夏の朝、赤ちゃんの首やおでこに、小さなブツブツがびっしり出ている。かゆがって寝ながらかいてしまう。あせもは、汗をかく季節に多くのお子様がなる、身近な肌トラブルです。「汗をかいたら仕方ない」と思われがちですが、放っておくと化膿して「あせものより」になったり、とびひにつながったりすることがあります。一方で、対策はとてもシンプルです。汗をかいたら流す、これに尽きます。このページでは、あせもとあせものよりについて、原因と対処、受診の目安をご説明します。川名ごとう皮フ科クリニックでは、お子様から大人の方まで、汗による肌トラブルのご相談を承っています。

あせも(汗疹)とは
あせもは、汗の出口(汗腺の管)が詰まることで、汗が皮膚の中にたまってしまい、その周囲に炎症が起こる状態です。医学的には**汗疹(かんしん)**といいます。
赤ちゃんやお子様にあせもが多いのには、明確な理由があります。汗腺の数は、大人も子どもも同じなのです。体は小さいのに汗腺の数が変わらないため、同じ面積あたりの汗の量が大人よりずっと多くなります。加えて、体温調節がまだ上手でないこと、動き回って汗をかきやすいこと、しわが深く汗がたまりやすいことが重なります。
大人でも、汗をかく機会が多い方、通気性の悪い衣類を着ている方、寝たきりの方などにみられます。
あせもの種類
汗がたまる深さによって、見た目と症状が変わります。
水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)
ごく浅い場所で詰まったもの。1〜2ミリの透明な水ぶくれが多数でき、赤みやかゆみはほとんどありません。発熱後や、汗をたくさんかいた後にみられます。特別な治療をしなくても、数日で自然に消えることが多いタイプです。
紅色汗疹(こうしょくかんしん)
もう少し深い場所で詰まったもの。赤いブツブツができ、かゆみをともないます。一般に「あせも」と呼ばれるのは、ほとんどがこのタイプです。
深在性汗疹
さらに深い場所で起こるもの。日本ではまれです。
あせものより(多発性汗腺膿瘍)とは
「あせものより」は、あせもをかき壊した部分などから細菌が入り込み、汗腺が化膿してしまった状態です。医学的には**多発性汗腺膿瘍(たはつせいかんせんのうよう)**といいます。
- あせものあった部分に、赤く腫れたしこりができる
- 押すと痛い
- 中に膿がたまり、大きくなることがある
- 発熱をともなうことがある
- 頭、額、首、背中などにできやすい
受診の目安
かゆみが強く、かき壊している
ケアを続けても、数日で良くならない
赤く腫れたしこりができている(あせものよりの可能性)
押すと痛がる
じくじくして、黄色いかさぶたが付いている(とびひの可能性)
発熱をともなう
広い範囲に出ている
くり返している
とくに、赤く腫れたしこりと黄色いかさぶたは、単なるあせもではないサインです。早めにご相談ください。
そのままにしておくとどうなるか
かき壊しから、とびひになることがあります。
あせもはかゆみが強く、お子様は寝ている間にもかいてしまいます。傷ついた部分から細菌が入ると、とびひ(伝染性膿痂疹)を起こし、あっという間に広がることがあります。夏場に最も多いパターンです。
あせものよりに進むことがあります。
汗腺が化膿すると、痛みをともなうしこりになり、治療に時間がかかります。この状態をあせものよりと言います
湿疹に移行することがあります。
かき壊しをくり返すうちに、あせもだったものが湿疹になり、季節が終わっても続くことがあります。
アトピー性皮膚炎が悪化することがあります。
もともと皮膚のバリアが弱いお子様では、あせもをきっかけに全体が悪化することがあります。
一方、あせもは対策がはっきりしている症状です。汗を流し、乾かし、涼しくする。この3つで多くは改善します。なお、経過や治療への反応には個人差があります。
当院のあせも診療の特徴
あせもは、環境の見直しと、必要に応じた塗り薬による治療(保険診療)が基本です。川名ごとう皮フ科クリニックでは、まず保険診療でできる治療をしっかり行うことを土台に、くり返さないための環境づくりを一緒に考えることを心がけています。
皮膚科専門医による診療
当院の院長・後藤克修は、日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医です。あせも・あせものより・とびひ・湿疹は見た目が重なることがあり、治療の内容が異なるため、見極めてから方針を決めることを大切にしています。
「あせもで終わっているか」を見極める
あせもの診療で私たちが重視しているのは、それが単なるあせもで済んでいるかどうかです。赤く腫れたしこりがあれば、あせものよりとして抗菌薬による治療が必要になります。じくじくして黄色いかさぶたが付いていれば、とびひとして扱います。かき壊しが続いて湿疹化していれば、炎症をしずめる治療が必要です。同じ「夏のブツブツ」でも、進み方によって手当てが変わります。
そのうえで、かゆみを早く抑えることを大切にしています。かゆみを我慢させると、かき壊してこじれます。お子様に「かかないで」と言うのは難しいので、かゆくない状態に早く戻してあげるほうが確実です。
また、あせもは環境の影響が大きい症状です。室温や湿度、衣類、汗をかいた後の対応など、ご家庭で変えられることを具体的にお伝えします。くり返すお子様には、季節の手前からの備え方もご相談いただけます。
通いやすい体制
所在地は名古屋市昭和区折戸町で、地下鉄鶴舞線「川名駅」から徒歩10分ほど、屋根付きの駐車場を14台分ご用意しています。夏場、暑いなかでの移動は大変ですので、屋根付きの駐車場をご利用ください。院内にはキッズコーナーや多目的トイレを設け、お子様連れのご家族が来院しやすい環境づくりを心がけています。
診療の流れ(初診〜)

