Disease

花粉症

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日本のスギ花粉症が社会問題として急増した背景には、戦後に大量植林されたスギが成熟し、多量の花粉を飛ばすようになった歴史があります。現在ではスギ花粉症の有病率は約40%とする報告もあり、子どもでの発症も珍しくありません。

花粉症というと「くしゃみ・鼻水・目のかゆみ」を想像しますが、花粉は皮膚にも炎症を起こします。春になると「いつもの化粧水がしみる」「まぶただけ赤い」「頬や首がかゆい」という方は、いわゆる花粉皮膚炎・花粉による季節性皮膚症状かもしれません。スギ花粉飛散期にアトピー性皮膚炎が悪化する患者さんがいることも以前から報告されています。

なぜ皮膚科なのか?

鼻症状なら耳鼻咽喉科、目の症状なら眼科が専門ですが、顔・まぶた・首の赤み、かゆみ、カサつきの診断は皮膚科の領域です。

花粉皮膚炎に見えても、化粧品かぶれ、酒さ、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などでは治療が異なります。当院では「花粉だから」と決めつけず、症状の場所、季節性、スキンケア用品、鼻・眼症状などを総合して診断します。

2026年には、日本の季節性アレルギー性鼻炎患者で、花粉飛散期の皮膚症状と鼻炎の重症度との関連を検討した研究も発表されており、花粉症を鼻・目・皮膚を含む全身のアレルギーとして捉える考え方がより注目されています。

当院での治療アプローチ

  • 顔・まぶた・首などの皮膚症状を皮膚科専門医が評価
  • 必要に応じてスギ・ヒノキ・イネ科などの特異的IgE検査を検討
  • まず炎症を治し、その後に皮膚バリアを整える
  • 毎年悪化する方には「症状が出てから」ではなくシーズン前から対策
  • 鼻・眼症状が強い場合は耳鼻咽喉科・眼科との連携を提案
  • 睡眠、食事、洗顔、保湿、花粉を室内へ持ち込まない工夫まで具体的に説明

具体的な症状と年齢別の特徴

花粉皮膚炎では、まぶた、目の周囲、頬、額、首など露出部に、赤み・かゆみ・ヒリヒリ・乾燥が出やすくなります。

子どもでは目や鼻をこすることで湿疹が悪化しやすく、アトピー性皮膚炎がある場合は特に注意が必要です。成人女性では「化粧品が急に合わなくなった」と感じるケースもあります。高齢者では皮脂量が減って皮膚が乾燥しやすいため、バリア機能を守るケアが重要です。

なぜ花粉症になるのか?

花粉に対して作られたIgE抗体が肥満細胞に結合し、再び花粉が入ってくるとヒスタミンなどが放出されます。その結果、鼻水、くしゃみ、かゆみなどが起こります。

皮膚ではさらに**「バリア機能」がポイントです。健康な皮膚をレンガの壁に例えるなら、乾燥や湿疹で壁にすき間ができると、花粉などの外的刺激が入り込みやすくなります。アトピー性皮膚炎や乾燥肌の方で春に顔が荒れやすいのは、このためです。日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024でも、皮膚バリアを維持するスキンケアは治療の基本に位置づけられています。

治療法

  • 保湿剤:皮膚のバリア機能を整えます。症状がない時期からの継続が重要です。
  • ステロイド外用薬:顔やまぶたでは皮膚の薄さを考慮して強さ・期間を調節します。
  • タクロリムス(プロトピック®)など:診断や年齢に応じて非ステロイド外用薬を選択することがあります。
  • かゆみや鼻症状に抗ヒスタミン薬を用います。
  • スギ花粉エキス(シダキュア®)による舌下免疫療法:スギ花粉症そのものに働きかける治療で、通常3~5年間継続します。鼻アレルギー診療ガイドライン2024でもアレルゲン免疫療法は重要な治療選択肢です。

最近注目されている3つのトピック

  1. 皮膚症状も花粉症の一部として注目
    2026年の国内研究でも、花粉飛散期の皮膚症状が季節性アレルギー性鼻炎患者で検討されています。
  2. PFAS(花粉-食物アレルギー症候群)
    花粉症の方がリンゴ、モモ、サクランボなどを生で食べた際、口や喉がかゆくなることがあります。日本の小児研究では果物・野菜アレルギー症例の76%がPFASで、PR-10関連が最も多くみられました。
  3. 「飛散してから」より「飛散前から」
    毎年症状が出る方では、花粉飛散時期を予測して保湿や薬物療法を早めに準備することが重要です。環境省も花粉情報の活用、マスク、眼鏡、洗顔・洗髪、衣類への付着防止などを推奨しています。

日常生活で気をつけるポイント

  • 帰宅したら玄関前で上着の花粉を落とす
  • 洗顔はゴシゴシせず、ぬるま湯と十分な泡でやさしく行う
  • 洗顔後はすぐに保湿する
  • 花粉の多い日は眼鏡・マスク・帽子を活用する
  • 外干しを控え、換気方法を工夫する
  • 十分な睡眠と規則的な食事を心がける

よくある質問

Q.花粉で本当に顔が荒れますか?

