Disease

乳児湿疹

  • *
  • *

生後まもない赤ちゃんの顔に、ブツブツができた。頬がカサカサしてきた。ミルクの後、口のまわりが赤くなる。赤ちゃんの肌は、生まれてから数か月のあいだ、めまぐるしく変化します。そのなかで湿疹が出ることは、決して珍しいことではありません。それでも、初めてのお子様であればなおさら、「このままで大丈夫なのだろうか」「自分のケアが足りないのだろうか」とご心配になるのは自然なことだと思います。乳児湿疹は、適切なケアと治療で落ち着かせていけるものです。そして、この時期に肌を良い状態に保つことには、その先を見据えた意味もあると考えられています。このページでは、乳児湿疹について、できるだけ分かりやすくご説明します。

乳児湿疹とは

乳児湿疹は、生後1歳ごろまでの赤ちゃんに生じる湿疹の総称です。ひとつの病名ではなく、いくつかの状態がまとめてこう呼ばれています。

赤ちゃんの肌は、大人と比べて次のような特徴があります。

  • 皮膚が薄い
    大人のおよそ半分ほどの厚さといわれ、刺激を受けやすい
  • 皮脂の分泌が大きく変化する
    生後まもない時期は母親由来のホルモンの影響で皮脂が多く、生後2〜3か月を過ぎると急に減って乾燥しやすくなる
  • 汗腺の数は大人と同じ
    体は小さいのに汗腺の数は大人と変わらないため、汗をかきやすい
  • バリア機能が未熟
    外からの刺激を防ぐ力が、まだ十分ではない

この「皮脂が多い時期」と「乾燥する時期」の切り替わりが、乳児湿疹の出方が変わっていく理由です。

主なタイプ

新生児ざ瘡(しんせいじざそう)

生後2週間〜数か月ごろ、顔(とくに頬・額)に赤いブツブツや白い点ができるもの。皮脂の分泌が多いことによるもので、「赤ちゃんのニキビ」と呼ばれることもあります。多くは自然に落ち着いていきます。

乳児脂漏性皮膚炎

生後2〜3か月ごろまで、頭・眉・額に、黄色っぽいかさぶたやフケのようなものが付くもの。これも皮脂によるもので、成長とともに落ち着くことが一般的です。

乾燥による湿疹(皮脂欠乏性湿疹)

生後3か月ごろから、皮脂が減って乾燥しやすくなる時期に増えます。頬、体、手足がカサカサし、かゆみを伴うことがあります。

よだれかぶれ・食べこぼしかぶれ

口のまわり、あご、首に、よだれやミルク、離乳食が付いたままになることで起こる刺激性の湿疹です。

あせも

汗をかきやすい首、わきの下、背中、おむつのあたりに出ます。

おむつかぶれ

尿や便の刺激、おむつの蒸れによるもの。

接触皮膚炎

衣類、洗剤、スキンケア用品などによるもの。

これらは重なって現れることも多く、また時期によって主役が入れ替わっていきます。

アトピー性皮膚炎との関係

ご家族が最も気にされるのが、この点だと思います。

乳児湿疹の多くは、適切なケアで落ち着いていきます。一方で、湿疹が長く続く場合や、くり返す場合には、アトピー性皮膚炎と診断されることがあります。一般に、乳児では2か月以上湿疹がよくなったり悪くなったりをくり返す場合に、その可能性を考えます。

ただ、生後数か月の段階で「これはアトピーです」と断定することは難しく、経過を見ていくなかで分かってくるというのが実際のところです。ですから、今の時点で名前を急いでつけることよりも、目の前の湿疹をしっかり治し、肌を良い状態に保つことのほうが大切だと考えています。

皮膚を整えることの、もうひとつの意味

近年、皮膚のバリア機能と食物アレルギーの関係が注目されています。湿疹などで皮膚のバリアが壊れていると、そこから食物のたんぱく質が入り込み、アレルギーを起こしやすい形で覚えられてしまう可能性が指摘されています。

つまり、乳児期の湿疹をていねいに治し、保湿を続けることには、今の肌をきれいにする以上の意味があると考えられているのです。もちろん、それだけで防げると保証できるものではありませんが、この時期のケアを大切にしたい理由のひとつです。

受診の目安

次のような場合は、一度ご相談ください。

  • 保湿を続けているのに、湿疹がよくならない
  • かゆがって、機嫌が悪い・眠れない・かき壊している
  • じくじくしている、黄色いかさぶたが付いている(とびひの可能性)
  • 湿疹が広がってきた
  • 2か月以上、良くなったり悪くなったりをくり返している
  • 授乳や離乳食のあとに、決まって症状が出る
  • どうケアすればよいか分からない、不安がある

