Disease

子どものケガ・やけど

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目を離したすきに、テーブルの上の熱いお茶に手が届いてしまった。転んで、ひざを大きくすりむいてしまった。お子様のケガややけどは、どれだけ気をつけていても起こります。そして、そのときにご家族がどう手当てするかで、治り方も、跡の残り方も変わってきます。お子様の皮膚は大人よりずっと薄く、同じ条件でも深いやけどになりやすいという特徴があります。一方で、成長する皮膚は回復する力も高く、適切に手当てすれば跡が目立ちにくくなることも多くあります。このページでは、応急処置から治療、跡を残さないケアまでをご説明します。

お子様のケガ・やけどの特徴

皮膚が薄い

大人のおよそ半分ほどの厚さといわれます。同じ温度・同じ時間でも、大人より深いやけどになります。

体の面積が小さい

同じ大きさのやけどでも、体に占める割合が大きくなります。広範囲になると、体温や水分のバランスに影響することがあります。

体温が下がりやすい

冷やしすぎると低体温になりやすいため、広範囲を長時間冷やすのは避けます。

成長とともに跡が変化する

傷跡は、体の成長にともなって引っ張られ、形が変わることがあります。関節にかかる部分では、動きに影響することもあります。

痛みを言葉で伝えられない

小さなお子様は、どこがどう痛いかを説明できません。ご家族の観察が頼りになります。

回復する力が高い

一方で、お子様の皮膚は回復が早く、適切な手当てをすれば跡が目立ちにくくなることも多くあります。

お子様に多いケガ・やけど

やけど(熱傷)

  • 熱い飲み物・汁物 テーブルクロスやコードを引っ張って、上のものをかぶる事故が非常に多いパターンです
  • 炊飯器・電気ポットの蒸気 手をかざして受傷します
  • ストーブ・ヒーター・アイロン
  • お風呂の熱いお湯
  • 花火・線香花火
  • 低温やけど 湯たんぽ、カイロ、ホットカーペット。低い温度でも長時間触れていると、深いやけどになります。痛みが軽いため気づきにくく、見た目より深いことが多いのが特徴です

すり傷(擦過傷)

  • 転倒によるひざ・ひじ・手のひらの傷。砂や小石が入り込みやすいのが特徴です

きり傷(切創)

  • ガラス、刃物、紙、缶のふたなど

打撲・挫創

  • 転倒や衝突による、皮膚が裂けた傷。あご、額、頭に多くみられます

咬傷(かみ傷)

  • 犬・猫にかまれた傷。感染のリスクが高く、必ず受診が必要です

応急処置(まずこれを)

やけどの応急処置

  1. すぐに流水で冷やす 水道水で15〜30分ほど。これが最も大切です
  2. 衣類は無理にはがさない 張り付いている場合は、そのまま上から冷やしてください
  3. 氷を直接当てない 組織を傷めることがあります。流水が基本です
  4. 広範囲の場合は冷やしすぎに注意 お子様は体温が下がりやすいため、広い範囲の場合は冷やしながら早めに医療機関へ
  5. 水ぶくれはつぶさない 自然の保護膜としてはたらきます
  6. 民間療法は行わない みそ、油、アロエなどは、感染や診断の妨げになります

すり傷・きり傷の応急処置

  1. 水道水でよく洗う 砂や汚れをしっかり洗い流します。すり傷では、これが跡を残さないための最大のポイントです
  2. 清潔なガーゼやタオルで押さえて止血 5分ほどしっかり圧迫します
  3. 乾かさないように覆う 絆創膏や被覆材で覆い、乾燥を防ぎます
  4. 消毒液の多用は控える 傷を治そうとしている細胞まで傷めることがあります。洗浄が基本です

受診の目安

すぐに救急受診が必要な場合

  • 広範囲のやけど(目安として、お子様の手のひら数枚分以上)
  • 顔・首・手・足・関節・陰部のやけど
  • 皮膚が白い、黒い、痛みを感じない(深いやけどの可能性)
  • 化学物質・電気によるやけど
  • 出血が止まらない
  • 傷が深く、脂肪や骨が見える
  • 頭を強く打った後の傷(意識・嘔吐の有無も確認)
  • 意識がはっきりしない、ぐったりしている

早めの受診をおすすめする場合

  • 水ぶくれができている
  • 低温やけどが疑われる(見た目より深いことが多い)
  • 傷口が開いている(縫合が必要な可能性)
  • 砂や異物が入り込んでいる
  • 動物や人にかまれた
  • 赤み・腫れ・痛みが強くなってきた(感染のサイン)
  • 膿が出る、発熱する
  • 傷が1週間たっても治らない
  • 顔など、跡が気になる部位の傷