受付・問診
問診票に、症状に気づいた時期、部位、かゆみの程度、これまでのケア、生活環境(室温・寝具・衣類)、発熱の有無などをご記入いただきます。

診察
医師が皮膚の状態を直接診て、ブツブツの性状・分布を確認します。しこりの有無、じくじくの有無、かき壊しの程度なども確認します。

検査(必要に応じて)
細菌感染が疑われる場合には、検査をご提案することがあります。

治療方針のご説明
お薬の使い方と、ご家庭での環境の工夫を具体的にご説明します。

経過の確認
必要に応じて再診し、良くなり方を確認します。
治療方法
まず、環境を整える
あせもの治療の中心は、実は汗をためない環境をつくることです。薬を塗っても、汗をかき続けていれば良くなりません。ご家庭でできることを優先してお伝えします。
外用薬
- ステロイド外用薬
かゆみや赤みが強い場合に、短期間用います。かき壊しを防ぐために、早めにかゆみを抑えることが大切です。部位に合った強さのものを選びます。 - 保湿剤
乾燥をともなう場合に用います。 - 抗菌薬の外用
細菌感染をともなう場合に用います。
内服薬
- 抗ヒスタミン薬
かゆみが強い場合に用いられることがあります。 - 抗菌薬
あせものより、とびひなど、細菌感染がある場合に用います。
ご家庭でのケア・予防
あせも対策は、**「汗をかいたら流す・乾かす・涼しくする」**の3つです。
汗をかいたら流す
- シャワーで洗い流すのが最も効果的です。1日に何度でも構いません
- 石けんは1日1回で十分。それ以外はお湯で流すだけでOKです
- こすらないこと。よく泡立てた洗浄剤で、やさしく
- すぐにシャワーが浴びられないときは、濡らしたタオルで押さえるように拭く(乾いたタオルでこするのは逆効果)
乾かす
- 洗った後、しわの奥までしっかり水分を取る
- 首、わきの下、ひじの内側、ひざの裏は、しわを広げて確認
- 濡れたまま服を着せない
涼しくする
- 室温・湿度を調整する エアコンや除湿を活用してください。「冷房は体に悪い」と我慢するより、汗をためないほうが肌には優しいことがあります
- 着せすぎない 赤ちゃんは体温が高く、汗をかきやすいものです。大人より1枚少なめが目安
- 通気性・吸湿性のよい素材 綿など。汗をかいたらこまめに着替える
- 寝具の工夫 汗を吸うシーツ、通気性のよい敷きパッドを。抱っこひもやチャイルドシートの背中も蒸れやすい場所です
そのほか
- 爪は短く かき壊しを防ぎます
- かゆみは我慢させない 冷やす、薬を使うなど、早く楽にしてあげてください
- ベビーパウダーは慎重に 汗と混ざって汗腺の出口を塞ぐことがあります。使う場合は薄く、汗をかいていない状態で
- 保湿は適度に 乾燥もあせもの一因ですが、べたつく製剤を厚く塗ると蒸れます。夏はさっぱりした製剤を
よくある質問
Q. あせもと湿疹はどう違いますか?
-
A. あせもは汗の出口が詰まって起こるもの、湿疹はさまざまな刺激による皮膚の炎症です。見た目が似ていることも多く、あせもをかき壊すうちに湿疹に移行することもあります。判断に迷われたらご相談ください。
Q. エアコンを使ってもよいですか?
-