最後の項目も、立派な受診の理由です。「これくらいで受診してよいのだろうか」と迷われる必要はありません。

そのままにしておくとどうなるか(早めのご相談の意味)

「赤ちゃんの肌はそのうちきれいになる」。確かに、自然に落ち着いていくものも多くあります。ただ、次の点にはご留意ください。

かき壊しから感染が起こることがあります。

湿疹をかき壊した部分から細菌が入り、とびひ(伝染性膿痂疹)を起こすことがあります。夏場はとくに注意が必要です。

湿疹が長引くと、肌の状態が変わっていきます。

炎症をくり返すうちに、皮膚が厚くゴワゴワしてくることがあります。こうなると、落ち着かせるのに時間がかかります。

バリアが壊れた状態が続きます。

前述のとおり、皮膚のバリアが壊れた状態が続くことの影響が指摘されています。

ご家族の負担が続きます。

かゆみで夜泣きが続けば、ご家族も休めません。「自分のケアが悪いのでは」と自分を責めてしまう方も多くいらっしゃいます。これは、決してご家族のせいではありません。

自己判断の市販薬が合わないことがあります。

赤ちゃんの皮膚は薄く、大人向けの薬をそのまま使うのは適切でないことがあります。

一方で、乳児湿疹は適切なケアと治療で落ち着かせていけるものです。早い段階でご相談いただくほうが、負担も小さくすみます。なお、経過や治療への反応には個人差があります。

当院の乳児湿疹診療の特徴

乳児湿疹は、塗り薬とスキンケアによる標準的な治療(保険診療)が基本です。川名ごとう皮フ科クリニックでは、まず保険診療でできる治療をしっかり行うことを土台に、ご家族が安心して続けられるケアを一緒に組み立てることを心がけています。

皮膚科専門医による診療

当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。乳児湿疹はいくつかの状態が重なって現れることが多いため、今どのタイプが主なのかを見極めたうえで、その時期に合ったケアをご提案することを大切にしています。

「どう塗るか」まで、具体的にお伝えします

赤ちゃんの湿疹の治療でつまずきやすいのが、薬の塗り方です。「ステロイドは怖い」というお気持ちから量を減らしてしまい、結果として治りきらず、だらだらと使い続けることになる。これは本当によくあることです。

当院では、どのくらいの量を、どの範囲に、どのくらいの期間塗るのかを、実際にお見せしながら具体的にご説明します。しっかり塗って早く治し、良くなったら減らしていく。この進め方のほうが、結果的にお薬の総量は少なくなります。ご不安な点は、遠慮なくお聞かせください。

また、赤ちゃんの肌は月齢とともに変わっていきます。皮脂が多い時期と、乾燥する時期では、必要なケアが違います。当院では、今の時期に合ったケアを、そのつどお伝えしていきます。毎回同じ処方を漫然と続けるのではなく、成長に合わせて見直していくことを大切にしています。

食物アレルギーが心配な場合のご相談も承ります。ただし、自己判断での食物除去はおすすめしていません。まず皮膚を整えることから始め、必要に応じて検査や、より専門的な評価が可能な医療機関へのご紹介を検討します。

通いやすい体制

所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。屋根付きですので、雨の日でもベビーカーやチャイルドシートからの移動がしやすくなっています。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、赤ちゃん連れのご家族が来院しやすい環境づくりを心がけています。乳児湿疹は経過を見ながら進めていくため、無理なく通い続けられることを大切にしています。

診療の流れ(初診〜)

初めて受診される際の、大まかな流れをご説明します。実際の進め方は、症状や状態によって変わる場合があります。

受付・問診

問診票に、症状に気づいた時期、部位、経過、かゆがる様子や睡眠への影響、これまでのケア(使っている保湿剤・洗浄剤)、授乳や離乳食の状況、ご家族のアレルギー歴などをご記入いただきます。症状が強いときの写真があると、診察時と状態が違っていても様子が分かって助かります。

診察

医師が赤ちゃんの皮膚を直接診て、湿疹の性状・分布・程度を確認します。月齢と照らして、今どのタイプが主なのかを見極めます。

治療方針のご説明

診察の結果をふまえ、お薬の種類・塗り方・期間、日々のスキンケアの方法を具体的にご説明します。ご家族に納得していただいたうえで進めることを大切にしています。

治療の開始

処方したお薬とスキンケアを、ご家庭で続けていただきます。

経過の確認

数日〜数週間後に再診し、良くなり方を確認します。良くなっていればお薬を減らし、思わしくなければ方法を見直します。月齢に応じたケアの切り替えについてもお伝えします。

