鏡を見るたびに、頬の茶色い部分が気になる。ファンデーションで隠しても、夕方には浮いてきてしまう。しみのお悩みは、多くの方が「年齢のせい」とあきらめておられます。けれど、ひとくちに「しみ」といっても、その正体はいくつもあります。現在の医学では、それが単一の症状ではないことが明らかになっています。一般的には同じように見えても、実際には老人性色素斑、そばかす、肝斑、炎症後色素沈着、さらにはADM(あざの一種)など、性質の異なるものが「しみ」という言葉でまとめられているのです。専門の診療指針においても、これらの症状が同じお顔に複雑に混じり合っているケースが多いことが指摘されています。それぞれ原因が違い、効く治療も違います。 同じ茶色い斑でも、レーザーがよく反応するものもあれば、レーザーを当てるとかえって濃くなるものもあります。だからこそ、まずそれが何なのかを見極めることが、遠回りに見えていちばんの近道です。このページでは、しみの種類と治療の考え方を、できるだけ正直にご説明します。
※本ページでご紹介する治療の多くは自由診療(保険適用外)です。一部、保険診療の対象となるものもあります。詳しくは各項目をご確認ください。
しみの種類
「しみ」と呼ばれるものには、主に次のような種類があります。
老人性色素斑(日光黒子)
最も多いタイプです。長年浴びた紫外線の蓄積によって生じます。
- 境目のはっきりした、円形〜楕円形の茶色い斑
- 頬骨のあたり、こめかみ、手の甲、腕など、日光の当たる場所に多い
- 30代後半から増えはじめ、年齢とともに数と濃さが増していく
- レーザーがよく反応するタイプです
そばかす(雀卵斑)
- 数ミリの小さな斑が、鼻を中心に左右対称に散らばる
- 幼少期から思春期にかけて現れることが多く、遺伝的な要素が大きい
- 夏に濃く、冬に薄くなるという季節変動がみられます
- 色白の方に多い傾向があります
肝斑(かんぱん)
- 頬骨のあたりに、左右対称にもやっと広がる茶色い斑
- 境目がぼんやりしている
- 30〜50代の女性に多く、ホルモンバランスや摩擦が関わるとされます
- 通常のレーザーを当てると、かえって濃くなることがあります
しみの治療で最も重要な見分けが、この肝斑です。 老人性色素斑と肝斑が同じ場所に混在していることも多く、見分けずにレーザーを当てると悪化させてしまいます。詳しくは「肝斑(かんぱん)」のページもご覧ください。
炎症後色素沈着
- にきび、虫刺され、やけど、けが、かぶれなどの炎症の後に残る茶色い跡
- 時間の経過とともに薄くなることが多い
- レーザーで悪化することがあります
脂漏性角化症(老人性いぼ)
- 老人性色素斑が盛り上がって、ざらついてきたもの
- 平らなしみとは治療法が異なり、削る・凍結するといった処置になります
あざ(太田母斑・遅発性両側性太田母斑様色素斑〔ADM〕など)
- 皮膚の深い層に色素があるため、青みがかって見えることがあります
- しみと間違われやすく、治療法も異なります
- 一部のあざは、条件を満たす場合に保険診療の対象となります
注意が必要なもの
まれに、悪性の可能性のあるできものが、しみのように見えることがあります。
- 短期間で大きくなってきた
- 形がいびつ、境目がぼやけている
- 色が均一でなく、濃淡が混じっている
- 出血する、じくじくする
こうした変化がある場合は、美容的な治療の前に、まず診断を確かめる必要があります。
しみができる原因
紫外線
最大の要因です。紫外線を浴びると、メラニンをつくる細胞(メラノサイト)が活性化し、色素がつくられます。若いころは新陳代謝で排出されますが、加齢とともに残りやすくなります。
加齢
皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)が遅くなり、色素が排出されにくくなります。
摩擦・刺激
洗顔でこする、タオルでゴシゴシ拭く、といった日常の摩擦も、色素をつくる刺激になります。意外に見落とされがちですが、大きな要因です。
炎症
にきび、かぶれ、けがなどの後に色素が残ります。
ホルモン
肝斑には、女性ホルモンの変動が関わるとされています。
遺伝的な要素
そばかすは体質的な要素が大きいものです。
当院のしみ治療の特徴
皮膚科専門医による診療
当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。しみは種類によって効く治療がまったく異なり、誤った治療でかえって悪化することもあるため、まずは正しく見極めることを大切にしています。
「何のしみか」を確かめてから治療する
しみの治療で当院が最も重視しているのは、診断です。
ダーモスコピー(拡大鏡を用いた観察)を用いて、色素がどの深さにあるのか、境目の性状はどうか、肝斑が混ざっていないかを確認します。必要と判断した場合には、病理検査で確かめることもあります。
なぜここにこだわるかというと、間違えると悪化するからです。肝斑にレーザーを当てれば濃くなります。炎症後色素沈着も同様です。悪性のできものをしみだと思って照射してしまえば、診断の機会を失います。「まずレーザーを当ててみましょう」という進め方は、当院ではいたしません。
