熱が出て、翌日に赤い発疹が出はじめた。数時間後には水ぶくれになり、体じゅうに広がっていく。水ぼうそう(水痘)は、感染力の強い病気ですが、ワクチンの定期接種が始まってから、患者数は大きく減りました。それでも、ワクチンを受ける前の年齢のお子様や、まだ接種していない方には起こります。かゆみが強く、かき壊すと跡が残ることもあるため、皮膚のケアが大切な病気でもあります。また、治った後もウイルスは体内に残り、何十年もたってから帯状疱疹として現れることがあります。このページでは、水ぼうそうについて、症状と対応、注意点をご説明します。

水ぼうそう(水痘)とは
水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスの初めての感染によって起こる病気です。
感染力が非常に強く、空気感染・飛沫感染・接触感染のいずれでも広がります。同じ部屋にいるだけでうつることがあるため、保育園や学校で一人が発症すると、免疫のない子に次々と広がることがあります。
潜伏期間は約2週間(10〜21日)。うつってから症状が出るまで日数があるため、「どこでもらったか分からない」ということがよくあります。
かつては多くの子どもが自然にかかる病気でしたが、2014年10月から水痘ワクチンが定期接種(1歳〜3歳未満で2回)となり、発症数は大きく減少しました。
主な症状
1.前ぶれ
- 発熱(出ないこともあります)
- 軽いだるさ、食欲の低下
2.発疹(特徴的な経過をたどります)
水ぼうそうの発疹は、次のように変化していきます。
- 小さな赤い斑点が出る
- 数時間で、中心に水ぶくれができる
- 水ぶくれが濁って、膿のようになる
- かさぶたになる
そして最大の特徴は、これらがいっぺんに混ざって存在することです。新しい発疹が次々と出てくるため、体のあちこちに「赤い斑点」「水ぶくれ」「かさぶた」が同時に見られます。これは、ほかの発疹の出る病気とは異なる、水ぼうそうらしい所見です。
出る場所 体幹(おなか・背中)から始まり、顔、頭皮、手足へ広がります。頭の中(髪の毛の中)や、口の中にも出るのが特徴です。手のひら・足の裏には比較的少ないとされます。
3.かゆみ
多くのお子様が強いかゆみを訴えます。かき壊すと、細菌感染を起こしたり、跡(瘢痕)が残ったりすることがあります。
4.経過
新しい発疹は3〜5日ほど出続け、すべてがかさぶたになるまで、およそ1週間かかります。
注意が必要な場合
多くのお子様は自然に軽快しますが、次のような場合には注意が必要です。
- 大人がかかった場合
子どもより重症になりやすいことが知られています - 1歳未満の赤ちゃん
- 妊娠中の方
胎児への影響が問題になることがあります - 免疫を抑える治療を受けている方、ステロイドを使用中の方
- アトピー性皮膚炎のあるお子様
皮膚のバリアが弱いため、広範囲になったり、細菌感染を起こしやすかったりします
また、次の症状があれば、早めに医療機関へご相談ください。
- 高熱が続く
- ぐったりしている、意識がはっきりしない
- けいれん
- 発疹の一部が赤く腫れて痛む(細菌感染の可能性)
- 呼吸が苦しそう
- 水分が取れない
治った後のこと(帯状疱疹との関係)
水ぼうそうが治っても、ウイルスは体の中の神経節にひそんだまま残ります。ふだんは免疫のはたらきで抑えられていますが、加齢や疲労、体調の変化などをきっかけに再び活動を始めることがあり、これが帯状疱疹です。
つまり、水ぼうそうにかかった方は、将来的に帯状疱疹になる可能性を持っているということになります。50歳以上の方向けには、帯状疱疹の発症を抑えることが期待できるワクチンがあります。
受診の目安
水ぼうそうが疑われる場合は、まず医療機関にご相談ください。ただし、感染力が非常に強い病気ですので、受診の前にお電話などでご連絡いただけると、待合室での接触を避ける配慮ができます。
水ぼうそうかどうか分からない発疹が出た
周囲で水ぼうそうが流行している
発熱をともなう発疹が出た
かゆみが強く、かき壊している
発疹の一部が赤く腫れて痛む
大人・妊娠中の方・1歳未満のお子様が発症した
抗ウイルス薬は、発疹が出てからできるだけ早く(一般に48時間以内が目安とされます)始めるほうが効果が期待できます。 早めのご相談をおすすめします。
早めの対応が大切な理由
抗ウイルス薬の効果は、早いほど期待できます。
発疹が出てから時間がたつほど、期待できる効果は小さくなります。
かき壊しから、跡が残ることがあります。
水ぼうそうの跡は、へこんだ瘢痕として残ることがあります。とくに顔にできたものは、長く残って気にされる方が少なくありません。かゆみを早く抑えることが、跡を残さないための最大の対策です。
細菌感染を起こすことがあります。
かき壊した部分からとびひや、より深い感染につながることがあります。
周囲に広がります。
感染力が強いため、ご家族や園・学校で広がります。妊娠中の方や免疫の弱い方に感染すると、重い経過をたどることがあります。
一方、多くのお子様は1週間ほどで軽快します。なお、経過や治療への反応には個人差があります。
当院の水ぼうそう診療の特徴
水ぼうそうの診療は、保険診療での診断・投薬・皮膚のケアが基本です。川名ごとう皮フ科クリニックでは、皮膚科として、発疹の見極めと、跡を残さないためのケアを大切にしています。
皮膚科専門医による診療
当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。発疹をともなう感染症は見た目が似ていることがあるため、発疹の性状と経過から見極めることを大切にしています。
「跡を残さない」ことまで考える
水ぼうそうは、多くの場合そのまま治っていく病気です。だからこそ当院では、治すことに加えて、その後に何を残さないかを大切にしています。
鍵はかゆみです。かゆみを我慢させると、お子様は寝ている間にもかいてしまい、そこから細菌が入ったり、へこんだ跡が残ったりします。ですから、かゆみは早めに、しっかり抑える。飲み薬や塗り薬を使い、爪を整え、冷やす方法もお伝えします。地味なことですが、数年後の肌が変わってきます。
また、アトピー性皮膚炎のあるお子様では、もともとの皮膚の状態が経過に影響します。そうした背景も含めて診ることが、皮膚科の役割だと考えています。
なお、感染力の強い病気ですので、ご来院前にお電話などでご連絡いただけますと、他の患者様との接触を避ける配慮ができます。ご協力をお願いいたします。
通いやすい体制
所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族が来院しやすい環境づくりを心がけています。
診療の流れ(初診〜)