はい。特に毎年同じ季節に、まぶた・頬・首などが荒れる場合は花粉の関与を考えます。

Q.皮膚科と耳鼻科のどちらを受診すればよいですか?

顔の湿疹・かゆみなら皮膚科、鼻症状が中心なら耳鼻咽喉科、目が中心なら眼科が適しています。

Q.花粉症なら血液検査だけで診断できますか?

いいえ。特異的IgE陽性は「感作」を示すもので、実際の症状や季節との一致を合わせて判断します。

Q.リンゴを食べると口がかゆいのも花粉症ですか?

PFASの可能性があります。特にハンノキ・シラカバなどの花粉と果物には、似た構造のアレルゲンがあります。全身症状がある場合は必ず医師へご相談ください。

よく似た症状の別の病気

  • アトピー性皮膚炎:乾燥と慢性的な湿疹を繰り返します。花粉飛散期に悪化する場合もあり、花粉皮膚炎との区別が難しいことがあります。
  • 接触皮膚炎:化粧品、日焼け止め、染毛剤などが原因となる「かぶれ」です。使用部位と湿疹の分布が診断の手掛かりです。
  • 酒さ:頬や鼻を中心に赤み・ほてりが続きます。ステロイド外用で悪化することがあるため、花粉皮膚炎との鑑別が重要です。
  • 脂漏性皮膚炎:眉間、鼻周囲、頭皮など皮脂の多い場所に赤みやフケが出ます。季節変化で悪化するため花粉症と間違われることがあります。
  • 眼瞼皮膚炎:まぶたに限局した湿疹です。化粧品、点眼薬、花粉など複数の原因を考えます。
  • アレルギー性結膜炎:目そのものの強いかゆみ・充血・涙が中心です。眼症状が強ければ眼科での評価が必要です。
  • 蕁麻疹:数時間以内に出たり消えたりする盛り上がった発疹が特徴で、数日続く湿疹とは性質が異なります。
  • 光線過敏症:日光が当たった部分に赤みや湿疹が出ます。春から悪化するため、花粉皮膚炎と紛らわしいことがあります。
  • 皮膚筋炎:まぶた周囲の紫色の腫れなどがみられる自己免疫疾患です。筋力低下などを伴う場合は詳しい検査が必要です。
  • 白癬:顔にも真菌による湿疹様病変が生じます。ステロイドだけを塗ると悪化することがあり、真菌検査で診断します。

まとめ

「春になると顔がかゆい」「まぶたが赤い」「いつもの化粧品がしみる」という症状は、単なる乾燥肌ではないかもしれません。

当院では、花粉を避ける、皮膚バリアを守る、炎症を早く治す、翌年はシーズン前から備えるという4つの視点を大切にしています。

名古屋市昭和区・川名駅周辺で、花粉症による顔のかゆみ、まぶたの湿疹、春の肌荒れ、アトピー性皮膚炎の季節性悪化でお困りの方は、皮膚症状がひどくなる前にご相談ください。

出典

  1. 鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版.日本鼻科学会.
  2. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024.日本皮膚科学会・日本アレルギー学会.
  3. 環境省.花粉症環境保健マニュアル2022.
  4. OsadaT,OkanoM.Japanesecedarandcypresspollinosisupdated:Newallergens,cross-reactivity,andtreatment.AllergolInt.2021.
  5. AiharaM,etal.AstudyofaggravationofatopicdermatitisduringJapanesecedarpollenseason.Arerugi.1999.
  6. SimamuraA,etal.SkinsymptomsduringthepollenseasonsandtheirassociationwiththeseverityofseasonalallergicrhinitisinYamanashi,Japan.AllergolInt.2026.
  7. HamadaM,etal.EvaluationoftheincidenceofsystemicsymptomsinPR-10-relatedpollen-foodallergysyndromeinWesternJapan.PediatrAllergyImmunol.2025.

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