判断に迷われたら、一度診せていただくのがいちばんです。 「これくらいで受診してよいのだろうか」と迷われる程度の傷こそ、見せていただければと思います。

手当てが遅れるとどうなるか

やけどは、後から深いと分かることがあります。

受傷直後は赤いだけに見えても、数日たって水ぶくれになったり、より深いやけどだったと分かったりします。とくに低温やけどは、痛みが軽いため気づきにくく、見た目より深いことが多いのが特徴です。

すり傷に入った砂が残ると、跡になります。

きちんと取り除かないまま治ると、色素が皮膚に残って青黒い跡(外傷性刺青)となり、後から取り除くことが難しくなります。

縫合の時期を逃します。

きり傷は、時間がたつほど縫合が難しくなり、傷口が開いたまま治って跡が目立つことがあります。

感染を起こします。

とくに動物にかまれた傷は、感染のリスクが高いことが知られています。

成長とともに跡が引っ張られることがあります。

関節にかかる部分の深い傷は、成長にともなって動きに影響することがあります。

一方、適切な初期対応と管理を行えば、治りは早く、跡も目立ちにくくなることが期待できます。なお、経過や治療への反応には個人差があります。

当院の診療の特徴

お子様のケガ・やけどの治療は、保険診療による処置が基本です。川名ごとう皮フ科クリニックでは、まず保険診療でできる治療をしっかり行うことを土台に、治すことと、跡をできるだけ目立たせないことの両方を意識した診療を心がけています。

皮膚科専門医による診療

当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。お子様のやけどは、深さの見極めが治療方針を左右するため、経過を追いながら判断することを大切にしています。

処置の負担にも配慮する

お子様の傷の治療で難しいのは、処置そのものが怖い・痛いということです。洗浄も、ガーゼ交換も、お子様にとっては大変なことです。当院では、何をするのかをお子様の年齢に合わせてご説明し、できるだけ短時間で、負担の少ない方法を選ぶよう心がけます。ご家庭で交換していただく場合も、はがすときに痛くない材料を選ぶなど、続けやすさを考えます。

そして、跡のことまで一緒に考えます。傷は治れば終わりではありません。治ったばかりの皮膚は日焼けしやすく、乾燥しやすく、赤みが残りやすい状態です。その後の数か月をどう過ごすかで見え方が変わります。成長にともなう変化まで見据えて、必要なケアをお伝えします。

深いやけどや広範囲の受傷、腱や神経の損傷が疑われる場合、全身麻酔が必要な処置など、専門的な体制が望ましい場合には、これまで診療にあたってきた基幹病院をはじめとする連携医療機関へ速やかにご紹介いたします。

通いやすい体制

所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。傷の処置は数日おきの通院が必要になることが多いため、通いやすさを大切にしています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族が来院しやすい環境づくりを心がけています。

診療の流れ(初診〜)

受付・問診

いつ・どのような状況で受傷したか、これまでの手当て、痛みの程度、既往歴、予防接種歴(破傷風)などをうかがいます。受傷からの時間は、処置の方針を決めるうえで重要な情報です。

診察

医師が傷を直接診て、深さ・範囲・汚染の程度・異物の有無を確認します。

洗浄・処置

傷を十分に洗い、必要に応じて異物を取り除きます。状態に応じて、縫合や水ぶくれへの対応を行います。お子様の負担に配慮しながら進めます。

被覆・保護

傷の状態に合った被覆材で覆い、乾かさない環境を保ちます。ご家庭での交換方法をご説明します。

経過の確認

数日おきに再診し、治り方や感染の有無を確認します。やけどは、日がたってから深さが分かることがあるため、経過を追うことが大切です。

跡へのケア

治った後の紫外線対策・保湿・テープ固定などをご案内します。

治療方法

洗浄と異物の除去

治療の出発点です。すり傷では、砂や小石を丁寧に取り除くことが、外傷性刺青を防ぐうえで欠かせません。痛みが強い場合は、局所麻酔を用いることがあります。

湿潤環境を保つ処置

傷の状態に応じた被覆材を用い、適度な湿り気を保ちます。かさぶたを無理に作らないほうが、治りも見た目も良くなることが多いとされています。

外用薬

皮膚の再生を助ける軟膏や、感染を抑える薬を用います。やけどの深さや時期によって使い分けます。

縫合

傷口が開いている場合、局所麻酔のもとで縫い合わせます。お子様の場合、じっとしていることが難しければ、専門的な体制の整った医療機関をご案内することがあります。

水ぶくれへの対応

大きさ・部位・状態によって判断が異なります。小さいものはそのまま保護し、大きいものや破れているものは状態に応じて処置します。

破傷風の予防

土や錆びたものによる傷、深い刺し傷などでは、予防が必要になることがあります。予防接種歴をふまえて判断します。

動物にかまれた傷

感染のリスクが高いため、十分な洗浄と抗菌薬の投与を検討します。傷を閉じずに経過を見ることもあります。

傷跡への対応

治った後の赤みや盛り上がりに対しては、保湿、紫外線対策、テープによる固定などによる対応があります。状態によっては、より専門的な治療をご案内する場合もあります。

ご家庭でのケア

治る過程で

  • 指示された期間、患部を濡らさない(部位と方法によって異なります)
  • 処方された薬を指示どおりに使う
  • かかせない工夫 治りかけはかゆくなります。爪を短く整え、覆っておきましょう
  • 次のサインがあれば連絡を 出血が止まらない、赤みや腫れが強くなる、痛みが増す、膿が出る、発熱する

