名古屋市昭和区で肝斑治療をご検討の方へ。頬の左右対称のしみ、レーザーで濃くなったしみを皮膚科専門医が診断し、内服・外用・紫外線対策から治療します。
古くから、妊娠中に顔へ左右対称の色素沈着が現れることは知られており、欧米では「妊娠マスク」と呼ばれてきました。現在では肝斑は、単にメラニンが増えた「しみ」ではなく、紫外線、可視光線、女性ホルモン、血管、真皮の変化などが複雑に関わる慢性的な色素異常症と考えられています。主に妊娠可能年齢から中年女性に多く、男性にも起こります。報告地域によって有病率には大きな幅があり、約5~46%との報告もあります。

なぜ皮膚科なのか?
肝斑治療で最初に必要なのは「レーザーを選ぶこと」ではなく、本当に肝斑なのかを見極めることです。
肝斑は老人性色素斑、雀卵斑、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)、炎症後色素沈着などと混在することが多く、同じ顔でも治療法が正反対になる場合があります。日本皮膚科学会の診療指針でも、肝斑では診断が重要であり、特にADMとの鑑別が難しいとされています。
当院では「全部まとめてシミ取り」ではなく、どの色素斑を先に治療するべきかを考えます。
当院での治療アプローチ
- ダーモスコピーなどを用いて肝斑・老人性色素斑・ADMなどを見分ける
- まず紫外線・可視光線対策、スキンケア、外用・内服など刺激の少ない治療から開始
- 洗顔、クレンジング、タオル、化粧時の摩擦を具体的に見直す
- 肝斑が落ち着いてから、混在する老人性色素斑へのレーザー治療を検討
- 機器治療を行う場合も、照射回数や出力を慎重に設定する
- 写真を残し、「なんとなく」ではなく経時的に評価する
具体的な症状と年齢別の特徴
典型的には、30~50代頃から両頬・頬骨周囲に左右対称のぼんやりした褐色斑として現れます。額、鼻下、顎にみられることもあります。
20~30代では妊娠やホルモン変化を契機に目立つことがあり、30~50代では紫外線曝露の積み重ねや他のシミとの混在が増えます。閉経後に薄くなる方もいますが、必ず消えるわけではありません。
なぜ肝斑になるのか?
最大の悪化因子のひとつが光です。紫外線だけでなく可視光線も色素沈着へ関与することが分かっており、酸化鉄を含む色付き日焼け止めで可視光線まで遮ると、紫外線のみを遮る日焼け止めより肝斑改善効果が高かったランダム化試験があります。
女性ホルモン、遺伝的素因、真皮の光老化、血管増生、基底膜障害なども関与します。最近は、肝斑を単なる「メラニンの病気」ではなく、表皮・真皮・血管を含めた皮膚全体の慢性的な光老化現象として捉える考え方が強くなっています。
なお、摩擦を減らすことは日常診療上大切ですが、紫外線やホルモンと同じレベルで原因として確立している、と断定するのは避けた方が医学的には正確です。
治療法
遮光・スキンケア:治療の土台です。SPFだけでなく、帽子・日傘、場合によっては酸化鉄配合の色付き日焼け止めも選択肢です。
ビタミンC、トラネキサム酸:トラネキサム酸は血栓症リスクを含め既往歴・家族歴・服薬歴を確認します。561例の後ろ向き研究では約90%に何らかの改善がみられた一方、再発は約27%で、深部静脈血栓症1例も報告されています。
ハイドロキノン(国内未承認外用薬):海外エビデンスが比較的豊富な美白外用薬です。刺激性皮膚炎、まれな外因性組織黒変症などに注意します。日本の美容医療診療指針でも重要な外用治療として位置づけられています。
ケミカルピーリング:外用・遮光だけで不十分な場合の補助療法として検討します。
レーザー:第一選択ではありません。保存的治療で不十分な場合に慎重に検討します。高フルエンスQスイッチレーザーでは悪化、低フルエンス照射でも再燃・PIH・脱色素斑が問題になります。
最近注目されている3つの話題
- 紫外線だけでなく「可視光線」も対策する
SPFの数字だけを見るのではなく、色付き日焼け止めなどで可視光線まで防御する考え方が注目されています。 - トラネキサム酸は投与経路によって効果・リスクが異なる
2024年のネットワークメタ解析でも、内服・外用・注入など各投与法の有効性が比較されています。
日常生活で気をつけるポイント
- 朝は日焼け止めを使用し、長時間屋外にいる日は塗り直す
- 帽子・日傘を併用し、頬への光曝露を減らす
- 洗顔料を十分泡立て、強くこすらない
- タオルは押さえるように使用する
- クレンジングや美顔器による過度な摩擦を避ける
- 新しい美容施術を次々重ねず、まず現在の肝斑を安定させる
- 月1回、同じ照明・同じ位置で写真を撮って変化を確認する
よくある質問
Q.肝斑にレーザーは絶対ダメですか?
