間で照射できるため、回数を抑えられる場合があります。

どちらを選ぶかは、症状の広がりや部位、これまでの治療の経過によって決まります。両方を組み合わせることもあります。
対象となる病気
光線療法は、次のような皮膚の病気に対して用いられます。実際に適応となるかどうかは、症状の程度やこれまでの治療経過をふまえて、診察のうえで判断します。
- アトピー性皮膚炎 外用療法で十分に落ち着かない場合などに、選択肢となります。
- 乾癬(尋常性乾癬など)
光線療法が有効とされる代表的な病気です。 - 尋常性白斑
色素の抜けた部分に照射し、色素細胞のはたらきを促すことを目指します。エキシマライトが用いられることが多い病気です。 - 円形脱毛症
脱毛部分に照射します。 - 掌蹠膿疱症
手のひら・足の裏の症状に用いられることがあります。 - 慢性の湿疹・かゆみ
外用療法だけでは落ち着きにくい場合などに検討されます。 - 結節性痒疹
強いかゆみをともなう硬いしこりに対して用いられることがあります。 - その他
菌状息肉症など、状態に応じて検討されることがあります。なお、これらのすべてで光線療法が第一選択になるわけではありません。
光線療法が向いている方・検討したい方
次のような場合、光線療法が選択肢になることがあります。あくまで目安としてご確認ください。
- 塗り薬を続けているが、思うように落ち着かない
- 症状が広い範囲に及び、塗り薬を塗りきるのが大変
- 飲み薬による全身への影響を避けたい
- ステロイド外用薬を長く使うことに不安がある
- 手のひら・足の裏など、塗り薬が効きにくい部位に症状がある
- 円形脱毛症や尋常性白斑で、部分的に治療したい
一方、次のような場合には、実施できない、あるいは慎重な判断が必要になります。
- 光線過敏症(日光に当たると異常な反応が出る体質)がある
- 皮膚がんの既往がある、または皮膚がんが疑われる病変がある
- 全身性エリテマトーデスなど、紫外線で悪化する病気がある
- 光に対する感受性を高める薬を服用している
- 妊娠中・授乳中の方(状態により判断が異なります)
- お子様(年齢や協力の可否によって判断します)
該当する可能性がある方は、必ず診察時にお申し出ください。
光線療法を検討したほうがよい場面(治療を先に進める意味)
「塗り薬を続けているけれど、あまり変わらない」。そうした状態が長く続くこと自体が、実は負担になっていることがあります。
症状が長引くほど、皮膚は変化していきます。
湿疹をくり返すと皮膚が厚く硬くなり(苔癬化)、かゆみが取れにくくなります。乾癬も、放置すると範囲が広がることがあります。
かゆみによる生活への影響も見過ごせません。
眠れない、集中できない、人目が気になるといったことは、日々の質に直接関わります。
同じ治療を続けるだけでは、変わらないことがあります。
私が皮膚科の課題だと感じているのは、毎回同じ薬を出し続けて、それ以上先に進まなくなってしまうことです。効いていないのであれば、方法を変える必要があります。光線療法は、その「次の一手」として選べる、保険診療の範囲内の選択肢です。
もちろん、光線療法がすべての方に適しているわけではありません。効き方には個人差があり、複数回の通院が必要になります。それでも、「塗り薬しかない」とあきらめる前に、選択肢があることを知っていただきたいと思っています。なお、経過や治療への反応には個人差があります。
当院の光線療法の特徴
光線療法は、保険診療で受けていただける治療です。川名ごとう皮フ科クリニックでは、まず保険診療でできる標準的な治療をしっかり行うことを土台に、必要に応じて光線療法を組み合わせていく診療を心がけています。
皮膚科専門医による診療
当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。光線療法は、適応の見極めと照射量の調整が結果を左右するため、診断を確かめたうえで、その方の皮膚に合わせて進めることを大切にしています。
少しずつ確かめながら、その方に合った量で
光線療法で大切なのは、その方の皮膚がどのくらいの量に耐えられるかを見極めることです。同じ病気でも、肌の色や日焼けのしやすさ、部位によって適した照射量は異なります。当院では、少ない量から始めて、赤みの出方を確認しながら段階的に調整していきます。強く当てれば早く効く、というものではありません。また、光線療法だけに頼るのではなく、塗り薬やスキンケアと組み合わせて、全体として落ち着かせていくことを目指します。照射のたびに皮膚の状態を確認し、効き方が思わしくなければ方法そのものを見直します。毎回同じ治療を漫然と続けないという姿勢は、光線療法でも同じです。
通いやすい体制
光線療法は、週1〜2回程度の通院を続けていただく治療です。だからこそ、通いやすさが治療を続けられるかどうかを左右します。所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族から大人の方まで、幅広い世代が通いやすい環境づくりを心がけています。照射そのものは短時間で終わりますので、お仕事や家事の合間にもお立ち寄りいただけます。
治療の流れ(初診〜)
初めて受診される際の、大まかな流れをご説明します。実際の進め方は、症状や状態によって変わる場合があります。

