春になると、目をこすってばかりいる。まぶたが赤く腫れて、頬がカサカサする。「かぜが長引いているのかな」と思っていたら、毎年同じ時期にくり返している。お子様の花粉症は、近年低年齢化が指摘されています。そして、大人と違って自分で症状を説明できないため、気づかれるのが遅れがちです。とくに皮膚の症状は、「季節の肌荒れ」や「アトピーの悪化」と受け取られて、花粉が原因だと気づかれないことがあります。このページでは、お子様の花粉症、とくに皮膚に出る症状について、見分け方と対応をご説明します。
子どもの花粉症とは
花粉症は、植物の花粉に対して体の免疫が過剰に反応することで起こるアレルギーです。かつては「子どもには少ない」とされていましたが、近年は発症年齢が下がっていることが指摘されており、就学前のお子様にみられることも珍しくありません。
原因となる花粉は季節ごとに異なります。
- 春(2〜5月ごろ) スギ、ヒノキ
- 初夏(4〜7月ごろ) シラカバ、ハンノキ、イネ科(カモガヤなど)
- 夏〜秋(8〜10月ごろ) ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ
イネ科の花粉は、公園や河川敷の草むらに多く、外遊びの多いお子様が接する機会が多いのが特徴です。「春は平気なのに、初夏になると症状が出る」という場合、イネ科が関わっていることがあります。
皮膚に出る症状(花粉皮膚炎)
お子様の花粉症で見落とされやすいのが、皮膚の症状です。花粉が直接触れる場所に、次のような症状が出ます。
- まぶた、目のまわりの赤み・腫れ・カサつき
- 頬、額、鼻のまわりの赤み
- 首、うなじ
- かゆみ
とくにお子様では、目をこするために、まぶたが厚くゴワゴワしてくる、目のまわりに色素沈着が出るといった変化がみられます。「アイシャドウを塗ったように目のまわりが黒ずむ」といわれることもあります。
また、鼻をかむ回数が増えて鼻の下が荒れる、鼻をこすり上げる癖で鼻に横のしわができる(アレルギー性鼻炎の子によくみられます)といった変化も、気づきのきっかけになります。
皮膚以外の症状
- 鼻 くしゃみ、水のような鼻水、鼻づまり、口呼吸
- 目 かゆみ、充血、涙、目やに、しきりに目をこする
- のど いがいが感、せき
- 全身 だるさ、機嫌が悪い、集中しにくい、寝つきが悪い
お子様は症状を言葉で説明できないため、行動の変化で気づくことが多くあります。
- しきりに目や鼻をこする
- 鼻づまりで口を開けている
- 夜、寝苦しそうにしている
- 落ち着きがない、機嫌が悪い日が続く
かぜとの見分け
毎年この時期になると、「かぜが長引いている」と受診されることがあります。次の点が見分けの手がかりになります。
- 鼻水がずっと水のようにサラサラ(かぜは数日で粘り気が出ることが多い)
- 熱が出ない
- 目のかゆみをともなう
- 2週間以上続いている
- 毎年、同じ時期にくり返している
- 外に出た日に強くなる
アトピー性皮膚炎との関係
アトピー性皮膚炎のあるお子様では、花粉の時期に症状が悪化することがあります。「毎年春になると、アトピーがひどくなる」という場合、花粉が関わっている可能性があります。この場合、アトピーの治療だけでなく、花粉への対策も組み合わせることで、シーズン中の負担が軽くなることがあります。
受診の目安
- 毎年、決まった時期に目や鼻をこすっている
- まぶたや目のまわりが赤い、腫れている、黒ずんできた
- 頬や首が、その時期だけカサカサする
- 鼻水・くしゃみが2週間以上続いている
- 鼻づまりで口呼吸になっている、寝苦しそう
- アトピー性皮膚炎が、毎年その時期に悪化する
- 集中できない、機嫌が悪い日が続く
「まだ小さいから花粉症ではないだろう」と思われがちですが、就学前のお子様にもみられます。気になる場合はご相談ください。
早めに対応する意味
こすることによる変化が残ることがあります。
目のまわりは皮膚が薄く、こすり続けると色素沈着が生じたり、皮膚が厚くゴワゴワしたり(苔癬化)することがあります。いったん濃くなった色素沈着は、薄くなるまでに時間がかかります。
睡眠と集中力に影響します。
鼻づまりで夜眠れないと、日中の元気や集中に影響します。学習や園での活動に響くこともあります。
口呼吸が習慣になることがあります。
鼻づまりが長く続くと口呼吸が癖になり、お口の健康や顔の成長への影響が指摘されることがあります。
アトピー性皮膚炎が悪化します。
この時期の悪化をそのままにすると、全体のコントロールが難しくなることがあります。
先回りできれば、負担が軽くなります。
毎年決まった時期に症状が出る方であれば、飛散が始まる前から保湿を強化し、必要に応じて早めに治療を始めることで、シーズン中を楽に過ごせることがあります。
なお、経過や治療への反応には個人差があります。
当院の診療の特徴
お子様の花粉症による皮膚症状は、塗り薬や飲み薬による標準的な治療(保険診療)が基本です。川名ごとう皮フ科クリニックでは、まず保険診療でできる治療をしっかり行うことを土台に、季節に合わせて先回りする診療を心がけています。
皮膚科専門医による診療
当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。お子様の顔の赤みは、花粉によるもの、アトピー性皮膚炎、よだれや食べこぼしによる刺激など原因がさまざまなため、見分けたうえで治療方針を決めることを大切にしています。
「毎年のこと」を、来年は軽くする
お子様の花粉症の診療で当院が重視しているのは、季節を先読みすることです。毎年同じ時期に症状が出るお子様であれば、飛散が始まる前から保湿を強化し、必要に応じて早めに治療を始めることで、シーズン中の負担を軽くできることがあります。当院では、いつ・どこに・どんな症状が出るのかを一緒に記録し、翌シーズンに向けた備え方までご相談いただけるようにしています。
また、こすらせないことを大切にしています。目をこするのは、かゆいからです。かゆみを我慢させるより、早く抑えてあげるほうが、色素沈着や皮膚の変化を防げます。
そして、皮膚のバリア機能が弱まっていると花粉の刺激を受けやすくなるため、症状のない時期のスキンケアも大切にお伝えしています。アトピー性皮膚炎のあるお子様では、もともとの治療とあわせて組み立てます。
なお、鼻や目の症状が強い場合には、耳鼻科・眼科での治療とあわせて進めていただくことをおすすめしています。それぞれの部位に適した薬があるためです。
通いやすい体制
所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族が来院しやすい環境づくりを心がけています。
診療の流れ(初診〜)