-
A.絶対ではありません。ただし、通常の日光黒子に使うような高出力のQスイッチレーザーでは悪化することがあります。まず保存的治療を行い、必要な場合のみ機器治療を検討するのが基本です。
Q.トラネキサム酸はずっと飲んでもいいですか?
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A.漫然と長期間服用するのではなく、効果とリスクを確認しながら使用します。血栓症本人歴・家族歴などの確認が重要です。
Q.日焼け止めはSPF50なら何でも同じですか?
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A.肝斑では紫外線だけでなく可視光線も関与するため、SPFだけでは評価できません。色付きタイプに含まれる酸化鉄などが可視光線対策に役立つ可能性があります。
Q.完全に消えますか?
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A.肝斑は再燃しやすい慢性疾患です。「一度消して終了」より、薄くして再燃を抑えるという考え方が現実的です。
まとめ
肝斑は、「しみだからレーザーを当てればよい」という病気ではありません。
名古屋市昭和区・川名駅周辺で、「頬の左右対称のしみ」「肝斑か老人性色素斑かわからない」「シミ取りレーザー後に濃くなった」とお困りの方は、一度皮膚科で診断を受けることをおすすめします。
当院では、治療を急いで始めるよりも、何が肝斑で、何が別のしみなのかを整理し、治療の順番を決めることを大切にしています。
よく似た症状の別の病気
- 老人性色素斑(日光黒子)
紫外線の蓄積で生じる、境界の比較的はっきりした茶色いしみです。肝斑と混在することが非常に多く、こちらはレーザー治療が適する場合があります。 - ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
頬骨周囲に左右対称の灰色~青褐色斑が現れるため、肝斑と特に紛らわしい疾患です。色素が真皮にあるため治療方法が異なります。 - 雀卵斑(そばかす)
幼少期から現れやすい数mm程度の細かな褐色斑です。鼻から両頬に多発し、紫外線で濃くなります。遺伝的な体質が関係します。 - 炎症後色素沈着
湿疹、ニキビ、やけど、レーザー治療などの炎症後に茶色く残る色素沈着です。肝斑と重なると見分けにくくなります。 - 摩擦黒皮症
強くこする習慣が長期間続くことで生じる褐色~灰褐色の色素沈着です。洗顔やマッサージ習慣の確認が診断の手掛かりになります。 - リール黒皮症
顔面に網目状・びまん性の灰褐色色素沈着を生じます。化粧品成分や接触アレルギーが関与する場合があり、肝斑とは治療が異なります。 - 光接触皮膚炎後色素沈着
化粧品や外用剤などに光が加わって炎症を起こし、その後色素沈着を残す状態です。季節性や使用製品の確認が重要です。 - 脂漏性角化症
いわゆる「老人性いぼ」です。初期は平らな茶色いしみとして始まり、日光黒子や肝斑の中に混在することがあります。 - 色素性母斑
一般的な「ほくろ」です。平らなものはしみに見えることがあります。左右非対称、不整形、急な変化があればダーモスコピーで確認します。 - 悪性黒子・悪性黒色腫
顔のしみに見える悪性腫瘍です。形や色が不規則、徐々に拡大するなどの場合には、美容治療を行う前に皮膚科での診断が必要です。 - 基底細胞癌
茶色~黒色の色素を伴うタイプでは、ほくろやしみと間違われることがあります。安易にレーザーを当てる前の診断が重要です。 - 扁平苔癬様角化症
日光黒子などが炎症を起こして変化した病変で、赤褐色から灰褐色になります。ダーモスコピーで鑑別します。
主な出典
- 日本皮膚科学会ほか.美容医療診療指針・令和3年度改訂版.
- 日本皮膚科学会.美容医療診療指針.2020.
- Castanedo-CazaresJP,etal.Near-visiblelightandUVphotoprotectioninthetreatmentofmelasma.PhotodermatolPhotoimmunolPhotomed.2014.
- BoukariF,etal.PreventionofmelasmarelapseswithsunscreencombiningprotectionagainstUVandvisiblelight.JAmAcadDermatol.2015.
- LeeHC,etal.Oraltranexamicacidinthetreatmentofmelasma:aretrospectiveanalysis.JAmAcadDermatol.2016.
- ColferaiMMT,etal.Evaluationoforaltranexamicacidinthetreatmentofmelasma.JCosmetDermatol.2019.
- LiangR,etal.Comparativeefficacyandsafetyoftranexamicacidformelasma.2024.
- Morgado-CarrascoD,etal.Melasma:theneedfortailoredphotoprotection.2022.
- PMDA.トラネキサム酸(一般用)「トランシーノ」効能・効果および使用上の注意.
- 日本皮膚科学会.ケミカルピーリングガイドライン改訂第3版.