効かないものには、効かないとお伝えします
しみは、治療で必ず消えるものではありません。種類によっては、レーザーが適さないもの、薄くするのが精一杯のもの、時間をかけて取り組むしかないものがあります。 当院では、期待できることと、できないことを正直にお伝えします。
また、しみの治療は一度で終わらないこと、再発しうること、日々の紫外線対策なしには維持できないこともあわせてお伝えします。施術だけを重ねても、根本の原因が変わらなければ同じことのくり返しになるためです。
通いやすい体制
所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設けています。
栄養・生活面のサポートも院内で(ご希望に応じて)
当院には管理栄養士が在籍し、ご希望に応じて、栄養や生活面のご相談も同じ場所で受けていただけます。これは、標準的な治療を基本としたうえで、ご希望に応じてご案内している追加のサポートであり、効果を保証するものではありません。保険診療とは別のご案内(自費)となります。
治療の流れ

カウンセリング・診察
お悩みの部位、いつ頃からか、これまでの治療、既往歴、服用中のお薬、日焼けの状況をうかがいます。医師が肌を診察し、しみの種類を見極めます。

ダーモスコピー検査
拡大鏡を用いて、色素の分布や深さを確認します。痛みのない検査です。

方針のご説明
しみの種類、期待できること、必要な回数、費用、リスク、ダウンタイムをご説明します。保険診療の対象となるもの、自由診療となるものを、それぞれ明確にお伝えします。

同意
ご納得いただいたうえで、同意書にご記入いただきます。その日のうちに決める必要はありません。

治療の実施

アフターケア・経過の確認
治療後のケアをご説明し、経過を確認します。
治療方法
当院で実際に提供する治療の内容については、診察のうえでご案内します。
外用療法(塗り薬)
- ハイドロキノン メラニンをつくる過程にはたらきかける外用薬です。刺激感やかぶれが出ることがあり、使い方に注意が必要です
- ビタミンC誘導体、トラネキサム酸外用など
内服療法(飲み薬)
- トラネキサム酸、ビタミンC、ビタミンEなど。とくに肝斑に対して用いられることがあります
- 内服には副作用の可能性があります。血栓症の既往がある方などには使用できません
レーザー治療
しみの種類・深さに応じて、適したレーザーが異なります。
- Qスイッチレーザー等
メラニン色素に反応する波長のレーザーで、色素を選択的に壊すことを目指します。老人性色素斑・そばかす・一部のあざが対象となります - 照射後
かさぶたになり、1〜2週間ほどで脱落します。その後、一時的に色が濃くなること(炎症後色素沈着)があり、数か月かけて薄くなっていきます - 肝斑・炎症後色素沈着には、通常のレーザー照射は適しません
光治療(フォトフェイシャル等)
広い範囲の薄いしみやそばかす、赤みに対して、複数の波長を含む光を照射する方法です。ダウンタイムが少ない一方、濃いしみには回数が必要になります。詳しくは「レーザーフェイシャル」のページもご覧ください。
ケミカルピーリング
皮膚の表面を整え、色素の排出を促すことを目指す方法です。詳しくは「ケミカルピーリング」のページもご覧ください。
凍結療法・削る処置
脂漏性角化症(盛り上がったしみ)に対して行われます。医学的に必要と判断される場合は、保険診療の対象となることがあります。
あざに対する治療
太田母斑など一部のあざに対するレーザー治療は、条件を満たす場合に保険診療の対象となります。詳しくは「黒あざ・青あざ・赤あざ」のページもご覧ください。
料金
下記の治療は自由診療(保険適用外)です。
※料金は税込表示です。 ※実際の費用は、しみの大きさ・数・種類によって異なります。カウンセリング時に総額をご提示し、ご納得いただいてから進めます。 ※脂漏性角化症の処置や、一部のあざに対する治療など、医学的に必要と判断される場合は保険診療の対象となることがあります。
リスク・副作用・ダウンタイム
しみの治療には、次のようなリスクがあります。必ずご理解のうえでご検討ください。
レーザー治療
- 痛み 輪ゴムではじかれるような痛みがあります
- 赤み・かさぶた 照射後、かさぶたができ、1〜2週間ほどで脱落します。この間、テープでの保護が必要になります
- 炎症後色素沈着 かさぶたが取れた後、一時的に色が濃くなることがよくあります。数か月かけて薄くなっていくのが一般的ですが、この期間をあらかじめご理解ください
- 色素脱失 まれに、照射部位の色が抜けることがあります
- 再発 紫外線対策を怠ると、同じ場所に再びしみができることがあります
- 肝斑の悪化 肝斑が混在していた場合、悪化することがあります
外用薬
- ハイドロキノン:刺激感、赤み、かぶれ、まれに白斑
- トレチノイン:赤み、皮むけ、ヒリヒリ感(治療の過程で必ず生じます)