受付・問診
問診票に、症状の出る時期、部位、これまでの経過、鼻や目の症状、睡眠の様子、ご家族のアレルギー歴、使っているスキンケア用品などをご記入いただきます。「毎年この時期に」という情報が、大きな手がかりになります。

診察
医師が皮膚の状態を直接診て、赤みやカサつきの分布を確認します。花粉が触れる部位に一致しているか、目のまわりの変化はどうかなどが見分けの手がかりになります。

検査(必要に応じて)
原因となる花粉を確かめるため、血液検査(特異的IgE抗体)をご提案する場合があります。年齢や採血の負担も考えたうえで、必要性をご説明します。

治療方針のご説明
治療の内容と、日常での対策を分かりやすくご説明します。

治療の開始・経過の確認
治療を始め、経過を見ながら調整していきます。シーズン後には、翌年に向けた備え方についてもご相談いただけます。
治療方法
外用薬(塗り薬)
- ステロイド外用薬 炎症をしずめる基本の塗り薬です。まぶたや顔は皮膚が薄いため、弱めのランクのものを、部位に合わせて選びます。 自己判断で強い薬を使い続けることは避けてください
- 非ステロイド外用薬 部位や状態によって検討されることがあります
- 保湿剤 皮膚のバリア機能を助けます。花粉皮膚炎では保湿そのものが治療の一部です。外出前に塗っておくと、花粉が直接触れるのを和らげる役割も期待できます
内服薬(飲み薬)
- 抗ヒスタミン薬 かゆみをやわらげます。鼻や目の症状にもはたらきます。お子様向けにはシロップやドライシロップ、口の中で溶けるタイプなどがあり、年齢や飲みやすさに合わせて選びます。眠気の出方には個人差があります
初期療法(先回りして始める)
症状が本格化する前から治療を始めることで、シーズン中の症状を軽くできることがあります。毎年決まった時期に症状が出るお子様には、飛散開始の前にご相談いただくことをおすすめします。
舌下免疫療法(スギ花粉症の場合)
おおむね5歳以上のお子様が対象となります。原因となる物質を少量ずつ体に取り込み、体質そのものにはたらきかけることを目指す治療です。3〜5年にわたって毎日続ける必要があり、スギの場合は開始できる時期(一般に6月ごろから12月ごろまで)に制限があります。錠剤を舌の下で1分間ほど保てるかどうかがポイントになります。適応や進め方については、診察時にご説明します。
他科との連携
鼻づまりやくしゃみが強い場合は耳鼻科、目のかゆみや充血が強い場合は眼科での治療とあわせて進めていただくことをおすすめします。
ご家庭でのケア・予防
花粉を肌に付けない・持ち込まない
- 外出時は帽子を活用。年齢に応じてマスクや眼鏡も
- 表面がなめらかな素材の上着を選ぶと、花粉が付きにくくなります
- 帰宅時は玄関の外で服をはらう
- 帰宅後は早めに洗顔・手洗い。こすらず、ぬるま湯とよく泡立てた洗浄剤で
- 飛散の多い日は、洗濯物や布団を屋外に干さない
- 帰宅後の入浴で、髪や体の花粉を落とす
皮膚のバリアを保つ
- 保湿を毎日続ける。外出前に塗っておくと、花粉が直接触れるのを和らげます
- 熱いお湯での洗顔・長風呂は避け、ぬるめのお湯で
- 洗いすぎない
こすらせない工夫
- 目やまぶたをこすると、色素沈着や皮膚の厚みにつながります
- かゆいときは、清潔なタオルで冷やす
- 爪を短く整える
- かゆみが強いときは、我慢させずに薬を使う
園・学校との情報共有
症状が強い時期は、屋外活動の後の洗顔や、薬の使用について、園や学校にお伝えしておくと安心です。
飛散情報を活用する
地域の花粉飛散情報を確認し、多い日は外遊びの時間や洗濯の予定を調整すると負担が減ります。
よくある質問
Q. 何歳から花粉症になりますか?
-
A. 近年は発症年齢が下がっていることが指摘されており、就学前のお子様にもみられます。「まだ小さいから」と決めつけず、毎年同じ時期にくり返す症状があれば、ご相談ください。
Q. かぜと花粉症、どう見分けますか?
-