治った後(跡を残さないために)

  • 紫外線を避ける 治ったばかりの皮膚は日焼けで色素沈着を起こしやすい状態です。半年〜1年程度は、日焼け止めや衣類・帽子で保護しましょう
  • 保湿を続ける 新しい皮膚は乾燥しやすく、乾燥は跡が目立つ一因になります
  • こすらない

やけど・ケガの予防

  • テーブルクロスを使わない(引っ張って熱いものをかぶる事故が多いため)
  • 電気ポット・炊飯器は手の届かない場所へ。コードも垂らさない
  • 熱い飲み物を持ちながら抱っこしない
  • お風呂の給湯温度を確認、浴槽のふたにも注意
  • ストーブ・ヒーターには柵を
  • 湯たんぽ・カイロは直接肌に触れさせない(低温やけどの予防)
  • 家具の角にクッション材を

よくある質問

Q. やけどをしたら、どのくらい冷やせばよいですか?

A. 流水で15〜30分ほどが目安です。ただし、広範囲のやけどでは体温が下がりすぎることがあるため、冷やしながら早めに医療機関へお越しください。

Q. 低温やけどとは何ですか?

A. 湯たんぽやカイロなど、それほど熱くないものに長時間触れ続けることで起こるやけどです。痛みが軽いため気づきにくく、見た目より深いことが多いのが特徴です。赤みが続く、水ぶくれができたという場合は、必ず受診してください。

Q. すり傷は消毒したほうがよいですか?

A. 十分な洗浄が基本で、消毒液の多用は避ける考え方が一般的です。汚染の程度によって判断が異なりますので、ご相談ください。

Q. かさぶたは作ったほうがよいのでは?

 A. 現在は、適度な湿り気を保ったほうが皮膚の再生が進みやすく、跡も目立ちにくいとされています。傷の種類によって適切な方法は異なりますので、ご相談ください。

Q. 跡は残りますか?

A. 深さと部位、治り方によって異なります。浅いやけどやすり傷では跡が残りにくい一方、深いものでは残ることがあります。適切な処置と、治った後の紫外線対策・保湿が、跡を目立たせないうえで役立ちます。

Q. 治療には保険が使えますか?

A. やけどや外傷の診断・処置は保険診療の対象です。お住まいの自治体の医療費助成も適用されます。

Q. 処置を怖がって暴れます。

A. お子様にとって処置は大変なことです。当院では、年齢に合わせて何をするのかをご説明し、できるだけ短時間で負担の少ない方法を選ぶよう心がけます。難しい場合は、専門的な体制の整った医療機関をご案内することもあります。

Q. 犬にかまれました。

A. 必ず受診してください。動物にかまれた傷は感染のリスクが高く、十分な洗浄と抗菌薬の投与が必要になることがあります。傷が小さく見えても、深くまで達していることがあります。

Q. 保育園でケガをして、消毒だけしてもらいました。

A. 状態によります。砂が入り込んでいる、傷口が開いている、深いといった場合は、あらためて処置が必要なことがあります。気になる場合はお見せください。

院長から患者様へ

皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。同時に、皮膚は体を守る壁でもあります。その壁が破れたとき、どう手当てするかで、その後の何か月、何年かが変わってきます。

お子様の傷を診るとき、私がいつも考えるのは、この子が大人になったときにどう見えるかということです。すり傷に入った砂を丁寧に洗い流すこと。やけどの深さを見誤らないこと。乾かさない環境を保つこと。どれも地味な作業ですが、これが十年後、二十年後の肌を決めます。とくに顔や、半袖から見える腕の傷は、ご本人が成長してから気にされることがあります。だからこそ、最初の処置をていねいに行いたいと思っています。

そして、治ってからのケアもお伝えするようにしています。治ったばかりの皮膚は、日焼けするとすぐに色素沈着を起こします。夏場のひざの傷跡が茶色く残るのは、ほとんどがこれです。半年から1年、日焼けを避けて保湿を続ける。それだけで見え方が変わります。

もうひとつ、お伝えしたいことがあります。お子様のケガややけどが起きたとき、ご家族は「目を離した自分のせいだ」と責めてしまわれることが多いように感じます。けれど、お子様は予想もしない動きをするものです。どれだけ気をつけていても、起こるときは起こります。どうか、ご自身を責めないでください。大切なのは、起きた後にどう手当てするかです。

私自身、患者様とご家族のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで進めることを信条としています。「このくらいで受診してよいのだろうか」と迷われる程度の傷こそ、一度お見せいただければと思います。

川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修

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