プールの時期になって、体につやのある小さなふくらみが増えているのに気づいた。園から「水いぼがあるので相談してください」と言われた。足の裏のタコだと思っていたものが、なかなか治らない。お子様のいぼ・水いぼは、ご家族にとって悩ましいテーマです。とくに水いぼは、「取るべきか、待つべきか」で意見が分かれることがあり、園やプールの方針もさまざまです。正解がひとつではないからこそ、お子様の負担、ご家族のお考え、園のご事情をふまえて、一緒に決めていくことが大切だと考えています。このページでは、お子様のいぼ・水いぼについてご説明します。
いぼと水いぼは別のものです
名前は似ていますが、原因となるウイルスも、治療の考え方も異なります。
水いぼ(伝染性軟属腫)
伝染性軟属腫ウイルスによって生じる、つやのある小さなふくらみです。
- 直径1〜5ミリほど、半球状で、表面につやがある
- 中央がくぼんで見える
- 肌色〜わずかに白っぽい
- 中に白いかたまり(軟属腫小体)が入っている
- 痛みはなく、かゆみを伴うことがある
- 体幹、わきの下、腕や脚の内側など、皮膚のやわらかい部分に多い
就学前から小学校低学年のお子様に多く、プールやお風呂での肌と肌の接触、タオルやビート板の共用などをきっかけに広がることがあります。
最も重要な特徴は、時間の経過とともに免疫がはたらいて自然に消えていくことです。ただし、その期間には個人差が大きく、数か月から年単位かかることもあります。この「待てば治るが、いつになるか分からない」という性質が、判断を難しくしています。

いぼ(ウイルス性疣贅)
**ヒトパピローマウイルス(HPV)**が皮膚の小さな傷から入り込むことで生じる、盛り上がったできものです。
- 表面がザラザラ、ゴツゴツと硬い
- 皮膚の色〜灰白色
- 手や指、足の裏、ひじ・ひざなど、刺激を受けやすい部位に多い
- 足の裏にできると平たくなり、押すと痛むことがある
- かゆみはほとんどない
自然に消えることもありますが、時間がかかり、その間に数が増えることがあります。 とくに足の裏のいぼは、体重がかかることで深くなり、治療が長引きやすい傾向があります。

紛らわしいもの
足の裏のいぼは、タコや魚の目とよく似ています。 体重がかかって平たくなるためです。「タコだと思って市販の角質を取る薬を使っていたが治らない」という形で受診されるお子様は少なくありません。削る治療では、いぼはかえって広がることがあります。 見分けが大切です。
水いぼ:取るか、待つか
水いぼで最も多いご相談が、これです。どちらの考え方にも根拠があり、一律の正解はありません。
「取る」という考え方
- 数が少ないうちなら、短時間で終わる
- 周囲への広がりを抑えられる
- 園やプールのルールに対応できる
- 掻き壊しやとびひを防げる
「待つ」という考え方
- いずれ自然に治るものである
- 摘除には痛みを伴い、お子様の負担になる
- 数が多いと何度も処置が必要になる
- 処置の恐怖心が残ることがある
当院の考え方
当院では、次のような要素をうかがったうえで、ご一緒に決めていきます。
- 数と広がり方 少数で落ち着いていれば待つ選択がしやすく、急速に増えているなら早めの対応を検討します
- お子様の年齢とご様子 痛みへの耐えられ方には個人差があります
- かゆみ・掻き壊しの有無 掻き壊してとびひになるリスクがあれば、対応を優先します
- 周囲の皮膚の状態 アトピー性皮膚炎や乾燥があると広がりやすくなります
- 園・学校のご事情 方針は施設によって異なります
- ご家族のお考え
どちらを選ばれても、それは間違いではありません。 迷われている段階でも、まずご相談ください。
なお、プールの水そのものでうつるわけではないとされていますが、肌と肌の接触や、タオル・ビート板の共用が広がるきっかけになります。日本小児皮膚科学会などは、水いぼを理由にプールを一律に禁止する必要はないという見解を示していますが、実際の対応は施設によって異なりますので、通われている園・学校の方針をご確認ください。
受診の目安
数が増えてきた
かゆがって、かき壊している
じくじくして、黄色いかさぶたが付いている(とびひの可能性)
周囲が赤く湿疹のようになっている
園やプールで指摘された
足の裏が痛い、歩き方がおかしい
タコだと思っていたものが治らない
手や足に硬いブツブツができている
どうすればよいか分からず迷っている
そのままにしておくとどうなるか
数が増えます。
かいたりこすったりすることで、指を介して周囲や別の場所へ広がります(自家接種)。はじめは1〜2個だったものが数十個になることも珍しくありません。数が増えるほど、どの方法を選んでも負担が大きくなります。
周囲の方にうつります。
ご家族やお友達に広がることがあります。
とびひになることがあります。
かき壊した部分から細菌が入り、とびひ(伝染性膿痂疹)を起こすことがあります。
足の裏のいぼは、深くなります。
体重がかかることで深く入り込み、歩くたびに痛むようになります。治療にも時間がかかるようになります。
間違った処置で悪化することがあります。
足の裏のいぼをタコと思って削り続けると、かえって広がることがあります。
一方で、いぼ・水いぼは適切に対応すれば落ち着かせていけるものです。数が少なく、できてからの期間が短いほど、負担は小さくすみます。なお、経過や治療への反応には個人差があります。
当院の診療の特徴
いぼ・水いぼの治療は、標準的な治療(保険診療)が基本です。川名ごとう皮フ科クリニックでは、まず保険診療でできる治療をしっかり行うことを土台に、お子様の負担とご家族のお考えをふまえて進めることを心がけています。
皮膚科専門医による診療
いぼ・水いぼは見た目が似た別のできものと紛らわしいことがあるため、まずは正しく診断することを大切にしています。
「痛み」と「気持ち」に配慮する
お子様の水いぼの処置で難しいのは、痛みを伴うことです。専用のピンセットで摘み取る方法は確実ですが、お子様にとってはつらい処置です。無理に押さえつけて行えば、恐怖心が残り、その後の受診そのものを嫌がるようになることもあります。
当院では、痛みへの配慮をご相談いただけます。処置の前に貼って皮膚の感覚をやわらげるテープを使う方法があります。貼ってから効果が出るまでに時間がかかるため、事前の準備が必要です。ご希望があれば、あらかじめお渡しして、ご自宅で貼ってからご来院いただくこともご案内できます。
また、数が多い場合は、一度に全部取ろうとしません。何回かに分けて進めるほうが、お子様の負担が少なくてすみます。
そして、背景にある皮膚の状態にも目を向けます。アトピー性皮膚炎や乾燥があると、水いぼは広がりやすくなります。皮膚を整えることが、広がりを抑えることにつながります。この視点を持つのが、皮膚科の役割だと考えています。
通いやすい体制
所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族が来院しやすい環境づくりを心がけています。いぼの治療は複数回の通院が必要になることが多いため、無理なく通い続けられることを大切にしています。
診療の流れ(初診〜)