治療方法・選択肢

ここでは一般的な治療をご紹介します。どれが適しているかは、月齢・湿疹のタイプ・程度に応じて、医師が一人ひとりの状態に合わせて検討します。

保湿剤(スキンケアの基本)

すべての土台になります。ヘパリン類似物質、白色ワセリンなど、季節や肌の状態に合った製剤をご提案します。保湿は「湿疹が出たときだけ」ではなく、毎日続けるものです。

ステロイド外用薬

炎症をしずめる基本の塗り薬です。赤ちゃんには弱めのランクのものを、部位と症状に合わせて選びます。顔と体では適した強さが異なります。

大切なのは、適切な量を、必要な期間しっかり使うことです。少なすぎると治りきらず、かえって長期間使うことになります。良くなったら、医師の指示に沿って減らしていきます。自己判断で急にやめると、ぶり返すことがあります。

非ステロイド外用薬

部位や状態によって、ステロイドとは異なる仕組みの塗り薬が検討されることがあります。月齢によって使用できる範囲が異なります。

抗菌薬

とびひなど、細菌感染を起こしている場合に用いられます。

抗真菌薬

乳児脂漏性皮膚炎で、必要と判断される場合に用いられることがあります。

かさぶたへの対応(乳児脂漏性皮膚炎)

頭に厚いかさぶたが付いている場合、入浴の30分ほど前にワセリンやベビーオイルでやわらかくしてから、泡でやさしく洗い流します。無理にはがさないでください。一度で取ろうとせず、数日かけて少しずつ進めます。

ご家庭でのケア(毎日の3ステップ)

乳児湿疹のケアは、**「洗う・保湿する・刺激を減らす」**の3つが基本です。

1. 洗う

  • 1日1回の沐浴・入浴。汗をたくさんかいた日は、シャワーで流すだけでも構いません
  • 石けんはよく泡立てて、泡で包むように洗います。ガーゼやタオルでこすらないでください
  • 手のひらでやさしく。首やわきの下、そけい部、耳のうしろなど、しわの奥は汚れがたまりやすい場所です。しわを広げて洗いましょう
  • しっかりすすぐ。すすぎ残しは刺激になります
  • お湯はぬるめ(38〜40度程度)。熱いお湯は皮脂を奪います
  • タオルは押さえるように。こすらず、水分を吸わせます

2. 保湿する

  • 入浴後、できるだけ早く(目安は5分以内)
  • 量はたっぷり。「塗った部分がテカッと光り、ティッシュが軽く貼りつく程度」が目安です
  • 1日2回以上が理想。朝の着替えのときと、入浴後に
  • 顔まわりは、よだれやミルクが付く前に塗っておくと、保護膜の役割も果たします

3. 刺激を減らす

  • よだれ・ミルク・食べこぼしは、こまめに押さえ拭き。ゴシゴシ拭かず、湿らせたガーゼで押さえるように
  • 爪は短く。かき壊しを防ぎます。ミトンは、汗で蒸れることもあるので状況に応じて
  • 衣類は綿など肌にやさしい素材を。新しい衣類は一度洗ってから
  • 着せすぎない。赤ちゃんは体温が高く、汗をかきやすいものです。大人より1枚少なめが目安
  • 室温・湿度を整える。夏は汗をかいたら着替えを、冬は加湿を
  • 洗剤はよくすすぐ。柔軟剤の使いすぎにも注意

そして、ご自身を責めないでください

「私のケアが悪いから」。診察でよくうかがう言葉です。乳児湿疹は、赤ちゃんの肌がもともと持っている性質と、成長にともなう変化によって起こるものです。ご家族のケアが足りないから起こるのではありません。どうか、ご自身を責めないでください。

よくある質問

Q. ステロイドを赤ちゃんに使って大丈夫ですか?

A. 医師の指示に沿って、症状に合った強さ・量・期間で使えば、必要な治療です。赤ちゃんには弱めのランクのものを選びます。むしろ心配なのは、量を減らしすぎて治りきらず、結果的に長く使い続けることです。使い方は具体的にご説明しますので、ご不安な点はお聞かせください。