受付・問診
ご来院後、問診票に、症状の経過、これまでの治療、既往歴(皮膚がん・膠原病など)、服用中のお薬、日光を浴びたときの反応などをご記入いただきます。服用中のお薬は、光への感受性に関わることがあるため、お薬手帳をお持ちください。

診察
医師が皮膚の状態を直接診て、光線療法が適しているかを判断します。ほかの治療との組み合わせについてもご相談します。

治療方針のご説明
治療の内容、通院の頻度、想定される回数、期待できることと副作用について分かりやすくご説明します。当院では、患者様に納得していただいたうえで治療を進めることを大切にしています。

初回照射
目を保護するゴーグルを着用し、照射部位以外を覆ったうえで、少ない量から照射を始めます。照射時間は数十秒から数分程度です。痛みはほとんどありませんが、じんわりとした温かさを感じることがあります。

経過の確認と照射量の調整
次回の受診時に、赤みの出方や症状の変化を確認し、照射量を調整します。これを繰り返しながら、その方に合った量を見つけていきます。

継続と見直し
週1〜2回程度の通院を続け、経過を見ながら間隔や方法を調整します。十分な回数を行っても効果が乏しい場合は、ほかの治療への切り替えを含めて見直します。
副作用・リスクについて
光線療法は保険診療で広く行われている治療ですが、次のような副作用の可能性があります。ご理解のうえでご検討ください。
照射直後〜数日
- 赤み(紅斑)
最もよくみられる反応です。照射量が多すぎると強く出るため、量を調整します。 - ヒリヒリ感、ほてり
- かゆみの一時的な増強
- 水ぶくれ
照射量が過剰だった場合に生じることがあります。強い赤みや水ぶくれが出たときは、次回の照射前に必ずお知らせください。
繰り返すことによるもの
- 色素沈着(日焼けのように黒くなる)
照射部位が濃くなることがあります。治療を終えると、時間をかけて薄くなっていくのが一般的です。 - 皮膚の乾燥
- 単純ヘルペスの再発
もともとお持ちの方で、誘発されることがあります。
長期的な観点
紫外線を長期にわたって大量に浴びることによる、皮膚の老化や皮膚がんのリスクについては、慎重な議論が続いています。ナローバンドUVBについては、これまでの報告で明らかなリスク上昇は示されていないとされていますが、総照射量には上限の目安を設けて管理するのが一般的です。当院でも累積の照射量を記録し、必要に応じて治療方針を見直します。
目への影響
照射中は必ず保護ゴーグルを着用していただきます。顔への照射時も同様です。
心配な点は、遠慮なく診察時にお尋ねください。
ご家庭でのケア・注意点
保湿を続ける
照射後の皮膚は乾燥しやすくなります。保湿は治療の一部と考えて、毎日続けてください。
日焼け止めの扱い
照射する部位には、照射前に日焼け止めや化粧品を塗らないでください。逆に、照射しない部位や日常生活での紫外線対策は、これまでどおり続けていただいて構いません。
日光を浴びすぎない
治療中に日光を大量に浴びると、皮膚への負担が重なります。屋外での長時間の活動が続いた日は、診察時にお知らせください。
強い赤み・水ぶくれが出たら連絡を
次回の照射量を調整する必要があります。我慢せずお知らせください。
新しい薬を始めたら教えてください
光への感受性を高める薬があります。他院で処方されたお薬も含めて、お知らせください。
通院の間隔を空けすぎない
間隔が空くと、皮膚が慣れた状態が戻り、照射量を減らして再開する必要が出ることがあります。続けやすいペースを一緒に考えますので、通いにくい事情があればご相談ください。
よくある質問
Q. 日焼けサロンと何が違うのですか?
-
A. まったく異なります。日焼けサロンで使われるのは主にUVAで、皮膚を黒くすることが目的です。光線療法で使うのは、炎症をしずめるはたらきが期待できる特定の波長のUVBで、医師の管理のもと、必要な量だけを照射します。日焼けサロンで治療の代わりにすることはできません。