受付・問診
問診票に、気づいた時期、数の変化、かゆみの有無、これまでのケア、園やプールの状況、ご家族の状況、アトピー性皮膚炎の有無などをご記入いただきます。痛みへの配慮をご希望の場合は、お知らせください。

診察
医師が皮膚の状態を直接診て、大きさ・数・部位・広がり方を確認します。必要に応じてダーモスコピー(拡大鏡を用いた観察)で、ほかのできものとの見分けを行います。

方針のご相談
水いぼの場合は、取る・待つの選択について、お子様の状態とご家族のお考えをうかがいながら一緒に決めていきます。処置に伴う痛みや、通院回数の目安もあらかじめお伝えします。

治療(ご希望があれば)
ご同意のうえで処置を行います。麻酔テープをご希望の場合は、日を改めてのご来院となることがあります。

経過の確認
数の変化や、周囲の皮膚の状態を確認しながら進めます。
治療方法
水いぼの対応
摘除(専用のピンセットによる除去)
水いぼの中身を1つずつ摘み取る方法です。確実性が高い一方、処置の際に痛みを伴います。数が多い場合は、複数回に分けて行います。
麻酔テープの併用
処置の前に貼って皮膚の感覚をやわらげるテープを用いる方法をご相談いただけます。貼ってから効果が出るまでに時間がかかるため、事前の準備が必要です。
経過観察(自然に治るのを待つ)
周囲への配慮をしながら、免疫がはたらいて自然に消えるのを待つ選択です。その場合も、どのような変化があれば受診いただきたいかをお伝えします。
周囲の皮膚のケア
水いぼの周りに湿疹が出てかゆみが強い場合には、その部分の治療を行います。乾燥した皮膚を保湿して整えることも、広がりを抑えるうえで役立つと考えられています。
いぼの治療
液体窒素による凍結療法
いぼの治療で最も広く行われている方法です。液体窒素を当てて組織を凍らせ、皮膚の入れ替わりとともに脱落させることを目指します。1〜2週間ごとにくり返し行うのが一般的で、当てている間や直後に痛みを感じることがあります。お子様の場合は、様子を見ながら無理のない強さで行います。
外用療法(塗り薬・貼り薬)
サリチル酸などで、硬くなった角質をやわらかくしながら進める方法です。凍結療法と組み合わせることもあります。
内服療法
ヨクイニン(ハトムギ由来の漢方薬)が用いられることがあります。数が多い場合やお子様の場合に、ほかの治療と併用して検討されることがあります。痛みを伴わないため、お子様に用いやすい選択肢のひとつです。
そのほか
部位や大きさ、これまでの経過によっては、ほかの方法が検討されることがあります。適応は診察のうえでご説明します。
ご家庭でのケア・予防
触らない・かかない
最も大切なことです。かいたり、つまんだり、削ったりすると、指を介して周囲や別の場所へ広がります。爪を短く整え、かゆみが強いときは早めにご相談ください。
皮膚を清潔に、そして乾燥させない
皮膚が乾燥していると細かい傷ができやすく、ウイルスが入り込む隙間になります。入浴後の保湿を習慣にしましょう。体を洗うときは、ナイロンタオルで強くこすらず、よく泡立てた洗浄剤でやさしく。
共用を避ける
タオル、バスタオル、浮き具、ビート板などの共用は避けてください。
足のいぼは、うつさない工夫を
家庭内でのバスマットやスリッパの共用を控えると、ご家族への広がりを抑えることにつながります。
市販薬の自己判断は慎重に
いぼだと思って角質を取る市販薬を使い続けた結果、実は別のできものだった、あるいは広がってしまった、ということがあります。
園・学校の方針を確認
水いぼへの対応は施設によって異なります。方針を確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 水いぼは取ったほうがよいですか?
-
A. どちらの考え方もあり、一律の正解はありません。自然に消えることが知られている一方、その間に数が増えたり、周囲に広がったりすることもあります。当院では、数や広がり方、お子様の負担、園やプールのご事情などをうかがったうえで、ご一緒に方針を決めています。迷われている段階でも、お気軽にご相談ください。
Q. 水いぼがあると、プールに入れませんか?
-