Q. 保湿だけで治りませんか?

A. 軽い乾燥であれば保湿だけで落ち着くこともあります。ただ、赤みやかゆみがある場合は炎症が起きている状態です。この段階では、炎症をしずめる治療とあわせるほうが早く落ち着き、結果的にお薬の総量も少なくなります。

Q. これはアトピー性皮膚炎ですか?

A. 生後数か月の段階で断定することは難しく、経過を見ていくなかで分かってきます。一般に、2か月以上くり返す場合に可能性を考えます。今の時点では、名前をつけることより、目の前の湿疹を治し、肌を良い状態に保つことを優先しましょう。

Q. 母乳やミルクが原因でしょうか?食事を制限すべきですか?

A. 授乳中のお母様が自己判断で食事を制限することは、おすすめしていません。栄養が偏るうえ、湿疹が改善するとは限らないためです。まずは皮膚を整えることから始めましょう。食物との関係が疑われる場合は、診察でご相談ください。

Q. 治療には保険が使えますか?

A. 乳児湿疹の診断・治療は保険診療の対象です。お子様の医療費助成についても、お住まいの自治体の制度が適用されます。費用について気になる点は、診察時にお尋ねください。

Q. 保湿剤は市販のものでもよいですか?

A. お子様の肌に合っていて、続けられるものであれば構いません。ただ、湿疹が出ている場合は、処方の保湿剤のほうが状態に合わせて選べます。どれを使えばよいか迷われたら、ご相談ください。

Q. どのくらいで治りますか?

A. タイプと程度によって異なります。炎症は数日〜2週間ほどで落ち着くことが多い一方、肌のバリアが整うまでにはもう少し時間がかかります。良くなった後も保湿を続けることが大切です。

Q. 顔のブツブツは、放っておいても消えますか?

 A. 新生児ざ瘡であれば、自然に落ち着いていくことが多くあります。ただし、かき壊したり、じくじくしたりしている場合は治療が必要です。判断に迷われたら、ご相談ください。

Q. 沐浴のとき、石けんは毎日使ってよいですか?

A. はい。皮脂や汗、汚れをやさしく落とすことは、湿疹の予防につながります。大切なのは、よく泡立てて、こすらず、しっかりすすぐことです。

Q. 湿疹があるとき、予防接種は受けられますか?

A. 多くの場合、湿疹があっても接種は可能です。ただし状態によりますので、接種を担当される医療機関にご確認ください。

院長から患者様へ

皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。生まれたばかりの赤ちゃんの肌は、その言葉どおり、体の変化を素直に映し出します。皮脂が多い時期、乾燥する時期、汗をかく季節と、数か月のあいだに、肌の表情はどんどん変わっていきます。

乳児湿疹の診療でお会いするご家族の多くが、ご自身を責めていらっしゃるように感じます。「もっと丁寧にケアしていれば」「私の食べたものが悪かったのでは」。まずお伝えしたいのは、そうではないということです。これは赤ちゃんの肌がもともと持っている性質と、成長にともなう変化によるものです。どうか、ご自身を責めないでいただきたいと思います。

そのうえで、私が大切にしたいのは、この時期の肌をていねいに整えることです。近年、乳児期の皮膚の状態が、その後のアレルギーに関わる可能性が指摘されています。今の湿疹を治すことは、今日をきれいにするだけでなく、その先を見据えた意味を持つと考えています。

そして、薬の塗り方を具体的にお伝えすること。ここは私がとくにこだわっているところです。「ステロイドが心配で少なめに塗っていました」という方は本当に多く、その結果、治りきらずに何か月も使い続けることになってしまいます。しっかり塗って早く治し、良くなったら減らしていく。そのほうが、結果的にお薬の総量は少なくなります。この説明を省かないことが、皮膚科医の仕事だと思っています。

私自身、患者様とご家族のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを信条としています。「これくらいで受診してよいのだろうか」と迷われる必要はありません。ご不安なこと、分からないことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。お子様から大人の方まで、地域の皆さまの健康と美しさのかかりつけ医でありたいと願っています。

川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修

ご予約・お問い合わせ

  • 一般・小児・美容の初診/再診【ネット受付・予約】
  • LINEから気軽に【LINE受付・予約】
ご予約・
お問い合わせ
052-753-3580

問診票ダウンロード

注意事項
  • 午前の受付で午後の診察を希望することはできませんのでご注意ください。
  • 診察できる人数を超えてしまった場合は、やむを得ず受付時間内でもWEB受付を停止させていただく場合がございます。予めご了承ください。