内服薬
- トラネキサム酸:食欲不振、吐き気など。血栓症の既往がある方、経口避妊薬を服用中の方などには使用できません
ダウンタイム
レーザー治療では、かさぶたが取れるまで1〜2週間ほど、テープでの保護が必要になります。大切なご予定がある場合は、時期をご相談ください。
ほかの選択肢について
- 紫外線対策とスキンケアのみ
しみを予防し、これ以上増やさないという考え方です。医学的に治療が必要なものではないため、何もしないという選択も十分にあり得ます - メイクでカバーする
コンシーラーやファンデーションで隠す方法。費用と体への負担が最も少ない選択です - 市販の美白化粧品
効果は穏やかですが、続けやすい方法です
しみの治療は、医学的に必要な治療ではありません。 ご自身が気になるかどうかで、受けるかどうかを決めていただいて構いません。
※ただし、悪性の可能性が疑われるできものについては、美容的な治療ではなく、診断と治療が必要です。この場合は保険診療の対象となります。
治療前後の注意点・日常のケア
何より大切なのは紫外線対策
しみの治療で最も重要なのは、治療そのものより、その後の紫外線対策です。ここを怠ると、必ず戻ってきます。
- 日焼け止めを毎日使う 曇りの日も、室内で窓際にいる日も。2〜3時間おきの塗り直しが理想です
- 帽子・日傘・サングラス
- 日差しの強い時間帯を避ける
こすらない
洗顔、タオル、化粧品を塗るとき。摩擦は色素をつくる刺激になります。
- よく泡立てた洗浄剤で、泡でなでるように洗う
- タオルは押さえるように
- 化粧品はこすらず、やさしくなじませる
保湿を続ける
乾燥した肌はバリア機能が低下し、刺激を受けやすくなります。
治療後のケア
- かさぶたを無理にはがさない 跡が残る原因になります
- 処方された外用薬・テープを指示どおりに使う
- 日焼けを徹底的に避ける 治療後の肌は、色素沈着を起こしやすい状態です
炎症を残さない
にきびや虫刺されをかき壊すと、色素沈着が残ります。炎症は早めに治すことが、将来のしみを減らすことにつながります。
よくある質問
Q. レーザーを当てれば、しみは消えますか?
-
A. しみの種類によります。老人性色素斑にはよく反応しますが、肝斑や炎症後色素沈着には適さず、かえって悪化することがあります。 まず何のしみかを見極めることが大切です。
Q. 保険は使えますか?
-
A. 美容目的のしみ治療は**自由診療(保険適用外)**です。ただし、脂漏性角化症の処置や、一部のあざに対する治療など、医学的に必要と判断される場合は保険診療の対象となることがあります。診察のうえでご説明します。
Q. 何回で終わりますか?
-
A. しみの種類と数によって大きく異なります。老人性色素斑は1回のレーザー照射で薄くなることもありますが、複数回必要な場合もあります。効果の感じ方には個人差があります。
Q. 治療後、かえって濃くなりました。
-
A. レーザー照射後に一時的に色が濃くなること(炎症後色素沈着)は、よくある経過です。多くは数か月かけて薄くなっていきます。ご心配な場合はご相談ください。
Q. ダウンタイムはどのくらいですか?
-
A. レーザー治療では、かさぶたが取れるまで1〜2週間ほど、テープでの保護が必要です。大切なご予定がある場合は、時期をご相談ください。