A. プールの水を介してうつるわけではないとされていますが、肌の接触やタオル・ビート板の共用で広がることがあるため、独自のルールを設けている施設もあります。通われている施設の方針をご確認ください。必要であれば、診察時にご相談ください。
Q. 摘除は痛いですか?
-
A. 痛みを伴います。当院では、処置の前に貼って皮膚の感覚をやわらげるテープの使用をご相談いただけます。また、数が多い場合は複数回に分けて進めることで、一度の負担を減らします。
Q. 水いぼは、放っておいたらいつ治りますか?
-
A. 個人差が大きく、数か月から年単位かかることもあります。「いずれ治る」ことは確かですが、その間に数が増えることもあるため、経過を見ながら判断していきましょう。
Q. いぼ(ザラザラしたもの)は自然に治りますか?
-
A. 免疫のはたらきによって自然に消えることもありますが、時間がかかったり、その間に数が増えたりすることがあります。とくに足の裏のいぼは深くなりやすく、治療が長引く傾向があります。気づいた段階でご相談いただくほうが、負担が小さくすみます。
Q. 液体窒素は痛くないですか?
-
A. 当てている間や直後に、しみるような痛みがあります。お子様の場合は、様子を見ながら無理のない強さで行います。痛みが強くて続けられない場合は、飲み薬や塗り薬など、ほかの方法もご相談いただけます。
Q. 治療には保険が使えますか?
-
A. いぼ・水いぼの診断と治療は保険診療の対象です。お住まいの自治体の医療費助成も適用されます。
Q. きょうだいにうつりますか?
-
A. 肌の接触やタオルの共用でうつることがあります。タオルを分ける、お風呂で肌がこすれないようにするといった工夫をおすすめします。
Q. 足の裏が痛いと言います。タコでしょうか?
-
A. 足の裏のいぼは、体重がかかって平たくなるため、タコや魚の目とよく似ています。削る治療ではかえって広がることがあるため、見分けが大切です。一度診察でご確認ください。
Q. アトピーがあると、水いぼが広がりやすいのですか?
-
A. 皮膚のバリアが弱いと、広がりやすい傾向が知られています。水いぼの対応と並行して、もとの皮膚の状態を整えていくことが大切です。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。お子様の水いぼが広がりやすいかどうかは、その子の皮膚がどんな状態にあるかと深く関わっています。乾燥している、湿疹がある。そうした背景があると、同じようにウイルスに触れても広がり方が違ってきます。だから私は、水いぼだけを見るのではなく、その周りの皮膚まで含めて診るようにしています。
そして、水いぼの「取るか、待つか」について。これは医学的にひとつの正解がある問題ではありません。だからこそ私は、ご家族と一緒に決めたいと思っています。数はどのくらいか。お子様は痛みに耐えられそうか。園はどういう方針か。ご家族はどうお考えか。そうしたことをうかがったうえで、その子にとっていちばん負担の少ない道を選びたいと考えています。
処置をする場合も、お子様の気持ちを置き去りにしないことを大切にしています。無理に押さえつけて取れば、その日は終わります。けれど、恐怖心が残って病院そのものを嫌いになってしまえば、その先ずっと困ることになります。麻酔テープを使う、何回かに分ける、今日は数個だけにする。そうした工夫で、お子様との関係を壊さずに進めたいと思っています。
一方で、「待ちましょう」と言うだけで終わらせないことも大切にしています。待つ場合には、どんな変化があれば受診してほしいのか、日々どんなケアをすればよいのかを具体的にお伝えします。そうでなければ、ご家族は不安を抱えたまま待つことになってしまいます。
私自身、患者様とご家族のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで進めることを信条としています。迷っていらっしゃる段階でも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
ご予約・お問い合わせ
関連する治療・症状
子どものいぼ、水いぼと関わりの深い、次のページもあわせてご覧ください。