Q. 痛みはありますか?
-
A. 照射中の痛みはほとんどありません。じんわりとした温かさを感じる程度です。照射後に、日焼けのような赤みやヒリヒリ感が出ることがあります。
Q. どのくらいの頻度で通いますか?
-
A. 一般に週1〜2回程度です。病気や症状の程度によって異なります。回数の目安は診察時にお伝えします。
Q. 何回くらいで効果が出ますか?
-
A. 個人差が大きく、病気によっても異なります。数回で変化を感じる方もいれば、十数回を要する方もいらっしゃいます。一定の回数を行っても変化が乏しい場合は、方法の見直しをご提案します。
Q. 保険は使えますか?
-
A. 対象となる病気に対する光線療法は、保険診療の対象です。当院では、まず保険診療でできる治療を基本に、おひとりおひとりを丁寧に診てまいります。費用について気になる点は、診察時にお尋ねください。
Q. 子どもも受けられますか?
-
A. 年齢やご本人の協力の可否によって判断します。じっとしていることが難しい年齢では実施が難しい場合があります。診察時にご相談ください。
Q. 妊娠中でも受けられますか?
-
A. 状態によって判断が異なります。妊娠中・授乳中の方、妊娠の可能性がある方は、必ず診察時にお申し出ください。
Q. 塗り薬はやめてよいですか?
-
A. 自己判断で中止しないでください。光線療法は塗り薬と組み合わせて行うことが多く、併用の仕方は医師が判断します。
Q. 日焼けのように黒くなりますか?
-
A. 照射した部位に色素沈着が生じることがあります。多くの場合、治療を終えると時間をかけて薄くなっていきます。気になる場合はご相談ください。
Q. 顔にも当てられますか?
-
A. 病気や部位によって判断が異なります。顔に照射する場合も、目は必ず保護ゴーグルで守ります。診察時にご説明します。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。そして皮膚科の治療には、塗り薬・飲み薬・光線療法・処置と、いくつもの手段があります。大切なのは、その方の状態に合った手段を選び、効いていなければ変えていくことだと思っています。
私が現在の皮膚科診療で課題だと感じているのは、毎回同じ薬を出し続けることで、治療がそこで止まってしまうことです。「塗り薬を続けているけれど、あまり変わらない」という状態が何か月も続いているとしたら、それは見直しの合図です。光線療法は、そうしたときに保険診療の範囲で選べる、次の一手になり得ます。
一方で、光線療法は魔法ではありません。効き方には個人差があり、通院を重ねていただく必要があります。だからこそ、始める前に、どのくらいの頻度で、どのくらいの期間を見込むのか、どんな副作用があるのかを、あらかじめ正直にお伝えするようにしています。そのうえで、続けられそうかを一緒に考えていきたいと思っています。
照射量の調整も、私が大切にしているところです。強く当てれば早く効くというものではなく、赤みの出方を見ながら、その方の皮膚に合った量を探していく作業です。地味ですが、ここをていねいにやるかどうかで、治療の続けやすさが変わります。
私自身、患者様のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを信条としています。長く症状に付き合ってこられた方こそ、一度ご相談ください。皮膚のことだけでなく、体全体の健康と美しさのかかりつけ医として、地域の皆さまにご利用いただけるクリニックでありたいと願っています。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
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