Q. そばかすも治療できますか?
-
A. レーザーや光治療の対象となります。ただし、そばかすは体質的な要素が大きく、紫外線対策を続けないと再び現れることがあります。
Q. 妊娠中・授乳中でも治療できますか?
-
A. 内服薬やレーザー治療は、原則としてお受けできません。時期をあらためてご相談ください。紫外線対策と保湿は、この時期にもお続けいただけます。
Q. 市販の美白化粧品だけでは無理ですか?
-
A. 効果は穏やかですが、予防と維持には意味があります。「これ以上増やさない」という観点では、日焼け止めと保湿が最も確実です。
Q. しみを取らないと、健康上の問題がありますか?
-
A. 基本的にはありません。ただし、まれに悪性のできものがしみのように見えることがあるため、変化のあるものは一度診せていただくことをおすすめします。
Q. 治療をやめたら、また出てきますか?
-
A. 紫外線を浴び続ければ、新しいしみができます。治療後の維持には、日々の紫外線対策が欠かせません。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。しみは、その方がこれまで浴びてきた紫外線の記録でもあります。子どものころの部活動、屋外でのお仕事、日々の通勤。そうした年月が、少しずつ皮膚に蓄積されて表れてきます。
しみの治療で私が最も大切にしているのは、まず何のしみかを見極めることです。これは技術的な話ではなく、間違えると悪化させてしまうからです。肝斑にレーザーを当てれば濃くなります。炎症後色素沈着も同じです。悪性のできものだったら、診断の機会そのものを失います。「とりあえず当ててみましょう」という進め方だけは、したくないと思っています。
そして、効かないものには効かないとお伝えします。しみは、すべてがきれいに消える施術ではありません。薄くするのが精一杯のもの、時間をかけるしかないものがあります。良いことばかりをお伝えして始めていただき、後で「思っていたのと違う」となるのは、お互いにとって不本意です。
もうひとつ、しみの治療は施術だけでは完結しないということもお伝えしたいと思っています。どんなにきれいに取れても、日焼け止めを塗らずに過ごせば、また出てきます。こすり続ければ、また濃くなります。だから当院では、施術と同じくらい、日々のケアの話に時間を使います。ここを飛ばして施術だけを重ねるのは、私の考える医療ではありません。
最後に。しみは、医学的に治療しなければならないものではありません。気にならないのであれば、何もしないという選択も、まったく正しいと思っています。そのうえで、気になって毎日鏡の前で憂うつになるのであれば、それは十分に治療を検討する理由になります。ご自身のお気持ちを大切に、決めていただければと思います。
私自身、患者様のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで進めることを信条としています。どうぞお気軽にご相談ください。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
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