ご連絡・受付
水ぼうそうが疑われる場合は、事前にご連絡ください。来院時の動線について、ご案内いたします。

問診
発熱の有無、発疹に気づいた時期と広がり方、周囲の流行状況、ワクチンの接種歴、既往歴、ご家族の状況(妊娠中の方や免疫の弱い方がいらっしゃらないか)をうかがいます。

診察
医師が発疹の性状と分布を確認します。赤い斑点・水ぶくれ・かさぶたが混在しているか、頭皮や口の中にも出ているかなどが、診断の手がかりになります。

治療方針のご説明
抗ウイルス薬の適応、かゆみへの対応、登園・登校の目安、ご家庭での注意点をご説明します。

経過の確認
必要に応じて再診し、経過を確認します。
治療方法
抗ウイルス薬
ウイルスが増えるのを抑える薬です。**発疹が出てからできるだけ早く(48時間以内が目安)**始めることで、症状を軽くし、経過を短くすることが期待されます。年齢や体重に応じて処方します。すべての方に必ず使うわけではなく、症状や条件をふまえて判断します。
かゆみへの対応
- 抗ヒスタミン薬(飲み薬)
かゆみをやわらげます - 外用薬
かゆみを抑える塗り薬を用いることがあります - 冷やす
かゆい部分を保冷剤などで冷やすと、楽になることがあります
細菌感染への対応
かき壊した部分に細菌感染が起きている場合は、抗菌薬を用います。
解熱鎮痛薬について
水ぼうそうのときに、市販の解熱鎮痛薬を自己判断で使わないでください。 特定の成分(アスピリンなど)は、まれに重い合併症との関連が指摘されています。熱でつらいときは、必ず医師にご相談ください。
ご家庭でのケア・注意点
かゆみ対策(最も大切)
- 爪を短く整える。乳幼児にはミトンや手袋も
- かゆい部分を冷やす
- 処方された薬を指示どおりに使う
- かき壊さないことが、跡を残さないための最大の対策です
入浴
- シャワーで、やさしく洗い流すのは差し支えありません。 むしろ、皮膚を清潔に保つことは細菌感染の予防につながります
- よく泡立てた洗浄剤で、こすらずに
- 湯船は、かさぶたになるまでは控えるか、ご家族の最後に
- 洗った後は、押さえるように水分を取る
発疹の扱い
- 水ぶくれをつぶさない。中にはウイルスがいます
- かさぶたを無理にはがさない。跡が残る原因になります
周囲への配慮
- すべての発疹がかさぶたになるまで、外出は控えてください
- 妊娠中の方、1歳未満の赤ちゃん、免疫を抑える治療を受けている方との接触は避けてください
- タオルや寝具の共用は避けましょう
登園・登校
学校保健安全法で、水ぼうそうは**「すべての発疹がかさぶたになるまで出席停止」**と定められています。園や学校によって必要な書類が異なりますので、ご確認ください。
水分と休養
熱があるときは、こまめな水分補給を。口の中にも発疹が出ると、食べにくくなることがあります。しみにくい、のどごしのよいものを選んであげてください。
ワクチンについて
水痘ワクチンは、1歳〜3歳未満のお子様を対象に、2回の定期接種(無料)となっています。
- 1回目:1歳になったらできるだけ早く
- 2回目:1回目から3か月以上あけて(標準は6〜12か月後)
ワクチンを接種していても、まれにかかることがありますが、その場合は症状が軽くすむことが多いとされています。
なお、水ぼうそうにかかったことのある方は、将来的に帯状疱疹になる可能性があります。50歳以上の方向けには、帯状疱疹の発症を抑えることが期待できるワクチンがあります。詳しくは診察時にお尋ねください。
よくある質問
Q. 水ぼうそうかどうか、どう見分けますか?
-
A. 赤い斑点・水ぶくれ・かさぶたが同時に混ざって存在すること、頭の中や口の中にも出ることが特徴です。ただし、ほかの発疹の出る病気と紛らわしいこともありますので、診察でご確認ください。