A. 鼻水がずっとサラサラしている、熱が出ない、目のかゆみがある、2週間以上続く、毎年同じ時期にくり返す。これらが当てはまる場合、花粉症の可能性を考えます。
Q. 目のまわりが黒ずんできました。
-
A. かゆくてこすり続けることによる色素沈着の可能性があります。こすらせないこと、かゆみを早く抑えることが大切です。いったん濃くなると薄くなるまで時間がかかりますので、早めにご相談ください。
Q. まぶたにステロイドを塗って大丈夫ですか?
-
A. まぶたは皮膚が薄いため、弱めのランクのものを、医師の指示に沿って使うことが大切です。自己判断で強い薬を使い続けることは避けてください。適切に使えば、こすり続けるより皮膚への負担は小さくすみます。
Q. 皮膚科と耳鼻科、どちらに行けばよいですか?
-
A. 肌の赤みやかゆみが主なら皮膚科、鼻づまりやくしゃみが主なら耳鼻科、目の症状が強ければ眼科が適しています。複数にまたがる場合は、それぞれで治療を受けていただくのが一般的です。
Q. 治療には保険が使えますか?
-
A. 花粉による皮膚症状の診断・治療は保険診療の対象です。お住まいの自治体の医療費助成も適用されます。
Q. 血液検査は必要ですか?
-
A. 原因を確かめるうえで有用ですが、必ず必要というわけではありません。年齢や採血の負担も考えたうえで、必要性をご説明します。
Q. 舌下免疫療法は子どもでも受けられますか?
-
A. おおむね5歳以上が対象です。錠剤を舌の下で1分間ほど保てるかどうかがポイントになります。3〜5年続ける必要があり、スギの場合は開始時期にも制限があります。診察時にご相談ください。
Q. 外遊びを控えたほうがよいですか?
-
A. 完全に控える必要はありません。帰宅後の洗顔と着替え、外出前の保湿といった工夫で、負担を減らせます。お子様が外で遊ぶ機会を奪わずに済む方法を、一緒に考えていきましょう。
Q. いつから対策を始めればよいですか?
-
A. 毎年決まった時期に症状が出るお子様は、飛散が始まる前からの保湿と、必要に応じた早めの治療開始をおすすめします。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。お子様の場合、その鏡はいっそう正直です。症状を言葉で説明できない分、目をこする、鼻をこすり上げる、寝苦しそうにするといった行動と、皮膚の変化が、体からのメッセージになります。
お子様の花粉症で私が大切にしたいのは、こすらせないことです。目のまわりは皮膚が薄く、こすり続けると色素沈着が残ったり、皮膚が厚くなったりします。それが何年も続けば、見た目にも影響します。「かかないで」「こすらないで」と言うより、かゆくない状態に早く戻してあげるほうが確実です。
そして、季節を先読みすること。花粉症は毎年やってきます。今年をしのぐだけで終わらせず、いつ・どこに・どんな症状が出たのかを記録しておけば、来年は手前から備えられます。そうやって、年々の負担を軽くしていければと思っています。
もうひとつ、お伝えしたいことがあります。花粉症だからといって、外遊びを控える必要はありません。お子様が外で思いきり遊ぶことは、とても大切なことです。帰ってきたら顔を洗う、着替える、出かける前に保湿しておく。そうした工夫で、遊ぶ時間を守りながら症状を抑えることは十分に可能です。何かを我慢させる方向ではなく、続けられる方向で一緒に考えていきたいと思っています。
私自身、患者様とご家族のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを信条としています。鼻や目の症状が強いときは、耳鼻科や眼科での治療とあわせて進めていただくようご案内します。どうぞお気軽にご相談ください。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
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