A. どうぞお使いください。「冷房は体に悪い」と我慢して汗をためるほうが、肌には負担になります。設定温度を下げすぎず、直接風が当たらないようにすれば問題ありません。
Q. ベビーパウダーは効きますか?
-
A. 汗を吸う効果はありますが、汗と混ざって固まると、かえって汗腺の出口を塞ぐことがあります。すでにあせもが出ているときは避けたほうが安心です。
Q. 1日に何回もシャワーを浴びせて大丈夫ですか?
-
A. 大丈夫です。石けんを使うのは1日1回にとどめ、それ以外はお湯で流すだけにすれば、皮膚に負担はかかりません。汗を流すことが最も効果的な対策です。
Q. 治療には保険が使えますか?
-
A. あせも・あせものよりの診断・治療は保険診療の対象です。お住まいの自治体の医療費助成も適用されます。
Q. どのくらいで治りますか?
-
A. 環境を整えれば、数日で良くなることが多くあります。かき壊して湿疹化している場合や、あせものよりになっている場合は、1〜2週間ほどかかることがあります。
Q. 大人もあせもになりますか?
-
A. なります。汗をかく機会の多い方、通気性の悪い衣類を着る方、寝たきりの方などにみられます。対策は同じです。
Q. 毎年くり返します。
-
A. 汗をかきやすい体質や、生活環境が関わっています。季節の手前から環境を整えておくことで、程度を軽くできることがあります。くり返している方は、その時期の前にご相談ください。
院長から患者様へ
皮膚は、体の状態を映す鏡だと、私は考えています。あせもは、その方の置かれている環境が最も素直に表れる症状かもしれません。どんな部屋で過ごし、どんな服を着て、汗をかいた後にどうしているか。皮膚を見ると、そのあたりが見えてきます。
あせもの診療で私が大切にしているのは、薬より先に環境を整えることをお伝えすることです。塗り薬でかゆみは抑えられますが、汗をかき続けていれば、また出ます。ここを飛ばして薬だけを出し続けるのは、根本的な解決になりません。汗を流す、乾かす、涼しくする。地味ですが、これがいちばん効きます。
もうひとつは、かゆみを我慢させないことです。お子様に「かかないで」と言っても、寝ている間にはかいてしまいます。かき壊してとびひになれば、治療はずっと大変になります。だから、かゆい状態を早く終わらせてあげるほうが、結果的に負担が小さくすみます。
そして、あせもで済んでいるかを見極めること。赤く腫れたしこりがあれば、それは化膿しています。じくじくして黄色いかさぶたが付いていれば、とびひです。同じ夏のブツブツでも、進み方によって手当てが変わります。この見極めを飛ばさないことが、皮膚科医の仕事だと考えています。
私自身、患者様とご家族のお話をしっかりうかがい、分かりやすくご説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを信条としています。夏場、お子様の肌で気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
川名ごとう皮フ科クリニック 院長 後藤 克修
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