Q. お風呂に入ってもよいですか?
-
A. シャワーでやさしく洗い流すのは差し支えありません。むしろ清潔に保つことは、細菌感染の予防になります。湯船は、かさぶたになるまで控えるか、ご家族の最後にお入りください。
Q. いつから登園・登校できますか?
-
A. すべての発疹がかさぶたになるまでは出席停止と定められています。園や学校で必要な書類がある場合は、ご相談ください。
Q. 跡は残りますか?
-
A. かき壊さなければ、多くは目立たなくなります。ただし、深くかき壊した部分や、細菌感染を起こした部分は、へこんだ跡が残ることがあります。かゆみを早く抑えることが最大の予防です。
Q. ワクチンを打っていてもかかりますか?
-
A. まれにかかることがあります。ただし、その場合は発疹の数が少なく、熱も出ないなど、軽くすむことが多いとされています。
Q. 大人がかかるとどうなりますか?
-
A. 子どもより重症になりやすいことが知られています。高熱が続いたり、発疹が多くなったりすることがあります。早めに医療機関にご相談ください。
Q. 妊娠中に接触してしまいました。
-
A. 妊娠中の水ぼうそうは、胎児への影響が問題になることがあります。産科の主治医に、できるだけ早くご相談ください。
Q. 治療には保険が使えますか?
-
A. 水ぼうそうの診断・治療は保険診療の対象です。お住まいの自治体の医療費助成も適用されます。なお、水痘ワクチンは1歳〜3歳未満のお子様は定期接種(無料)です。
Q. 熱があるとき、市販の解熱剤を使ってよいですか?
-
A. 自己判断での使用は避けてください。 特定の成分は、まれに重い合併症との関連が指摘されています。必ず医師にご相談ください。
Q. きょうだいにうつりますか?
-
A. 感染力が非常に強いため、免疫のないきょうだいにはうつる可能性が高いといえます。ワクチンの接種歴をご確認ください。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。水ぼうそうは、体の中で起きているウイルスとの闘いが、そのまま皮膚に表れる病気です。次々と新しい発疹が出て、それが順に治っていく。その様子を見ていると、体が確かに闘っているのだと分かります。
この病気で私が特に大切にしたいのは、かゆみを我慢させないことです。水ぼうそうは、放っておいても1週間ほどで治っていきます。けれど、かき壊した跡は残ります。とくに顔にできたへこんだ跡は、何年もたってから「これは水ぼうそうの跡なんです」とお話しされる方がいらっしゃいます。数日のかゆみを抑えることが、その先の何十年かを変えることがある。そう思って診療にあたっています。
もうひとつお伝えしたいのが、治った後のことです。水ぼうそうのウイルスは、治った後も体の中に残り続けます。そして何十年もたって、帯状疱疹として現れることがあります。お子様の水ぼうそうを診るとき、私はいつも、その方の何十年か先のことも少し考えています。ご家族の世代の方には、帯状疱疹のワクチンについてお話しすることもあります。
私自身、患者様とご家族のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを信条としています。発疹に気づかれたら、できるだけ早めにご相談ください。なお、感染力の強い病気ですので、ご来院前にお電話などでご連絡いただけますと助かります。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
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